企画展 ライトアップ木島櫻谷― 四季連作大屏風と沁みる「生写し」プレス内覧会

泉屋博古館東京(六本木1-5-1)

  • 2024/3/15(金)
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企画展 ライトアップ木島櫻谷― 四季連作大屏風と沁みる「生写し」プレス内覧会

 2027年に生誕150年を迎える近代の京都画壇を代表する日本画家・木島櫻谷。
 本展の見どころは大正中期に大阪茶臼山に建築された住友家本邸を飾るために描かれた櫻谷の「四季連作屏風」だ。客人をもてなすために特注されたという大型の金屏風は、四季感を出し、その前に座った客人が映えるようにデザインされているという。

 野地耕一郎氏(泉屋博古館東京館長)によるスライドトークでは、「光琳風」のように見えるこれらの作品は、よく観ると櫻谷ならではの斬新で意欲的な取り組みが盛り込まれていると解説する。桜の花びらは白色顔料の胡粉により油絵に近い重厚なマチエール(表面の質感)で描かれている。胡粉は水で溶く際に指を使うため時間の経過により特に白色はホコリや手の脂によるシミやムラが出やすいが、櫻谷の桜の花びらには一点のシミやムラも見当たらないのだという。また菊の花びらは裏と表で微妙な質感の違いを、茎の部分は産毛のような表情を、葉はつぶし方の違う岩絵具の使い分けにより繊細な色の違いを見事に表現しているという。

 この他にも、円山応挙をはじめとする「写生派」の先人絵師により描かれた孔雀や鼠、猫などさまざまな動物の毛並みなどを拡大したスライド画像の比較により、輪郭を描かず精緻な筆跡が特長の「円山派」や、輪郭を描き、減筆によりリアリティを追求した「四条派」の作品、円山四条派の写生表現を学びながら自らの画風を確立していった櫻谷による動物たちの表情なども紹介された。

 野地館長は、「『写生派』の絵師たちによる繊細で巧みな筆遣いや、櫻谷によるヒューマンな動物の表情を間近で堪能してほしい」と話す。

【会期】3月16日(土)〜5月12日(日)
【休館日】月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
【時間】11:00〜18:00(金は19:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
【画像】展示風景 主催者の許可を得て撮影

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