山本雅紀 写真展「我が家2」

ZEN FOTO GALLERY(六本木6-6-9 ピラミデ2F)

  • 2023/2/17(金)
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山本雅紀 写真展「我が家2」

 2017年に刊行した写真集『我が家』で、小さな文化住宅に同居する自らの家族の日常を赤裸々に写したユニークな作風が海外で好評を博し、The New Yorkerなどのメディアにも取り上げられるなど大きな話題を呼んだ山本雅紀。禅フォトギャラリーでは、写真集『我が家2』の刊行にあわせて、写真展「我が家2」が開催されている。

 山本雅紀(やまもとまさき)は1989年兵庫県生まれ。2012年日本写真映像専門学校卒業。初写真集『我が家』の刊行にあわせ、パリのMind’s Eye - Adrian Bondy Galleryにて個展を開催。ヨーロッパ写真美術館(パリ)に作品が収蔵される。2018年のParis Photo / Aperture Foundation Photo Book Awardsでは、First Photo Book部門で最終候補となり、その後程なく写真集は完売。最近ではイスラエルでグループ展「Inside Out」に出品するなど、国際的にも活動を広げている。

 三男二女、計7名の山本家。幼少期は車上や児童養護施設で生活するなど、波乱万丈な人生経験をもつ。しかしながら、会場に展示された36点の作品に悲壮感はなく、そんな生い立ちも楽しんでいるような飄々としたしなやかさや余裕すら感じられる。

 家族には「この散らかった写真のどこが良いのかさっぱりわからん!」と言われるという。赤裸々な家族の姿を撮り始めたきっかけ、そして撮り続けるのはなぜか。「写真の専門学校を卒業後、1年間ほどワーキングホリデーを使い、海外で過ごしたことが大きなきっかけになりました。家族とはじめて離れたことで、改めて自分の家族について考えるようになり、家族と向き合ってみようと思いました。またその頃に出会った友人に自分の生い立ちや家族の話をすると、ユーモアをもって受け入れられたことも大きかったと思います。だったら、面白い山本家の家族をそのまま、写真をとおして伝えたらいいやん!と自信をもつようになり、ありのままを撮り続けています」。

 そんな話を山本氏から伺っていた会場には、一つひとつの作品を熱心に見入る外国人の来場者の姿も。アイルランド出身というその男性にも話を伺うと、5年前の個展「我が家」に感銘を受け、今回の展示の開催を知って駆け付けたという。山本氏の作品は「honesty」(正直でストレート)そして「not embarrassed」(胸を張って、これが家族だ!とオープンに見せている)表現が素晴らしいと語り、写真集を2冊購入。1冊はニューヨークでライターをしている友人に贈るという。「なにか良い話(ニューヨークでの紹介)になったらまた連絡します」と言い残し、会場を後にした。

 開催初日の本日、兵庫県から上京し、数時間のみ在廊していた作家が、5年前の個展で感銘を受けたという、アイルランド人の鑑賞者に出逢い、その男性がニューヨークの友人に縁をつないでいく。なんともドラマティックな場面に遭遇した。そんな縁をも引き寄せる、才能あふれる若き作家がさらに、世界に羽ばたく日もそう遠くないかもしれない。

【会期】2月17日(金)〜3月18日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜19:00

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