「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」開幕

森美術館

  • 2022/11/30(水)
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「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」開幕

 日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、森美術館が3年に一度、共同キュレーション形式で開催してきたシリーズ展「六本木クロッシング」の第7回目が開幕。

 会場には1940〜1990年代生まれの日本のアーティスト22組の作品が展示されている。3つのテーマ「新たな視点で身近な事象や生活環境を考える」「さまざまな隣人と共に生きる」「日本の中の多文化性に光をあてる」があるが、はっきりとグルーピングはされず、それぞれが個性的ながらゆるやかに対話しているようにも見られるのが本展示の特徴だ。
 ロボットが未来の寿司ネタを説明する市原えつこの《未来SUSHI》(2022年)、既視感のある形の黒い立体が真っ赤なライトの光に包まれる玉山拓郎の作品《Something Black》(2022年)、夜間工事用の照明機材などで制作されたSIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUADの作品《rode work ver. tokyo》(2018/2022年)、倉庫のような場所で自動搬送するロボットが展示と撤去を繰り返す、やんツーの《永続的な一過性》(2022年)、不確かに変化する雲を表現した青木野枝の「core」シリーズ(2022年)など、一見するとまるでテーマパークのようにも思える大型インスタレーションが印象的で五感を惹きつける。しかしその中にはコロナ禍により顕在化した様々な問題や課題からも取り残された、言葉にならない小さな違和感や声なき静かなメッセージが表現されている。

 今回、同時開催プログラムの中の「MAMプロジェクト030×MAMデジタル」にも注目したい。山内祥太の《カオの惑星》(2022年)は、参加者のカオ(顔)が映像に投影されるオンラインゲーム的な参加型の映像インスタレーション。複数のカオでできた変化し続ける惑星が多様性を表している。

 多文化性のあり方などが叫ばれる一方で脅かされていたり、見過ごされがちな生活の中の小さな違和感の中にこそ、現代社会の大きな問題が隠れているのかもしれない。新しい年を迎えるにあたり、あらためて先の見えにくい明日を皆で考えていくきっかけとなるような内容となっている。

 写真は本展の共同キュレーターの4名。左より 近藤健一氏(森美術館シニア・キュレーター)、レーナ・フリッチュ氏(オックスフォード大学アシュモレアン美術博物館 近現代美術キュレーター)、橋本梓氏(国立国際美術館主任研究員)、天野太郎氏(東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)

【会期】2022年12月1日(木)〜2023年3月26日(日)※会期中無休
【時間】10:00〜22:00(火曜は17:00まで)※ただし12月6日(火)は16:00、1月3日(火)・3月21日(火・祝)は22:00まで ※12月17日(土)は17:00まで ※入場は閉館の30分前まで

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