世の中に深く影響を与えるデザインを「The Original」と定義し、家具、食器からテキスタイルや玩具など約150点のプロダクトを紹介する展覧会が3月3日（金）より開催されている。

 開幕前日に開催されたオンライン記者会見には、本展の作品選定者でもあり、デザインの第一線で活躍する3名−土田貴宏氏、深澤直人氏、田代かおる氏らが登壇。
 ディレクターを務めた土田氏は開催にあたって、「多様なデザインがあふれ、揺れ動く時代においても確かな創造性と根源的な魅力、純粋さ、大胆さ、力強さを備えたデザイナーによるプロダクトを本展では「The Original」と呼び、作品を選定した。本館の創立者、三宅一生氏の思いを引き継ぎ、インスピレーションに反映させた」と語った。
 また、企画原案を担当した深澤氏は「何がオリジナルかコピーか分かりづらい現代。生活に活かそうとする作者の強い想いや覚悟があり、多くの人を平和に導くようなThe Originalを今の時代こそ皆さんと共有したい」と本展に寄せた。

 最後に参加者から「150点のうちコレ！という1点は？」との質問で三者が回答したものは、ヴェルナー・マックス・モーザーの黒い椅子（深澤氏）、スタジオフォルマファンタズマが制作した火山灰を釉薬としたタイル（田代氏）、ベント・ソーンフォルスのベットリネン（土田氏）など、実物を見ると驚くほどシンプルであることに驚く。でもどこか惹かれる、ちょっと使ってみたいと思う、それがThe Originalということなのかもしれない。

 写真は企画協力に携わった田代かおる氏。壁面右側に見えるのが火山灰を釉薬としたタイルだ。「これは、豊富な天然資源をデザイン・マテリアルとして応用できないか、という実験的な試みから生まれた量産タイルです。火山灰は安定した発色が難しく、開発に３年を費やしたそうです。それだけにシンプルながら味わいのある作品となっています。ブルーボトルコーヒー渋谷カフェのカウンターなど、実際に使用されているものを見るとより魅力が分かります」と語る。

【会期】2023年3月3日（金）〜2023年6月25日（日）
【休館日】火曜日（3月21日は開館）
【時間】10:00〜19:00 ※入場は閉館の30分前まで