勅使河原蒼風

タカ・イシイギャラリー(六本木6-5-24 complex665 3F)

  • 2024/2/15(木)
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勅使河原蒼風

 いけばな草月流の創設者であり、造形作家でもある勅使河原蒼風(てしがはらそうふう 1900〜1979年)。
 戦後の前衛いけばな運動を主導するだけでなく、国内外の同時代の現代美術とも接続し、造形作家としてそれを牽引した稀有な存在でもある。タカ・イシイギャラリーでの2回目の個展となる本展では、屏風に描かれた書や絵画、彫刻作品など、12点が発表されている。

 勅使河原の作品は、彫刻、絵画、書、コラージュと多岐にわたる。なかでも、多くの書の作品を制作したが、これは同じ線(枝)で構成される書にいけばなとの相似性を見ていたことが理由だという。揮毫された文字は植物のように有機的で、まるで表象されている概念が象形文字である漢字の殻を食い破って外部へほとばしるかのようなエネルギーを発している。
 屏風に描かれた《翆竹(石)》(写真中央)に見られるように、図である文字に対し、地の部分を着色する技法はその印象をより際立たせ、同時にいけばなにおける線と塊の関係をそれらに重ね合わせていることがうかがえる。

 本展では、木材の一部に真鍮のプレートを貼り付けた繊細な質感と大胆な彫跡が特徴的な彫刻作品、書や彫刻の猛々しさとは対照的に、穏やかな作風が印象的な富士山を主題とした油絵、いけばなに通じる独特な配置と和を感じさせる奥深い色彩の切り絵作品など、マルチな才能が存分に伺える作品が並ぶ。

 取材中も若い世代を中心に来場者が多く見られ、関心の高さが伺えた。近年、再評価が進む勅使河原作品は、3月15日から開催される第8回横浜トリエンナーレにも出展される予定だという。
 彼が作り上げた生命力あふれる作品を通して、花や植物、人の命に向かい合いながら、それを造形せずにはいられない強靱な創作への欲望を伺い知ることができるだろう。

【会期】2月10日(土)〜3月16日(土)
【休廊日】日月祝
【時間】12:00〜19:00
【画像】勅使河原蒼風 展示風景 タカ・イシイギャラリー 2024年2月10日 - 3月16日 ©Sogetsu Foundation / Courtesy of Sogetsu Foundation and Taka Ishii Gallery  撮影: 橋健治

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