スーパーリアリズムの半立体ポップアートに注目!後藤克芳、東京初の回顧展
36年間にわたりニューヨークで制作活動を展開した、ポップアート作家・後藤克芳(1936〜2000)。主に木を用いたスーパーリアリズムの手法で、驚くべき完成度の高さの半立体作品を制作し、生涯精力的に活動を続けた作家だ。本展では、後藤の多くの作品を所蔵する米沢市上杉博物館の全面協力により、作家の没後、遺族によって郷里へもたらされた作品群が、東京初の回顧展として一堂に会する。
山形県米沢市の緑豊かな地に生まれ育った後藤は、幼少時に患った脊椎カリエスによる身体的障害を心配した母の勧めもあり、小学校時代から絵に親しんだ。やがて武蔵野美術学校へ進み、1964年にはニューヨークへ単身渡米、さまざまなアルバイトで生計を立てながら制作を続けた。
「ニューヨークの画壇を制覇する」との心意気を胸に、多くの友人と交流を持ちながらコツコツと地道に努力を続け、70〜80年代には《COLORADO》など多くの代表作を生み出す。そして90年代には、ニューヨークの生活を謳歌しながら若者とも積極的に交流し、自分の感性を磨いていく。日常にある身近なものを題材に、思いがけない組み合わせやユーモアを交えて完成する作品には、若い頃からの一貫した丁寧な作り込みと作家の独特の視点が生きている。
展示では、学生時代の油彩画から、多くのスーパーリアリズムの手法を使った半立体作品、ポップアートの王道である日常の身近なものを題材にした作品まで、後藤の創作人生を網羅するような作品群が並ぶ。また、親交のあったキース・へリングがエイズで亡くなったことに衝撃を受け、その警鐘を鳴らすために取り組んだ作品、愛猫たちをモチーフにした作品など、作家の身近な関心事から生まれたテーマにもフォーカスをあてる。
ポップでキッチュな作風とは裏腹に、非常に几帳面な仕上がりをみせる作品の数々を、東京でまとまって鑑賞できる初めての機会に期待したい。
展覧会名 | 後藤克芳 ニューヨークだより “一瞬一瞬をアートする” |
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会期 | 2020年10月3日(土)〜11月23日(月・祝) ※会期中、一部展示替えあり |
休館日 | 月曜日(ただし11月23日は開館)、11月4日(水) |
時間 | 10:00〜18:00 ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 渋谷区立松濤美術館 渋谷区松濤2-14-14 |
観覧料 | 一般 500円、大学生 400円、高校生・60歳以上 250円、小中生 100円 ※土・日曜日、祝休日は小中学生無料 ※毎週金曜日は渋谷区民無料 |
公式サイト | https://shoto-museum.jp/ |
問合せ | 03-3465-9421 |
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