あの時代へタイムスリップ!『味の素』とたどる食卓のヒストリー

食とくらしの小さな博物館(高輪)

  • 2014/04/01
  • カルチャー
  • 博物館
食とくらしの小さな博物館

日本10大発明の一つに数えられる「味の素」。今や世界中で知られる調味料は、“うま味”の主成分が「グルタミン酸」であることを池田菊苗博士により発見されたことに始まる――。約100年前に遡る「味の素」誕生から現代に至る食の歴史を、時代ごとの「味の素」商品や食卓風景を通じて体感できるミュージアム。

入り口のビジョンでは、「味の素」誕生にまつわるストーリーを放映。「化粧品と間違えて使用した」など開発当初の印象的なエピソードがテンポよくまとめられている。展示室内へ足を踏み入れると、歴代「味の素」が迎えてくれる。とりわけ目をひくのは「具留多味酸」のラベルが貼られた古めかしいボトル。なんと中に残るのは、博士が抽出に成功したグルタミン酸の現物だという。約25年のスパンで区切られた4つの展示スペースには、「味の素」ブランドの商品と共に当時流行ったおもちゃやグッズも並ぶ。

商品展示の向かいに、戦前・昭和中期・昭和後期・平成と各時代を象徴した食卓風景が現れる。研究者の監修に基づき作りこまれた食卓には、さっきまで家族が食事をしていたかのようなリアルさが漂う。とりわけ、25年ほどでちゃぶ台暮らしから一転、洋風のダイニングセットへと移り変わる様は圧巻。高度成長期のすさまじい変容ぶりが浮き出たシーンとなっている。展示室後半のアミノ酸を知るコーナーでは、専用パソコンで健康情報やアミノ酸クイズなどを楽しめる。

常設展のほか、同じフロアにある(公財)味の素 食の文化センター運営の食文化展示室もチェックしたい。食をテーマに描いた錦絵、絵に登場する花見弁当のレプリカなど、江戸の食文化を今に伝える展示は必見。ふらりと訪ねやすい「小さな博物館」だが、日本の100年を一気に旅するようなダイナミックさが味わえるスポットだ。

歴代の「味の素」開発当初から改良を重ねてきた歴代の「味の素」。
池田博士が抽出に成功した際の「グルタミン酸」池田博士が抽出に成功した際の「グルタミン酸」。ラベル文字も博士の直筆。
1946-1975の展示ブース1946-1975の展示ブース。新幹線のおもちゃや大阪万博のグッズなど、時代を物語る展示は子どもにも人気。
昭和10年頃の食卓風景(再現)昭和10年頃の食卓風景を再現。実際に上がりこんで、当時の雰囲気を体感できる。
「三種の神器」ともてはやされた家電が各家庭に普及し始めた頃の食卓風景「三種の神器」ともてはやされた家電が各家庭に普及し始めた頃の食卓風景。
限定コンテンツが楽しめるパソコンコーナーアミノ酸クイズやバーチャル工場見学などの限定コンテンツが楽しめるパソコンコーナー。
食文化展示室ミニコーナーテーマと共に展示物が変わる食文化展示室ミニコーナー。取材時は、人形作家が手がけた錦絵のジオラマが。
1910年〜1950年代当時の「味の素」欄間広告(電車の車内広告)1910年〜1950年代当時の「味の素」欄間広告(電車の車内広告)。
食の文化に関する専門図書館同じ建物内に開設された食の文化に関する専門図書館。登録者には(登録料 税込100円)図書の貸出しも行っている。

基本情報

名称 食とくらしの小さな博物館
所在地 港区高輪3-13-65
電話番号 博物館 03-5488-7305
図書館 03-5488-7319
料金(税込) 入場無料
営業時間 10:00〜17:00
休館日 日曜・祝日・年末年始
アクセス 都営浅草線「高輪台駅」徒歩3分
公式サイト 食とくらしの小さな博物館
https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/museum/
味の素 食の文化センター/食の専門図書館
https://www.syokubunka.or.jp/

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。