没後70年 南薫造

いまこそ日本近代洋画の魅力に目を向けよう!
南薫造の瑞々しい感受性と卓越した技術を伝える決定版の回顧展

  • 2021/02/17
  • イベント
  • アート

昨今日本では、江戸期を中心とする日本美術や、現代アートの展覧会が大きな話題となることも少なくないが、そうした中で、めっきり数が減っているのが日本近代洋画の展覧会だ。東京ステーションギャラリーでは、たとえいま流行りではなかったとしても、多くの優れた洋画家たちの業績が忘れ去られることがあってはならないとの強い信念から、本展の開催を決意。そこでスポットをあてたのが、明治末から昭和にかけて官展(政府主催の美術展)の中心作家として活躍した洋画家・南薫造(1883〜1950)だ。

若き日にイギリスに留学して清新な水彩画に親しみ、帰国後は印象派の画家として評価される一方で、創作版画運動の先駆けとなるような木版画を制作するなど、油絵以外の分野でも新しい時代の美術を模索した作家だが、これまで地元・広島以外では大規模な回顧展が開かれたことがなく、その仕事が広く知られているとは言えない。
 本展は、文展・帝展・日展の出品作など、現存する南の代表作を網羅するとともに、イギリス留学時代に描かれた水彩画や、朋友の富本憲吉と切磋琢磨した木版画など、南薫造の全貌を伝える決定版の回顧展となる。

南薫造の魅力は、瑞々しい感受性によってとらえられた風景や人物の端正な描写にある。奇をてらわず、派手さはないが、自然から得た感興を完成度の高い画面へとまとめ上げた穏やかで清澄感のある作品は、早い時期から高く評価されていた。その裏には、油絵具を扱う卓越した技術、透明水彩画の繊細な色彩感覚、木版画に端的に見て取れる画面構成力があった。官展の中心的な画家として長く活躍し、東京美術学校でも教授として多くの後進を育てた実力は、何気ない風景画や飾らない人物画の中に確かに表れている。
 デビュー当時の明るい色彩と柔らかい筆致による作品から、晩年の日本の風土に根差した自由な油絵まで、作家の人生に寄り添うような作品を通して、南薫造はもとより日本近代洋画の魅力を存分に味わうことができるだろう。

  1. 《春(フランス女性)》1908年頃、ひろしま美術館
  2. 《少女》1909年、東京国立近代美術館
  3. 《六月の日》1912年、東京国立近代美術館
  4. 《ロンドンの裏庭》1907年、広島県立美術館[展示期間3/16〜4/11]
  5. 《うしろむき》1909年、広島県立美術館[展示期間2/20〜3/14]
  6. 《曝書》1946年、広島県立美術館
  1. 《春(フランス女性)》1908年頃、ひろしま美術館
  2. 《少女》1909年、東京国立近代美術館
  3. 《六月の日》1912年、東京国立近代美術館
  4. 《ロンドンの裏庭》1907年、広島県立美術館[展示期間3/16〜4/11]
  5. 《うしろむき》1909年、広島県立美術館[展示期間2/20〜3/14]
  6. 《曝書》1946年、広島県立美術館

開催概要

展覧会名 没後70年 南薫造
会期 2021年2月20日(土)〜4月11日(日)
休館日 月曜日(4月5日は開館)
時間 10:00〜18:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 東京ステーションギャラリー
千代田区丸の内1-9-1
入館料 一般 1,100円、高大生 900円、中学生以下無料
※日時指定予約制
※詳細はこちらをご確認ください
公式サイト http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
問合せ 03-3212-2485

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