カンディダ・へーファー「Reflections of Spaces - Spaces of Reflection」

KOTARO NUKAGA(六本木6-6-9 ピラミデ2F)

  • 2023/11/13(月)
  • イベント
  • フォトニュース
カンディダ・へーファー「Reflections of Spaces - Spaces of Reflection」

 建築物のインテリアを緻密に構成した大型のカラー写真で知られる、ドイツ出身の写真家カンディダ・ヘーファー。KOTARO NUKAGAでの初個展が開催されている。

 ヘーファーの作品は、細心の注意を払ってショットを構成し、部屋の中央または空間の内部構造を最もよく表す対角線に沿って対称的に配置し、図書館、博物館、ホテル、美術館などの文化的・制度的建造物にレンズを向け、誰もいない不在の公共の空間や施設に残された心理的な残骸を捉えているのが特徴だ。
 会場には、オペラ座のガルニエ宮や世界で最も美しい図書館にも挙げられる、聖ジュヌヴィエーヴ図書館などの内部の様子が詳細に伺える作品が展示されている。荘厳で優美な佇まいに惹き込まれ、ふと現実を忘れそうになるが、ただ美しいばかりではない。

 本展のリリース執筆を担当した同ギャラリー・キュレーターの北桂樹氏は次のように解説する。
 「本展のメインビジュアルにも使われている《Herzogin Anna Amalia Bibliothek Weimar VI 2004》のアンナ・アマリア図書館は、18世紀の優美で装飾的なロココ様式でデザインされ、彫像や肖像画が至る所に飾られています。建物を命じた侯爵夫人アンナ・アマリアの権力や、「知」に対する当時の権力者の姿勢が垣間見えます。作品を詳細に観て頂くと、現代に設置された立入禁止区域への防護板、配線コードなどの写り込みもヘーファーは隠しません。へーファーは単にこの場所を歴史的な場所として提示するのではないのです。彼女はこの場所が現代においても文化的な「場所」として機能するために、さまざまな力学が働いていることを可視化しており、鑑賞者に「場所の概念」に対する深い洞察を提供しています。彼女の作品は政治や宗教的権力、知識や芸術など、近代以降に積み上げられた文化と歴史と私たちとの関係が、思考の反射を生み出し、その場所に関与するあらゆる要素を明らかにしていきます」。

 会場だからこそ感じられる空気感や作品の詳細にも注目しながら、静かにじっくり、作品と対話したい。

【会期】10月14日(土)〜12月23日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】11:00〜18:00
【画像】Osamu Sakamoto

記事を探す

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。