高橋是清翁記念公園

向かいは赤坂御所、両隣はカナダ大使館にモダンな草月会館と優雅な街並みに溶け込む高橋是清翁記念公園。
生い茂る木立の下、池を中心に石灯篭や石橋がゆったりと配された公園は、かつて金融恐慌や金解禁後の折に大蔵大臣として辣腕をふるった高橋是清の邸宅だった。
家屋は移築されたが、庭園部分は当時の様子を留めている。
園内奥に、福々しい容貌から“ダルマ蔵相”と親しまれた高橋翁の蔵が鎮座する。

  • 2009/08/12
  • カルチャー
  • 緑の散策路

堂々たるクスノキの木立を抜けると、カエデ、モッコク、ウラジロカシなどの広葉樹が彩る和風庭園が現れる。中央にある池の周りには、重厚感のある石灯籠や石人像がひっそり佇む。苔むした地面ともあいまって荘厳な雰囲気がただよう園内。都会の喧騒をしばし忘れさせてくれる空間は、ブレイクタイムにちょうどいい。晩秋の頃は、木々が鮮やかな色に染まり、ちょっとした紅葉狩り気分を味わえる。

奥まで歩を進めれば、小高い丘の上に見えてくる「高橋是清翁像」。園内全体を見渡せる場所から、微笑みをたたえた高橋翁が来園者をやさしく迎える。像以外には彼を想起させるものがないので気づきにくいが、この地は「2.26事件」が起こった現場でもある。高橋翁も散策したであろう庭園を歩いて、歴史的なドラマに想いをはせるのもいい。

公園の入り口付近は、すべり台やブランコなど子どもが遊べる広場が完備。この広場と和風庭園に挟まれるように、ベンチスペースも設けてある。庭園全体を一望できるうえ、一人でゆったりと座れるサイズのベンチがとても落ち着くのでおススメ。風景を眺めつつ、読書する女性もちらほら。ふと日常を離れて、自分らしい時間を過ごすのに最適のスポットといえるだろう。

  1. 晩年の姿をうつした高橋是清翁像。初代のものは戦時中に失われたため、昭和30年に再建された
    晩年の姿をうつした高橋是清翁像。初代のものは戦時中に失われたため、昭和30年に再建された
  2. 公園全体を見渡せるビューポイント。ベンチで読書を楽しむ女性も
    公園全体を見渡せるビューポイント。ベンチで読書を楽しむ女性も
  3. 園内には、こんこんと水が湧く泉がある
    園内には、こんこんと水が湧く泉がある
  4. 晩秋には、赤いカーペットのようなドウダンツツジの紅葉が見事
    晩秋には、赤いカーペットのようなドウダンツツジの紅葉が見事
  5. 和風庭園の趣をかもし出す小川
    和風庭園の趣をかもし出す小川
  6. 園内に点在する石人像。一体ごとに表情や大きさが異なる
    園内に点在する石人像。一体ごとに表情や大きさが異なる
  7. 真っ赤に色づくカエデ。背景のモダンなビルは、華道草月流の草月会館
    真っ赤に色づくカエデ。背景のモダンなビルは、華道草月流の草月会館
  8. 風格ある石灯籠は、子どもの背丈ほどの大きさがある
    風格ある石灯籠は、子どもの背丈ほどの大きさがある
  9. カラフルな遊具がそろう入り口付近の広場。親子連れでにぎわう
    カラフルな遊具がそろう入り口付近の広場。親子連れでにぎわう
  10. 高橋是清の業績を記した石碑。昭和16年の開園時に建立。結びの「東京市」の文言に時代の流れを感じる
    高橋是清の業績を記した石碑。昭和16年の開園時に建立。結びの「東京市」の文言に時代の流れを感じる
公園の歴史
1878(明治11)年
近代地方自治制度の整備後、東京は15区6郡に区画。赤坂区(現在の赤坂・青山地域)が誕生した。当地に最初の赤坂区役所が建つ
1901(明治34)年
大正・昭和期に蔵相・首相をつとめ、財政再建に奔走した高橋是清邸の自邸が竣工。是清は生涯をこの邸宅で過ごした
1938(昭和13)年
高橋是清記念事業会が東京市に寄与
1941(昭和16)年
記念公園として開園
1950(昭和25)年
港区に管理が移行。現在に至る
※高橋是清の邸宅は、都立小金井公園内の「江戸東京たてもの園」に移築。邸宅内部も観賞することができる

基本情報

名称 高橋是清翁記念公園
所在地 港区赤坂7-3-39
問合せ 03-5413-7015(赤坂地区総合支所 協働推進課土木係)
アクセス 大江戸線「青山一丁目駅」徒歩5分
銀座線・半蔵門線「赤坂見附駅」徒歩10分
公式サイト https://www.city.minato.tokyo.jp/shisetsu/koen/akasaka/04.html

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