ラストサムライ 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ラストサムライ

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日本古来の凛とした精神性をハリウッドから逆輸入!
戦争の傷を心に負った米国軍人と誇り高い侍、
ナショナリティを超えた魂の結びつきに感動



 トム・クルーズが侍に!? 社会的な視点や人間らしい心理描写に定評があり、『戦火の勇気』『恋に落ちたシェイクスピア』など数々の受賞歴をもつエドワード・ズウィックによる監督・脚本・製作。明治維新後、近代化の波に翻弄されながらも誇り高く生きた侍たちと彼らに魅入られたひとりの男の生き様を壮大なスケールで描く。ハリウッドメイドによる、日本を舞台にした初の本格時代劇。その真価やいかに?

ラストサムライ
 1870年代後半。南北戦争の英雄である米国軍人オールグレン大尉は、戦後の平和な社会で酒びたりの日々を送っていた。何の罪もない先住民のインディアンたちを討伐したことや戦争そのものの恐怖が、彼の心を深く蝕んでいたのだ。そんなとき日本の軍隊を指導する仕事を受け、日本へと渡る。その後、にわか仕立ての軍隊で侍の勝元が率いる軍勢と対決したオールグレンは敗退し、勝元の村に連れて行かれる。
ラストサムライ
 悪夢にうなされ、居場所を求めてさまよい、祖国から遠く離れた極東の地へ――。自らがいつのまにか負ってしまった魂の負債に対する苦悩と、それを清算して心の安らぎを得るまでのひとりの男の道のり。オールグレンの生き様を通して私たちは、魂の流れ着くさまを体験する。舞台美術や衣裳などがすばらしい“ザ・侍ドキュンメント”風であることは予想通りだったが、人間ドラマとしてもしっかりと見ごたえのある仕上がりは予想以上だった。


 約1年かけて侍の剣術や武道の訓練を積んだというトム・クルーズの動きはもちろんお見事。そしてオールグレンと同志として心を通わせる勝元役の渡辺謙、勝元の部下である侍を演じた真田広之、オールグレンの世話をする勝元の妹役に小雪、と日本の俳優勢も大健闘!スターの引き立て役などではまったくなく、物語に欠かせない大切な存在として、しっくりと作品になじんでいた。そして日本的な映像がまた、とても美しい。侍の屋敷として撮影された兵庫県・姫路にある西暦900年建立の圓教寺、ニュージーランドに再現された緑豊かな農村の光景……。内容も映像もこれだけ熱心に作りこまれていれば、「侍がこんなに英語を話せるわけがない」とか、「真田広之のカッコいい鎧は北欧のバイキングの鎖帷子みたいだ」とか、そうしたことは見逃してあげてもいいと思う。


 日本人よ、誇らしくあれ。脈々と受け継がれる自国の文化、気質の良い面をもっと理解し、尊ぶべきだ。ハリウッドにアメリカの人々に、この映画でとくとくと教えられてしまった。なにやら「してやられた……」と、うれしくもあり、はずかしくもあり。そんな映画なのである。
『ラストサムライ』 2003年アメリカ映画
データ
2003年11月更新

ラストサムライ

2003年12月6日 日米同時公開
丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

■2003年 アメリカ映画
■上映時間2:34
■ワーナー・ブラザース映画配給
■監督・脚本・製作/エドワード・ズウィック
■ 出演/トム・クルーズ
渡辺謙
ティモシー・スポール
ビリー・コネリー
トニー・ゴールドウィン
真田広之
小雪



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。