ライフ・オブ・デビッド・ゲイル 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ライフ・オブ・デビッド・ゲイル

最後の最後まで目が離せない!
ケビン・スペイシー、アラン・パーカー監督による
硬派でスタイリッシュな社会派サスペンス



 大学教授によるレイプ殺人事件は冤罪か否か!?思いがけない展開とスタイリッシュな映像で最後の最後まで観る者を惹きつけ続ける本格サスペンス。名優ケビン・スペイシーと人気女優ケイト・ウィンスレットの共演、アラン・パーカー監督による硬派な社会派ドラマである。

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
 レイプ殺人犯として死刑が確定した、死刑廃止論者の元大学教授デビッド・ゲイル。彼は死刑執行までの3日間で、女性ジャーナリストのビッツィーに自分の記事を書くよう依頼。デビッドの話から冤罪の可能性を知ったビッツィーは事件について緊急に調査を開始する。だが被害者の女性の体内に残る彼の精液、窒息させるために顔を覆ったビニールに残る指紋、それ以前にもあった女生徒へのレイプ疑惑……と状況や証拠はすべて彼が犯人だと指し示すものばかり。しかし2日目の夜、謎のビデオテープが彼女のもとへ届き……。
ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
 ラストで明かされる事件の真相とその奥に秘められた強い意志には、とても驚かされた。事件の検証や事実関係の確認など、地味なストーリー展開を驚愕の結末まで飽きさせることなく導いたのは、ケビン・スペイシーの演技力とパーカー監督の表現力によるところが大きい。スペイシーが『ユージュアル・サスペクツ』『アメリカン・ビューティ』でも演じた、善人とも悪人ともとれるグレーな人物像。その奥行きある存在感は、本作でも大いに発揮されている。また印象的なのは、歴史上の人物や昔の哲学者たちの言葉を引用し、フラッシュのようにスクリーンに映し出されるキーワードやメッセージ。ドライでキレのある映像を取り入れ、“死刑制度の是非”という深刻なテーマを見ごたえのあるドラマに結実できたのはパーカー監督だからこそ。ロマンティックものやドキュメンタリー、ブラックコメディまで幅広いジャンルを手がけ、人間の本質に鋭く迫る彼の感性は、いつでも観客の心を大いに刺激する。


 監督はミュージカル『ライオンキング』で女性初のトニー賞ミュージカル部門の演出賞を受賞し、同時に衣装賞も獲得したジュリー・テイモア。映画監督は『タイタス』に続く2作目となる才人だ。2003年度アカデミー賞にて作曲賞、メイクアップ賞を受賞した本作では、古代都市の遺跡やディエゴの自宅兼スタジオであった保存建造物による撮影、フリーダの自宅や彼女が纏っていた民族衣裳の再現……と、物語を支える背景も素晴らしい。スタッフのひたむきな努力は、メキシコの熱い風が伝わってくる原色の映像へと結実した。


 「絵は自分の現実であり、すべて経験した真実を語っている」と、自らの作品についてコメントする彼女。これから「Bunkamura ザ・ミュージアム」では、フリーダをはじめ5人の女性画家たちの作品約80点を展示する『メキシコの女性シュルレアリストたち フリーダ・カーロとその時代』を開催。映画に登場するレプリカも美しいが、複製ではない、本物のフリーダに会えるのだ!感情を真っ正直に描き、居心地の良いような悪いような微妙な感覚、共感と嫌悪を同時に引き起こすような強い作品を前に、あなたは何を思うだろう。ここは自伝的映画と絵画作品、双方観ることを強くおすすめしたい。  
『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』 2003年アメリカ映画
データ
2003年6月更新

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル

2003年7月上旬公開
日比谷シャンテシネほかにて
公開予定

■2003年 アメリカ映画
■上映時間2:11
■UIP配給
■監督/アラン・パーカー
■製作/アラン・パーカー
ニコラス・ケイジ
■脚本/チャールズ・ランドルフ
■出演/ケビン・スペイシー
ケイト・ウィンスレット



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。