すべてホンモノ! 古代ロマンを感じるミステリーツアー

古代エジプト美術館(渋谷)

  • 2013/01/31
  • カルチャー
  • 博物館

※本記事にはミイラの写真が含まれますので、閲覧にはご注意ください

古代エジプト美術館

アバンギャルドな街、渋谷で既存の博物館や美術館のイメージを覆すツアー型の展示を行っている「古代エジプト美術館」。証券マンである菊川匡氏が本業の傍ら、約1,000点以上の考古美術品を集めて開館させた。どれも科学的分析を実施し、本物のみを扱っている。 ファッション、土器、命などをテーマに年に3回、各100点ほどの企画展を実施。

タワーレコードの斜向かいに立つ商業ビルの8F。しかし、一歩足を踏み入れれば、そこは探検家の活躍が華やかだった20世紀初頭のイギリス。発掘隊の出で立ちで現れるスタッフ。美術鑑賞というより、アトラクションに参加したみたいだ。来館者はまず、アドバイザーでエジプト考古学の世界的権威、ロバート スティ−ブン ビアンキ博士の解説映像で予習。ビアンキ氏は元ブルックリン美術館の学芸員で、同美術館の所蔵品の検証や見解も担当しているという。

その後、古代人に扮した専属ガイドとともにミステリーツアーに出発! 展示室は全部で3室。最初の部屋は発掘小屋をイメージ。ハヤブサの頭をしたホルス神のレリーフや黄金のマスクなどいろいろあるが、目玉はミイラ。ホラーとしてのドキドキ感と、数千年を経てなお存在できる当時の技術力を目の当たりに。
 神殿ギャラリーでは、日本唯一であるプトレマイオス朝時代の円柱の一部がお目見え。企画展の内容によって、神やファラオの像、先王国時代の土器、新王国時代のネックレスやイヤリング、ミイラの臓物を防腐処置して入れたカノポス壺などが棚に並ぶ。学術的に貴重だが見た目は石のかけら…といったものは皆無で、どれも美しい。「美術品としても価値の高いもの」を基準に収集する菊川氏。館名も博物館ではなく美術館としている。
 最後の玄室(墓)ギャラリーへは、ガイドなしで各自が懐中電灯を持って向かう。天井が低く、暗室の中で木棺や副葬品、冥界の神オシリスの像などが浮かび上がる。ピラミッドや王家の谷を訪問しているような臨場感たっぷり。壁には扉付きの棚があり、探して開けて歩くのはちょっとした探検気分だ。

決して広くはないが1時間は確実に過ぎる。ガイドが面白いのだ。「このお守りは何を表しているでしょうか? 今でも身近にあるものです」といったクイズがポンポン飛び出し、解説には「へぇ〜」と唸る古代人の価値観も多々。遠巻きでいても容赦なく指名されるから、自然と考古品の魅力にひきこまれてしまう。面白楽しく、気付けば古代エジプトの知識も頭に入る。テーマパークのようなこの館、一度来て損はない。

スコーピオン・キングの化粧用パレット紀元前3000年以上前にエジプトに初めての王朝を開き、映画ハムナプトラの悪役のモデルにもなったスコーピオン・キングの化粧用パレット(紀元前3200年 先王朝時代)。もっとも古い所蔵品であり、考古学的価値も高い。このサソリのマークが美術館のロゴになっている。クジャク石を砕いて粉にし、アイライナーとして使用した。
プトレマイオス2世の神殿の柱(一部)紀元前285〜246年に建造されたプトレマイオス2世の神殿の柱(一部)。上部の王家の紋章がくっきりとしていて分かりやすい。直径1.4mで大人2人が手をまわして一周するくらいの太いもの。
貴婦人タ・アケト・ウレトの木棺古代墳墓の玄室をイメージした部屋に設置された木棺。プトレマイオス朝(紀元前305〜30年)時代の貴婦人タ・アケト・ウレトのもので、ミイラに合わせて設計された。底面には『死者の書』の一番有名な場面である、死者の心臓と真実の羽が天秤に掛けられるところが描かれており、鏡を通して眺められる。
アメンホテプ3世の像もっとも繁栄した新王国第18王朝に君臨したアメンホテプ3世の像(紀元前1388〜1350年)。アメン神を崇拝し、40年近い在位期間中にルクソール神殿やメムノンの巨像を建設したことでも知られている。
ラー・ホル・アクティーのレリーフ石灰岩に着色して作られたラー・ホル・アクティーのレリーフ(紀元前約323〜30年 プトレマイオス朝)。地平線上のホルスという意味の名前が付けられたこの神は、地平線を守る隼の太陽神として民衆から崇拝されていた。
タ・ミウ婦人像タ・ミウ婦人像(紀元前1990〜1785年 中王国第12王朝)。猫の意味を持つ名前のこの女性は、体の線が出るぴったりしたドレスを着ている。かつらは舞踏の女神ハトホルの髪形を真似した。本来は横にもう一体、彼女の夫の像があっただろうと推測されている。
少女のミイラ約2500年前(紀元前1000年)の少女のミイラ。14歳前後で、富裕層の娘と推定されている。保存状態が良く、天然パーマの髪の毛の質感までそのまま。包帯の巻いた感じもよく分かる。
ビクトリア朝風のギャラリービクトリア朝風のインテリアが重厚なパトロン・ギャラリー。ツタンカーメン王墓を発見したハワード・カーターの所蔵品などが展示されているほか、お香やおみくじアミュレットなど、ミュージアムグッズの販売も。
探検家や巫女などに紛争したスタッフ入口からビアンキ氏の映像までは探検隊に扮したミステリーガイドが、展示室は企画展に合わせて巫女やミイラ職人のコスプレをしたミステリーガイドが担当しており、アトラクション気分が盛り上がる。
ガイドの隣に写っているのはプトレマイオス朝(紀元前305〜30年)時代の黄金のミイラ覆いアンサンブル。庶民は神々を描いた布をミイラに被せたが、富裕層はマスクや胸当てなどを作って被せた。内側にはミイラから染み出た樹脂の付着が見受けられる。

基本情報

名称 古代エジプト美術館
所在地 渋谷区神南1-12-18 メゾン渋谷8F
電話番号 03-6809-0718(開館日のみ)
料金(税込)
一般
大人1,500円、大学生1,200円、高校生以下1,000円
貸切
2時間 20,000円(1〜20人まで)
※法人利用、アレンジが必要な場合は別途応相談
営業時間 12:00〜18:00(最終入館は閉館30分前まで)
※貸切は開館日10:00〜12:00、19:00〜21:00(開館日以外は応相談)
休館日 月〜木、年末年始、展示替え期間
アクセス JR「渋谷駅」徒歩8分
公式サイト http://www.egyptian.jp/top.html

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