放送の歴史&技術に触れる体験基地

NHK放送博物館(愛宕)

  • 2016/3/29
  • カルチャー
  • 博物館
NHK放送博物館

神社やお寺が建つ愛宕山は、今でも都心のオアシス的存在。その一角にある「NHK放送博物館」は、1956(昭和31)年に世界初の放送専門ミュージアムとして開館した経緯を持つ歴史ある博物館。

展示は1〜3F。導入部の1Fには、受付やショップのほか、年代物の放送機器を収めたショーケース、放送の歴史を紹介したタッチパネル式のイラスト、中継の体験などがあり、放送の歴史の概要がつかめる。
 進路に沿って階段を上ると中2階に。スーパーハイビジョン映像が見られる8Kシアターと放送体験スタジオが並ぶ。シアターは毎時0分から10分強の上映だが、週末は紅白歌合戦やフィギュアスケートのダイジェストなどがあり、人気は上々(上映作品は随時変更)。体験スタジオでは、1カメ、2カメを切り替えるスイッチャー、原稿を読むアナウンサー、手前の画面を見ながら後ろの天気図を操作する気象予報士の三役ができ、3人以上いればミニ番組体験ができる。操作が分からなくても、NHKのOBを中心としたスタッフが常駐しているので、気軽に尋ねやすい。
 2Fはテレビドラマ、オリンピック、音楽、子ども番組に分かれ、具体的な番組や放送機器などを紹介している。歴代の連続テレビ小説と大河ドラマの展示では、『おしん』や『独眼竜政宗』など有名どころもしっかり網羅。橋田壽賀子など、著名作家の脚本も展示されていて、名シーンを直筆で見る楽しみも。。
 オリンピックのコーナーでは、ヘッドセットなど放送機器の発達を要チェック。歌番組コーナーは、毎年年末に同館からNHKホールに移設する『紅白歌合戦』の実物の優勝旗が飾られ、出場した歌手のサインが壁一面に展示されていて壮観だ。『ひょっこりひょうたん島』の人形や、『おかあさんといっしょ』のキャラクターたちの着ぐるみが登場する子ども番組コーナーは可愛らしい。大人のファンもいる『ピタゴラスイッチ』の実物模型もある。

3Fは放送の歴史を年代順に展開。アンティーク機器の羅列にならないよう、当時の写真パネルやモノクロ映像を交えて展示されており、前後の時代感覚もつかめる工夫がされている。子どもにも取りつき易いように、主要トピックがデジタルマンガになった解説も。2.26事件で反乱軍へ投降を呼びかけた際の放送原稿や、太平洋戦争の開戦を告げた放送、玉音盤などは歴史好きでなくても、心に響くものがある。受信契約第1号のテレビ、テレビ伝送実験装置といった機器類、皇太子結婚の儀の「中継伝送系統図」や東日本大震災発生直後から90分間の放送で使った記者たちの手描きメモなど、幅広い資料が並ぶ。
 歴史の一幕に関与してきた放送の役割の大きさと、今の放送の仕組みを知る“放送の体験基地”で、身近だけどよく知らないテレビの世界に楽しく触れてみたい。

放送歴史絵図受付すぐにある放送歴史絵図。イラストをタッチすると実際の画像や映像が流れる。真ん中の“ひかり”の画像が、左側に進むと“のぞみ”になるなど細部にまで遊び心満載。
ミュージアムチャンネル「みんなに届け!ミュージアムチャンネル」は中継が疑似体験できるアトラクション。10秒撮影した画像が隣の壁面に順次映し出されていく。子どもに人気で繰り返し楽しむ親子も多い。
8Kシアター200インチの大型スクリーンと22.2マルチチャンネルを装備した「8Kシアター」。スーパーハイビジョン映像の迫力をねぶた祭り、花火、スケートなどで体感。
バーチャル衣装体験篤姫やあまちゃんなど、大河ドラマ・連続テレビ小説で登場した衣装をバーチャルで体験できるコーナー。手を振ると衣装が変わり、左右に動くと衣装も動く。
音効体験コーナー俯瞰音効体験コーナーでは、波や風の音、馬の蹄音などが試せる。映像に合わせてチャレンジも可能。
紅白のパネル『紅白歌合戦』のコーナーにあるパネルには、優勝旗の重さ、使用マイク本数、正月番組として放送した数、最高視聴率などの統計データを紹介。
戦時下の放送ゾーン1941(昭和16)年の太平洋戦争開戦の放送、検閲されたニュース原稿、終戦時の玉音盤、終戦の詔勅(複製)などが展示されている「戦時下の放送」時代。
昭和30年代お茶の間テレビが各家庭に登場した1955(昭和30)年頃の民家のお茶の間を再現した展示では、縁側にある映像に自らも写り込んで、一緒に当時の番組を楽しめる。
公開ライブラリー図書・史料ライブラリーとともに、4Fにある番組公開ライブラリー。NHKが放送した番組のうち、9,600本を視聴できる。2、3Fの展示で紹介されている曲や番組を見るのもアリ。

基本情報

名称 NHK放送博物館
所在地 港区愛宕2-1-1
電話番号 03-5400-6900
料金(税込) 入場無料
営業時間 9:30〜16:30
休館日 月曜(祝日の場合、翌日)、年末年始
アクセス 日比谷線「神谷町駅」徒歩8分
銀座線「虎ノ門駅」徒歩13分
都営三田線「御成門駅」徒歩10分
公式サイト http://www.nhk.or.jp/museum/

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