NACT View 04 和田礼治郎:FORBIDDEN FRUIT

国立新美術館 正面入口

  • 2024/1/30(火)
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NACT View 04 和田礼治郎:FORBIDDEN FRUIT

 国立新美術館のパブリックスペースを使って開催されている企画シリーズ「NACT View」。1月24日(水)から公開されたのは、ベルリンを拠点に活動する彫刻家・和田礼治郎のインスタレーション《FORBIDDEN FRUIT》だ。

 物理的な現象や力学による独自の手法を通じて、宇宙、生命、時間などの形而上学的な主題に取り組み、国内外で評価を確立してきた和田礼治郎(1977年〜)。
 本展で展示される《FORBIDDEN FRUIT》は、複数の強化ガラスと生の果実と果樹で構成されている。作品の中央にある空間から作者が投企したさまざまな果実は、強化ガラスの間に挟まり、空中で静止。時が止まったかのように宙に浮かんでいる。瑞々しい果実は時間の経過とともに落下し、地面で朽ち果てていく姿を見せる。

 作品タイトルの「禁断の果実」は、旧約聖書の中の「失楽園」に登場する「知恵の樹」を示唆している。本作には、神話に関連する柘榴、葡萄、無花果などの果樹が植樹され、砲弾やケシの実のようなブロンズの異物も混在している。放射状に配置されたガラスの構造体は、監獄建築の構造で知られる透明なパノプティコン(全展望監視システム)から着想したという和田氏。「聖地をめぐる人間の争いが制作の動機となりました。自然と人為、秩序と混沌、存在と消失、儚さと永続、包摂と排除、さまざまな両極性が渾然一体となった"楽園の原風景"を表現しています」と語る。

 3月中頃には庭園の桜とのコントラスト、5月頃には果樹の緑が生い茂るようすなど、作品周囲の風景の移ろい、作品を構成している果実や果樹が時間の経過とともに変化するようすを楽しめるという。折々に足を運んでその変化を鑑賞したい。
 展示期間は6月10日(月)まで。休館日は火曜。美術館の開館時間に準じて公開される。

【画像】和田礼治郎《FORBIDDEN FRUIT》2024年 国立新美術館 展示風景

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