水野里奈「Garden」

六本木ヒルズ A/Dギャラリー

  • 2023/2/6(月)
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水野里奈「Garden」

 ボールペンと油彩により、極彩色と単色、西洋と東洋といった相反する要素を繊細かつ大胆な筆致で重層的(レイヤー)に表現する水野里奈。庭に関連した新作の油彩作品を中心に紹介する展覧会がA/Dギャラリーで開催中。

 水野里奈は1989年、愛知県生まれ。2014年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画領域修了。主な受賞にVOCA奨励賞(2015)などがある。各地での個展開催のほか、2019〜21年まで母校の名古屋芸術大学で教鞭をとり、2020〜21年、島田雅彦『パンとサーカス』新聞連載小説の挿絵も担当するなど活躍の場は幅広い。

 会場に足を踏み入れると、春の訪れを思わせるような明るく、香り立つような作品が並ぶ。
 近くで鑑賞すると、モスク寺院のタイルのようにきらびやかで緻密な装飾が浮き上がるように描かれている。その一方で所々に水墨画のような大胆で強い筆致もみられる。さらに、麻のキャンバスがあえて部分的に残されていることにより、描くことと描かないことが鮮烈な印象を与える。

 自宅の庭で実際にガーデニングを楽しむ水野は、「想定どおりにゆかず、失敗と成功の積み重ねで少しずつ理想に近づいてゆく様が、絵画の制作と少し似ている」という。
 ドローイング作品に見られる即興で勢いのある滑らかな線が、植物を主体として様々なモチーフと絡み合い、変化しながら柔軟に多様なものと関係性を結んでいく表現にも表れているようだ。

 作家本人でさえ驚くような作品があれば、観覧者からはもっと大きな驚き以上の何かが生まれるのではないかと期待し「見ても見きる事の出来ない」絵画を目指しているという水野。
 遠くから眺めるのと近くで鑑賞するのとでは異なる表情をみせる、その世界をじっくり堪能したい。

 会期は2月19日(日)まで、会期中無休。時間は12:00〜20:00。

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