フィンランド陶芸―芸術家たちのユートピア

日本初! 作家によるフィンランド陶芸の興隆を体系的に展示

北欧デザインとして注目を浴びてきたプロダクト・デザインとは別に、作家によって取り組まれてきたフィンランド陶芸に焦点を当て、その黎明期から最盛期まで各時代の作品を展観しながら、世界的な潮流を生み出し、日本の工芸にも影響を与えた同国の陶芸の奥深さを探る企画展です。日本とフィンランドの外交関係樹立100年を記念して開催されます。

19世紀末、イギリスのウィリアム・モリスが牽引した中世の手仕事を見直す「アーツ・アンド・クラフツ運動」が広がり、フィンランドでも伝統への回帰が盛んになりました。ロシアから独立の気運も漂うなか、当時ヨーロッパで流行していたアール・ヌーヴォーもナショナル・ロマンティシズム(民族的ロマン主義)と呼ばれる独自の発展を遂げます。1900年、パリ万国博覧会でナショナル・ロマンティシズムは国際的な評価を得て、アイリス工房やアラビア製陶所が創業するなど、フィンランドの手工業分野は大きく発展していきます。
 1930年代後半になると、ヘルシンキにあった美術工芸中央学校で陶芸家育成が行われるようになり、国を代表する企業となったアラビア製陶所の美術部門では、作家たちが自由な制作環境を基に傑作を生み出していきました。第二次世界大戦後は、世界的に評価されるようになり、既成概念に捉われない豊かな表現は、日本工芸分野にも大きな影響を与えました。

本展では、フィンランド陶磁器やガラス作品の世界的コレクターであるキュオスティ・カッコネン氏のコレクションを中心に、フィンランド陶芸の歴史を5章にわたって展開します。「フィンランド陶芸の萌芽」では、創業時のアラビア製陶所で製作された壺や花器などの作品を展示。「近隣諸国の影響を受けて」では、テューラ・ルンドグレンやミハエル・シルキンらによる陶彫を中心に紹介します。「フィンランド陶芸の確立」では、伸びやかで有機的な形態が特徴的なトイニ・ムオナの筒花瓶などが登場。「フィンランド陶芸の展開」では、絵画的表現の陶板や皿が並び、「プロダクト・デザイン」では、日本でも人気の高いカイ・フランクの食器セットなどが紹介されます。陶磁器、ガラス、ポスターなど、併せて137点が集い、今日のプロダクト・デザインへとつながる流れや魅力を把握できます。

アルフレッド・ウィリアム・フィンチ 花瓶 1897-1902年/ アイリス工房 コレクション・カッコネン photo:Niclas Warius
ルート・ブリュック 陶板《聖体祭》 1952-1953年/ アラビア製陶所 コレクション・カッコネン photo:Niclas Warius
アラビア製陶所美術部門(1945年) photo: Arabia
開催概要
展覧会名 日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
フィンランド陶芸―芸術家たちのユートピア
会期 2018年7月14日(土) 〜 9月6日(木)
休館日 月曜日(ただし7月16日は開館)、7月17日(火)
時間 10:00〜18:00
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 目黒区美術館
目黒区目黒2-4-36 
観覧料 一般 800円、高大生・65歳以上 600円
公式サイト http://mmat.jp/
問合せ 03-3714-1201
2018年7月更新