向山喜章 Candle Flame・9

Yutaka Kikutake Gallery(六本木6-6-9 ピラミデ2F)

  • 2023/4/11(火)
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向山喜章 Candle Flame・9

 代名詞ともいえるワックスを用いた作品で光に姿を与え固定化するような試みを続ける向山喜章(むかいやまきしょう)。近年では繊細な色彩のコントロールが特徴的なキャンバス作品に取り組むなど、表現領域を多彩に展開する向山の個展「Candle Flame・9」が開催中。

 1968年大阪府に生まれ、真言密教の伽藍が立ち並ぶ高野山で幼少期を過ごした向山。物心ついた頃から親しんだのが、暗闇を照らすろうそくや朧月の柔らかな光だ。それらの原風景が表現された奥から滲むように淡い色彩が発光するようなキャンバス作品は、京都の元離宮二条城、神奈川県の浄楽寺など、日本の伝統的な空間建築での展示が高い評価を得る。また、2018 年から 2019 年にかけては、MGM リゾーツ・インターナショナルの招聘により、ラスベガスにて半年間の滞在制作を行うなど、国際的な活動においても知られている。

 本展は、Yutaka Kikutake Galleryにおける向山の7回目の個展であり、「月のひかり」、「色彩のひかり」三部作に続く「祈りのひかり」三部作の幕開けとなるもの。
 会場には月を表現したという、9つの丸いキャンバスがひとつの形象を形作るMoonveeda(2023年)、平安時代の色調がイメージの基となっているVeeda(2022年)、作品表面に風紋が際立つマテリアルが月光を想起させるMaruyulate(2001年)など、新旧の作品群によって構成されている。

 数字の9に、始まりを意味する英語のCue(キュー)を重ね、発展を遂げた作品群で構成される本展。「祈りのひかり」という新たな三部作のスタートは混迷を極める現代社会に「不透明な世の中を優しく照らす灯明のような心でありたいもの」という作家の願いも込められている。

 会期は5月13日(土)まで。日・月曜、祝日休。時間は12:00〜19:00。

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