巨匠がニースに遺した切り紙絵に焦点をあてながら、
絵画、彫刻、素描、版画、テキスタイルなど約150点を紹介
アンリ・マティスの切り紙絵の重要なコレクションを誇るフランスのニース市マティス美術館の全面協力を得て、切り紙絵に焦点を当てた日本初の展覧会が開催。マティスが長い芸術家人生で最後に到達した記念碑的な表現に迫る。
20世紀最大の巨匠の一人アンリ・マティス(1869〜1954年)。自然に忠実な色彩から解放された大胆な表現が特徴のフォーヴィスム(野獣派)の中心人物としてパリで頭角を現してから、ニースを拠点に制作された光に満ちた作品の時代まで、彼は「色彩の道」と表現される道を歩んできた。一方で、流れるような線で人物を描写するデッサンや版画でも知られている。
晩年に大病を患って以降、ニースにて、その60年以上におよぶ創造の歩みから熟慮と試行を重ねた末に到達した新たな表現手法、「切り紙絵」を精力的に制作。アシスタントにさまざまな色を塗ってもらった紙をハサミで切り抜き、それらを組み合わせて活き活きとした構図に仕立てあげる「切り紙絵」で、マティスは色彩とデッサンの関係を刷新。筆とカンヴァスに代えて、 “ハサミでデッサンする”手法で、自由自在に色とかたちを生み出し、そのキャリアの絶頂期を迎えた。
本展では、切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌードW》や《クレオールの踊り子》が出品されるほか、2021年に大規模な修復が行われた4m×8mの大作《花と果実》が初来日する。マティスの切り紙絵作品の中でも最も巨大な部類に入る《花と果実》は、5枚のカンヴァスが繋がって構成され、壁面の一面を覆う広大な画面はあたかもタペストリーのようで、鮮やかな色彩によって装飾的豊かさが加わる。大型装飾の頂点とも評される本品は大きな見どころだ。
そして、最晩年のマティスが切り紙絵を応用し、建築の室内装飾や司祭服をデザインした、マティス芸術の集大成、ヴァンスのロザリオ礼拝堂を体感できる空間も再現される。
本展は5セクションから構成されるが、準備習作のために切り紙絵の技法が用いられていたという舞台衣装デザインや舞台装置などが紹介されるセクションも興味深い。
切り紙絵が日本でまとめて展示されることはきわめて稀で、マティスの記念碑的な表現方法に触れる貴重な機会となる。そのあざやかな世界を存分に堪能したい。
展覧会名 | マティス 自由なフォルム |
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会期 | 2024年2月14日(水)〜5月27日(月) |
休館日 | 火曜日(ただし4月30日は開館) |
時間 | 10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで) ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室2E 港区六本木7-22-2 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 | 一般 2,200円、大学生 1,400円、高校生 1,000円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://matisse2024.jp |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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