仏師の視点から仏像の魅力を探る
古くから日本で作られてきた仏像。その制作に携わってきた仏師に焦点を当て、豊かな感性と独創的な仏像を作る際のポイントとなる体の各部位の造作について掘り下げ、日本人の心と創造力を多角的に探る企画展です。
仏像の作者である仏師は、高度な技術を持つだけでなく、豊かな感性で独創的な仏像を制作。特に、顔の表情や、荘厳などの装飾部分、蹴り上げる動作などの動きは、仏師の感じ方や目指す方向性によって違いが生まれました。
仏像の顔は、仏としての本質と個性を表すもの。慈悲の心の象徴として如来や菩薩などは優しい顔に整えられ、人間の心に生じた悪を懲らしめ、正しい道へと導く厳しさは険しい顔の明王や天部が担っています。優しい顔といっても、可愛らしさ、微笑みと少しずつ異なり、険しい顔も怒りだけでなく、威厳や威嚇などの表情があるため、ひとくくりにはできません。目、鼻、口の位置、頬の張り、まぶたの膨らみ、眉間や口元のしわなど、細かな仏師の技術が魅力的な顔へとつながっています。
宝冠、胸飾などの装飾品は金工品の場合もありますが、仏像本体と一緒に緻密に彫り出されているものもあります。着衣の鮮やかな彩色や精緻な截金、光背や座っている台座などの荘厳も見所の一つです。滋賀の荘厳寺の重要文化財「釈迦如来立像」のように着衣の細かなひだの衣文(えもん)表現、「天部立像」の胸にある甲冑の獅子の頭を模様化した獅噛(しがみ)などの表象は、制作時代の違いとともに、仏師の個性やセンスも見て取れます。
一見動きがないように見える立像や坐像の体の捻りや手足の上げ下ろしにも、その動きが優雅な姿や力強さを表現しており、隠れた見所です。
本展では、奈良時代から鎌倉時代にかけての仏像が一堂に集結。大坂の四天王寺の「十一面観音立像」、奈良国立博物館の子〜巳神の十二神将立像など、貴重な作品も多く登場。制作側である仏師の視点で展観していきます。また、東京藝術大学保存修復彫刻研究室とのコラボによって、仏師の技術や工夫点がどのように継承されているかを検証。仏像の模刻作品や修復作品などから、制作者側(仏師)にたった経験や意見も紹介され、仏師の仕事内容が臨場感ある形で展観できます。
展覧会名 | 特別展「仏像の姿」〜微笑む・飾る・踊る〜 |
---|---|
会期 | 2018年9月15日(土) 〜 11月25日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし9月17日、24日、10月8日は開館)、 9月18日(火)、9月25日(火)、10月9日(火) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | 三井記念美術館 中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7F >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,300円、高大生 800円、70歳以上(要証明) 1,000円 |
公式サイト | http://www.mitsui-museum.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。