梅津庸一「緑色の太陽とレンコン状の月」

タカ・イシイギャラリー(六本木6-5-24 complex665 3F)

  • 2022/9/20(火)
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梅津庸一「緑色の太陽とレンコン状の月」

 日本における美術の受容史を自らの身を以て体現した代表的な自画像シリーズや、パフォーマンスを記録した映像作品などで知られる梅津庸一の同ギャラリー初個展が開催中。近年新たに制作に打ち込んでいる陶作品を中心に、およそ200点に及ぶ作品群を展示する。

 梅津庸一は1982年山形県生まれ。東京造形大学絵画科卒業。絵画作品、ドローイング作品、自身を題材とした映像作品、セラミック作品、陶板作品と多様なメディアを介して制作を行うほか、自身が主宰する「パープルーム予備校」(2014年〜)および「パープルームギャラリー」の運営、美術手帖 特集「絵画の見かた」(2020年12月号)の監修、テキストの執筆など活動領域は多岐にわたる。

 本展では、その大きさ故に会場内で組み立てられたという三日月のような大きな台座に、彩りも形も豊かな陶作品160点が並ぶ様子は圧巻だ。「クリスタルパレス」「星空を望む」「ボトルメールシップ」などなど個性的なタイトルがつけられた作品を見ていると、まるで遊園地にいるようなワクワクした気持ちになる。2021年に信楽にも居を構え、半年で500点もの陶作品を生み出すほどのめり込んでいる梅津氏の意欲や楽しさも伝わってくるようだ。平面作品もあわせて、1点1点が独立した作品でありながらも、それぞれが有機的な結びつきをみせているのも興味深い。

 陶芸とドローイング、窯業と芸術、モダニズムと図画工作の間を行ったり来たりしながら練り上げられた作品群。決してひとつの結論に回収されることのない梅津氏の複合的なアプローチは、その作品や活動の全体を介して私たちに「美術とはなにか」、「人がものをつくるとはなにか」という疑問も投げかけているようだ。梅津氏の思考の基盤と、次なる展開をこの機会に是非ふれてほしい。

【会期】9月10日(土)〜10月8日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜18:00

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