「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」プレス内覧会

国立新美術館

  • 2023/10/31(火)
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「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」プレス内覧会

 動的に変化する大規模なインスタレーションによって国際的にも高く評価されている現代美術家、大巻伸嗣。国立新美術館 企画展示室2Eにおいて、空間をダイナミックかつ繊細に使った個展が観覧無料で開催。

 会場に入りまず、その大きさと煌めきに圧倒され、惹き込まれるのが、2016年に初めて発表された《Gravity and Grace》シリーズの最新バージョン。さまざまな動植物からなる文様を施された大きな壺は地球そのものを表現しているといい、壺から放たれる強烈な光と、それが生み出す影が水の流れの音やヒーリングミュージックのような音に呼応するようにゆらぎ、一瞬のカタチを捉えては消えていく。

 作品を前に大巻氏は「元々あったものが抜き取られ、無になった時に真空が生まれるが、失ったものに対する新たな息吹や運動が生まれてくる。その根源がタイトルにもある『真空のゆらぎ』。新しい世界がこの空間で生まれるイメージを作品で表現したかった。鑑賞者そのものが空間やインスタレーションの一部でもあり、その中で運動を起こす一部でもある。作品を通して、身体的、精神的なゆらぎや振幅を体感し、他者と自分も見つめていきながら、この世界を考えてもらえれば」と解説した。
 同会場の黒い床には詩人・関口涼子氏の詩も描かれており、昇降するライトにより、ふっと浮かんでは消える。知らなければ通り過ぎてしまうような些細な気配にも気付いてほしいと大巻氏は加える。

 会場を進んでいくと、漆黒の空間に、まるで深海の巨大生物のような有機的な運動を示す布を用いて、外的世界と人間の内面世界が浸透したような独自の空間が創出されている。寄せては返す波のようでもあり、ふわりふわりと流れる雲のようでもあるが、一瞬として同じ形はなく、消えてはまた別の形で再生される。内覧会では、このインスタレーションの中でダンサー・鈴木竜氏によるパフォーマンスなどが披露された(写真)。

 本展では、これまでほとんど発表されなかった繊細なドローイング作品も多数展示されるほか、演劇分野にも活躍の幅を広げる大巻が携わった舞台の映像なども紹介されている。
 大巻が創り出す、現代総合芸術の世界に浸れる唯一無二の空間が広がっている。

【会期】11月1日(水)〜12月25日(月)
【休館日】火曜
【時間】10:00〜18:00(金・土曜は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
【画像】「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」展示風景 2023年 国立新美術館

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