上田義彦「いつでも夢を・永遠要憧憬」

小山登美夫ギャラリー(六本木6-5-24 complex665 2F)

  • 2023/8/3(木)
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上田義彦「いつでも夢を・永遠要憧憬」

 アート写真、広告写真というカテゴリーを超え、40年以上第一線でシャッターを切り続けてきた上田義彦。その代表作の一つである、ウーロン茶の広告のために中国各地で撮影された作品(1989〜2011年)を発表する個展が開催されている。

 撮影のはじまりは、練炭や石炭の香りや煙が立ち込め、現代の発展した姿とは異なる80年代末の中国。
 毎年5〜6回、中国国内を移動しながら大連から海南島の海岸沿いで撮影された女性のポートレートを中心に、本展では上田氏自身が大型プリントで現像し、作品の美しさを軽やかに引き出すオリジナルの額装をほどこした作品が紹介されている。

 会場入り口で迎えるのは、紺のワンピースの少女たちが森の中で楽しげに踊る姿を捉えた作品。CM撮影の緊張感から解き放たれた一瞬を収め、少女たちの自然な表情を見事に惹き出した作品は本展でも特に上田氏の思い入れがあるという。
 もう一つの展示スペースには、夏のけだるい昼間に金魚をながめる女性、砂浜をゆっくり歩く女性の姿など、実際に広告で使われた作品が展示されている。
 いずれも上田氏の写真から生まれる不思議な力によって、広告の意図を超えて「作品」として成立する、力強さとたおやかさを存分に発揮している。

 ジャンルや既成概念にとらわれず本質を写し出す、まさに真骨頂といえる作品群。夏の日々に目に鮮やかに映る本作をじっくり堪能したい。

【会期】7月29日(土)〜8月26日(土)※8月13日(日)〜21日(月)夏季休廊
【休廊日】日月祝
【時間】11:00〜19:00
【画像】photo by Kenji Takahashi

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