9名の作家による《観察 / 所有 / 消費》をキーワードにした美術展「感性の遊び場」

ANB Tokyo(六本木5-2-4)

  • 2022/8/18(木)
  • イベント
  • フォトニュース
9名の作家による《観察 / 所有 / 消費》をキーワードにした美術展「感性の遊び場」

 「観察 / 所有 / 消費」をキーワードに、複製可能な素材・技術を用いて表現する作家や、既製品やデジタルイメージから「もの」の見え方を追求する9名の作家による展覧会が開催中。

 ものやサービスが量産され、DX化が進み、私たちは目に入るものや情報について、それが必要なものか、機能的なものか、価値あるものか、常に見極め続けなければならない時代に生きている。本展に参加する作家たちは、身の回りの日用品や視覚情報に着目し、その表面上の役割を剥ぎ取って、新しいものの見方を示し、観る人の日常に想像的な視点をもたらす機会となることを目指す。

 展示室には、IKEAのバッグに入った観葉植物に取説のような絵が添えられている作品、被写体の輪郭線を描いた絵画のような写真、シリカゲル剤の袋などをそこにあるかのようにアクリル板にプリントした作品、拾った石などを宝物のようにフロック加工した手触りの良い作品、アメリカンハウスを思わせる壁紙を貼った台紙に和紙を重ねて描かれた人物画、アメリカ映画のワンシーンを切り取ったようなクスノキの彫刻、外観は自由の女神の形をしたアクリルの中にバービー人形が入った作品、自動変換するソフトウエアを用いてドローイングをAA(アスキーアート)に変換した絵画など、全く個性の異なる作品が並ぶ。それでいて不思議と調和やバランスがとれていて心地よい空間が広がっている。各々のスペースがあるものの、所々に別の作家の作品も自然に紛れ込んでいる遊び場ならではの試みも面白い。
 写真はAmazonの自社ブランド製品のみで構成するインスタレーション「Amazon Basics」を制作した臼井達也氏。「オンラインショッピングでしか出会えない、一つの箱に偶然組み合わされて入ってきたモノをフィジカルにコラージュした作品を制作してみた。モノとモノによって生まれる空気感や、組み合わせの偶然性から生まれる面白さを感じてもらえれば」と語る。

 今回、個性豊かな9名の作品と空間に見事な統一感が生まれているのは、会場設営を担当した什器チームの活躍も大きい。各作品の台座は同館の建物に使われている資材で制作され、展示室のバランスをとるために3Fの床をくり抜いて4Fに持ってくるなど、随所に違和感を感じさせないほどの大きな工夫が取り入れられている。ぜひ、それらにも注目してほしい。
(出展作家)石毛健太、石場文子、臼井達也、長田奈緒、久保田沙耶、斉藤思帆、鈴木基真、永井天陽、藤田紗衣

【会期】8月14日(日)〜9月19日(月・祝)
【休館日】月・火・水曜(祝日の場合は開館)
【時間】木・金13:00〜19:00、土・日・祝11:00〜18:00※オンライン事前予約、事前決済制

記事を探す

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。