三瓶玲奈「光をつかむ」

Yutaka Kikutake Gallery(六本木6-6-9 ピラミデ2F)

  • 2023/1/11(水)
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三瓶玲奈「光をつかむ」

 抽象と具象の両極を行き来しながら、透明感あふれる油彩画を生み出すアーティスト三瓶玲奈(みかめれいな)。「水の重さ、滲む光」(2018年)、「色を見る」(2020年)、「線を見る」(2021年)などに続き、Yutaka Kikutake Galleryで5度目となる個展「光をつかむ」が開催中。

 三瓶玲奈は1992年愛知県生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻修了。身近にあるものや自身の体験をもとに、湿度や温度、手触りなど、触感を連想させる言葉で解く作品は、高い抽象性を帯びながら、どこか温かく、親しみを感じさせるのが特徴だ。

 会場は水の入ったコップを描いた作品をはじめ、頭上の木々などが映る水たまりや晶洞石を観察し、絵画上に光を展開した作品など、十数点の新作によって構成されている。
 作品は一見、簡潔に見えるが、何度も同じ場所に通ったり観察を続けたりしながら、覚えるくらいに緻密なスケッチを重ねたあと、記憶と感覚を頼りに生み出されるという。地平線や輪郭線のように見えない線や、存在しない線を描くことをつきつめた表現や、感性でとらえた光の表情は、独特な透明感や瑞々しさを放つ。
 花をモチーフにした《色をほどく》と《色を編む》では、反射する光の表現の違いにより、それぞれ異なる花の表情が見られる。会場の光の届き具合によっても変化するため、その繊細な違いをぜひ会場で体感してほしい。

 これまでに取り組んだ線や色、光のテーマを捉えなおす本展は、過去と現在の間で三瓶が見出した差異の分の彩りを帯びて、画家の新境地を照らし出すだろう。三瓶の紡ぎ出す新作絵画の構成に注目したい。

 会期は2月4日(土)まで。日・月曜、祝日休。時間は12:00〜19:00。

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