患者サンドラーV.S.医師ニコルソン!
神経衰弱な現代をカラッと笑い飛ばす
セラピー・コメディ・ムービー
史上最多という12回のアカデミー賞ノミネートを誇る味な俳優ジャック・ニコルソンと、コメディアンとして俳優として大人気のアダム・サンドラーが真っ向対決!? 煮え切らなくもキレやすい男に、エキセントリックなセラピストが施す“怒り抑制セラピー”とは?怒りあり笑いあり愛あり、とってもわかりやすいコメディ・ムービーである。
ペット用品会社のサラリーマン、デイヴは、社内での立場も恋人リンダとの関係もかためきれずにいた。子供の頃のトラウマや仕事上の人間関係などのストレスが彼を不安にさせるからだ。ある日デイヴは飛行機の機内で傍若無人な男の隣に座ったことを機にフライト・アテンダントの女性とトラブルになり、訴えられてしまう。その裁判で命じられた“怒り抑制セラピー”のセラピストとしてデイヴの前に現れたのは、例の傍若無人な男=バディ医師だった。
患者と同じベッドで寝て、会社には同伴出社。バディ医師による過剰なセラピーの数々はなかなか笑える。患者仲間として、ジョン・タトゥーロやルイス・ガスマンなどの濃ゆい俳優たちが狂言回しで登場するのも楽しい。また、N.Y.の名所であるセントラル・パークやヤンキー・スタジアム、N.Y.の顔である前市長のルドルフ・ジュリアーニにヤンキース選手のデレック・ジーターやロジャー・クレメンスらが本人役でカメオ出演。
I ♥ N.Y.!的に名物の数々を堪能できる点も見どころだろう。
ただ。全米公開時の評判が高かったため、ゲラゲラ大笑いできる作品に違いない、と期待が大きかったせいか、さほど抱腹絶倒できなかったことはすこし残念。もっと面白くなるんじゃないか、もっと面白くなるんじゃないか、と思っているうちに終わってしまった……というのが正直なところ。英語圏のコメディ映画を観るといつも「台詞すべてを完璧に聞き取れたらどんなに楽しいだろう」と強く思う。早口でまくし立てているあの面白そうな部分では何を言い、英語圏の人々で共有している暗喩や比喩はどんなことを表しているのだろう?字幕翻訳の約束上、早口の長〜い台詞はほんの2〜3行にしか訳されない場合もある。いったい何を言っているのやら。もしかしたら作品の旨味を50%ぐらいしか味わえていないのかも……?最近だと『ブルース・オールマイティ』でもそう感じた。
英語圏のコメディ映画を100%楽しむコツのひとつは、ヒアリング力の強化?思いっきり大笑いするために、耳を鍛えてみるのもいいかもしれない。「よし。ヒアリングを鍛えよう!」。年始らしく、ささやかな野望を胸に抱いた。
公開 | 2004年2月公開 日比谷みゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー |
---|---|
制作年/制作国 | 2003年 アメリカ |
上映時間 | 1:45 |
配給 | UIP映画 |
監督 | ピーター・シーガル |
脚本 | デヴィッド・ドーフマン |
製作総指揮 | アレン・カヴァート トッド・ガーナー ティム・ハーリィ ジョン・L.ジェイコブス アダム・サンドラー |
出演 | ジャック・ニコルソン アダム・サンドラー マリサ・トメイ アレン・カヴァート ジョン・タトゥーロ ルイス・ガスマン |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。