開館30年を迎えた三の丸尚蔵館が、装いを新たに「皇居三の丸尚蔵館」として開館したことを記念する展覧会が開催中。

三の丸尚蔵館は、平成元年（1989年）に上皇陛下と香淳皇后により、皇室に代々受け継がれた美術品が国に寄贈されたことを機に、その保存と研究、公開を目的として、平成5年（1993年）11月に皇居東御苑内に開館。収蔵品は各時代を代表する名品が多く含まれており、日本を中心とする東洋の美術工芸品のほか、幅広い時代、地域、分野の品々がみられることが特長で、収蔵点数は約2万点に及ぶ。
 同館ではこれまで、時代や分野、各作品の主題などからテーマを選んだ展覧会、天皇陛下の御即位や両陛下の御成婚を記念する特別展、海外との交流展などを開催し、皇室と文化の関わりについて、その紹介と普及に努めてきた。

4期から成る本展の最初を飾る「第1期 三の丸尚蔵館の国宝」は、令和5年11月3日（金・祝）〜12月24日（日）まで開催。近年指定された同館収蔵の国宝8件のうち、《蒙古襲来絵詞》、小野道風《屏風土代》など4件が公開された。
 そして令和6年1月4日（木）から開催される「第2期 近代皇室を彩る技と美」では、明治22年（1889年）に大日本帝国憲法発布式が行われた場所でもある明治宮殿を飾った作品のほか、御即位や大婚25年（銀婚式）など皇室の御慶事を契機として制作された作品、さらに明治・大正・昭和の三代の天皇皇后にゆかりのある品々が紹介される。
 3月12日（火）から開催される「第3期 近世の御所を飾った品々」では、国宝・藤原定家《更級日記》など、「御在来（ございらい）」と称される京都御所に伝来した作品を中心に、近世の御所や離宮あるいは各宮家を飾った品々が展観される。
 本展を締めくくる「第4期 三の丸尚蔵館の名品」は5月21日（火）から開催。国宝・狩野永徳《唐獅子図屏風》や国宝・伊藤若冲《動植綵絵》など、美術品が長く遺されることを願って献上された品を中心に、同館を代表する名品が紹介される。

館名の「尚蔵」は、古代律令制において蔵司長官「くらのかみ」をさし、大切に保管するという意味を持つように、展示品はいずれも大切に受け継がれてきた皇室の貴重な品々。
 長い歴史と伝統の中で培われてきた皇室と文化の関わり、そしてその美に触れることができる貴重な機会となるだろう。

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1. 《昭和度 悠紀地方風俗歌屏風（しょうわどゆきちほうふぞくうたびょうぶ）》川合玉堂　昭和3年（1928）【展示期間：2月6日〜3月3日】
2. 《源氏物語図屏風（げんじものがたりずびょうぶ）》（右隻）伝狩野永徳　桃山時代（16〜17世紀）【展示期間：3月12日〜4月7日】
3. 国宝 《更級日記（さらしなにっき）》藤原定家　鎌倉時代（13世紀）【展示期間：3月12日〜5月12日 ※頁替あり】
4. 国宝 《唐獅子図屏風（からじしずびょうぶ）》（右隻）狩野永徳　桃山時代（16世紀）【展示期間：5月21日〜6月23日】
5. 《閑庭鳴鶴（かんていめいかく）・九重ノ庭之図刺繍屏風（ここのえのにわのずししゅうびょうぶ）》��島屋呉服店　昭和3年（1928）【展示期間：5月21日〜6月23日】