触れて動かして学べる! 地下鉄のテーマパーク

地下鉄博物館(葛西)

  • 2016/05/31
  • カルチャー
  • 博物館
地下鉄博物館

葛西駅の高架下にある「地下鉄博物館」。歴史や車両展示はもちろん、建設工事、防災対策、顧客サービスなど、地下鉄を取り巻くさまざまな事柄を実際に触れながら学べる、テーマパークのような博物館だ。鉄道ファンや家族連れを中心に、平日は約180人、週末の多い日は約1,000人が訪れる人気スポット。

入ってすぐに、日本最初の地下鉄1001号車と、丸ノ内線300形第1号の車両が登場。 その脇に“地下鉄の父”と讃えられる早川徳次の胸像がある。早川は、ロンドンの地下鉄を見てその必要性を痛感し、1927(昭和2)年に上野〜浅草間2.2kmを日本初の地下鉄として開通させた。
 日本初の地下鉄車両1001号車は、現代の豪華寝台列車のような落ち着いた雰囲気が漂う。当時の乗客をイメージした人形で実感もひとしお、離すと跳ね上がるリコ式のつり革も面白い。
 丸ノ内線車両も乗車可能。車体の下の機器類にも名称が付けられ、細かく説明されている。展示では、駅ごとの入鋏パンチ、ホームの係員が使う合図灯、測量器などのほか、東京メトロの前身「東京地下鉄道株式会社」のシンボルマークの元になったマンホールの蓋も。
 歴史コーナーを抜けると、地下鉄をつくるコーナーに。副都心線の建設で使ったトンネル掘削機「シールドマシン」の刃部分であるカッターディスクや、各路線の深さと高低差を表した「副都心線 池袋〜渋谷間 沿線地形模型」など、乗っている時には気付かない地下鉄の裏側が見える。アンダーグラウンド3Dシアターでは、トンネル工事から実際に電車が走るまでの一連の工程を3D映像で解説。終電後に保守作業要員の輸送や器材を運搬する軌道モーターカー、トンネル工事で使うシールドジャッキ、パンタグラフなど、実物展示が多いうえ、模型展示もボタンで一部が動いたり、解説が流れ、敬遠しがちな技術面もスルッと頭に入ってくる。

一番奥に広がるのは、シミュレーターや巨大ジオラマなどがあるプレイランドコーナー。小学生以上が体験できる千代田線シミュレーターは揺れも再現されていて、アトラクションのよう。画面のみの銀座線、有楽町線、東西線も本格的なもので、時速60〜100kmで走行し、勾配によるスピード調整が難しい。元運転士のOBがそれぞれに一人ずつ付いて、操作方法や運転のコツを丁寧に教えてくれる。リアル感があり、何度もやりたくなるのも納得の楽しさ。休日は1駅で交代のため、混雑していてもそれほど並ばないのも魅力だ。

子ども向けには、コンプリートすると記念品がもらえるクイズ形式の探検ノートをミュージアムショップで販売しているほか、大型連休には模型電車を走らせるイベントなどを開催。楽しんで体験しているうちに、自然と地下鉄の知識が身に付く、テーマパークのような博物館だ。

自動改札の入場口鉄道らしく自動改札の入場口で、入館券は切符仕様。受付に申し出れば、食事などで外に出ても、再入場できる。
ターンスタイル自動改札機硬貨を入れるとレバーが回る木製のターンスタイル自動改札機。1927(昭和2)年12月30日に開通した日本最初の地下鉄に導入されていた。当時の運賃は10銭均一だったという。
シールドマシンカッターディスク東京メトロ副都心線の建設工事で実際に使われたトンネル掘削機「シールドマシン」の刃部分であるカッターディスク。直径約6.8mあるディスクを回転させて土を削っていく。
地下トンネル実物シールドマシンのカッターディスクで掘られた部分に、組み立てていく円筒のセグメント(トンネルのパーツ)の実物。圧倒的な存在感だが、よく見ると組み合わさった境目が見える。
総合指令所地下鉄の全路線を管理する総合指令所の体験コーナー。東西線のリアルタイムの運行状況を赤い三角で示されたモニタで確認でき、三鷹などいくつかの駅にモニタ画面を切り替えたり、定点カメラで実際の様子を見ることもできる。
100形車両1938(昭和13)年に製造された東京高速鉄道の100形車両。渋谷〜新橋間の新しい地下鉄用に製造されたが、1948(昭和23)年にオレンジに塗られ銀座線として活躍した。乗車してドアの開閉操作が体験できる。
メトロパノラマ目玉展示の1つ、巨大ジオラマ「メトロパノラマ」。1日4回、解説付きで実物の1/80の銀座線、丸ノ内線、有楽町線、南北線、副都心線、半蔵門線など約9路線を走らせる。
シミュレーター 1番人気の「千代田線シミュレーター」。本物の千代田線車両を切断して造られており、揺れや景色も感じられるリアル感満載な運転体験が楽しめる。始発から終点までの40分間を2往復する鉄道ファンもいるとか。
ホール休憩室の隣にある約100人を収容できるホールでは、映画やコンサートを実施。GWや夏休みには、Nゲージ運転会や館内探検クイズなどのイベントも行う。

基本情報

名称 地下鉄博物館
所在地 江戸川区東葛西6-3-1 東京メトロ東西線葛西駅高架下
電話番号 03-3878-5011
料金(税込) 大人210円、4歳〜中学生100円
営業時間 10:00〜17:00(最終入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜(休日の場合は翌平日)、12/30〜1/3
※8月の月曜は臨時開館あり
アクセス 東西線「葛西駅」徒歩0分
公式サイト https://www.chikahaku.jp/

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