サハラに舞う羽根 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
サハラに舞う羽根

若手俳優らの熱演に心打たれる
かのインド人監督カプール氏が綴る
英国古典文学を原作にしたスペクタクル大作



 1998年の映画『エリザベス』で米アカデミー賞にてメイクアップ賞受賞のほか、作品賞など5部門にノミネートされ、一気に世界的に認められたインド人監督シェカール・カプールの最新作。原作は1902年に発行されたイギリスの古典文学であるA.E.W.メイスン著『The Four Feathers』。砂漠での戦闘やサバイバルをモチーフに友情や信頼、人の在り方、青年の成長物語を描いたスペクタクル大作だ。

サハラに舞う羽根
 19世紀末のイギリス。自他ともに認める優秀な軍人ハリー(レジャー)は、反乱軍が蜂起した危険地域スーダンへの派遣に恐れと疑問を抱き、自ら軍を除隊。ハリーに心酔する親友のジャック(ベントリー)は彼をかばうものの、3人の仲間たちや婚約者エスネから、臆病者を意味する白い羽根が届いてしまう。愛する者たちや世間から離れて悩み抜いた彼は、仲間を援護するため、自らの誇りを取り戻すため、誰にも告げず単独でスーダンへと旅立つ。
サハラに舞う羽根
 注目は実力派の若手俳優であるヒース・レジャー、ウェス・ベントリー、ケイト・ハドソンらのフレッシュな顔合わせ。特にラスト近く、死闘で視力を失っていても何にも替えがたい確信を得たジャック(ベントリー)の歓びの表現はさりげなくも力強く、観る者の心を打つ。またレジャーは砂漠の迫力の戦闘シーンで、命がけのアクションを披露。落馬→100頭の駆ける馬とともに走る→馬に乗る、という体当たり演技をして、カプール監督を驚かせたという。これには後日、監督がハリウッドのお偉方に怒られた、というこぼれ話も。危険を承知で自らスタントに挑んだレジャーもいいし、上層部や保険会社からのお叱り覚悟で若手のやる気を汲んでやった監督もいい。さわやかな裏話だ。


  カプール監督が来日したとき、彼はなんと7月11日に甲子園で行われた阪神巨人戦にて、始球式に登板した。野球とはまるで関係のないシリアスな映画のPRで来日した監督を始球式に登板させる配給元のPR戦略もナゾだが、それを受ける監督も監督。なかなかおちゃめだ。カプール監督のお人柄がよく伝わってきたのは、記者会見での質疑応答。インド人らしい鷹揚さ、日常的に哲学がなじんでいる深みある思考、周囲をリラックスさせるユーモアなどが感じられ、会見に集まったマスコミ陣を魅了した。


 余談だが、ラスト近くに正面から撮ったレジャーの風貌がなぜかスマップの稲垣吾郎によく似ていて、とてもいいシーンだったのに噴き出しそうになってしまった。これはとてもいいシーンなので、レジャーの吾郎ぶりに惑わされず、ストーリーの感動をよーく味わってください。
『サハラに舞う羽根』 2003年アメリカ・イギリス合作
データ
2003年8月更新

サハラに舞う羽根

2003年9月公開
みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

■2003年 アメリカ・イギリス合作
■上映時間2:12
■アミューズピクチャーズ配給
■監督/シェカール・カプール
■出演/ヒース・レジャー
ウェス・ベントリー
ケイト・ハドソン



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。