ジェレミー・スティグター写真展「植田氏を訪ねて」

禪フォトギャラリー(六本木6-6-9 ピラミデ2F)

  • 2022/12/8(木)
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ジェレミー・スティグター写真展「植田氏を訪ねて」

 禪フォトギャラリーでは、社会的ドキュメンタリーが物語と心理学に出会う場としての写真の世界を開拓してきたオランダ人写真家、ジェレミー・スティグターの写真展「植田氏を訪ねて」が開催されている。

 ジェレミー・スティグターは1958年オランダ・ハーグ生まれ、フランス・パリ在住。ストリート・フォトの祖とも言われるオランダ人写真家、映画監督のエド・ファン・デア・エルスケンと1986年に東京で出会ったことがきっかけとなり写真を始める。1990年代から精力的に作品を発表し始め、2005年にはローマ国立近代美術館にて個展「Hito Bito」を開催、また2009年にNazraeli Pressより写真集『The Jewish Bride』を出版するなど、活躍の場を広げている。

 1993年に東京・日本橋にあったツァイト・フォト・サロンにて個展を開催した際に写真家・植田正治氏を紹介されたことが、本展の作品「植田氏を訪ねて」制作の発端となった。
 会場には、同写真集と未収録作品より20点が並ぶ。1993年秋、植田正治氏が在住する鳥取県米子市をジェレミーが訪ねた時の道程と、植田氏の代表的な撮影舞台である《砂丘》で植田氏をモデルに撮影を行った際の作品である。
 撮影時の砂丘は風が強く、小さな折りたたみ傘は植田氏の周りをバタバタと飛び回る黒い鳥のようになったが、必至ながらどこか楽しそうに傘にしがみつき、風に負けぬよう、砂丘を登ったり降りたりしている様子などが収められている。アマチュア精神に貫かれた遊び心と旺盛な実験精神で、写真の新しい地平を築いた植田氏の無邪気な少年のような表情が印象的だ。

 残念ながらこれらの写真を見る機会なく他界した植田氏に捧げるオマージュの意味もこめられた本展。オランダ人写真家の眼をとおした、日本を代表する写真家の表情と、モノクロだからこそ表れる繊細な砂丘の表情をぜひ、ご覧頂きたい。

【会期】12月2日(金)〜12月24日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜19:00

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