ペイチェック 消された記憶 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ペイチェック 消された記憶

鬼才のSF作家P・K・ディックの短編を映画化
ジョン・ウー監督の緊張感ある演出が冴える
スリリングな近未来アクション・サスペンス



 なぜ自分が命を狙われるのか、約100億円もの報酬を自ら放棄したという理由は――? 『フェイス/オフ』『M:I‐2』などハリウッドでも成功を収めている香港映画界出身のジョン・ウーが監督、『デアデビル』のベン・アフレックと『キル・ビル』のユマ・サーマン共演による近未来アクション・サスペンス。手元に届いた19個のアイテムと、断片的にフラッシュバックする映像だけを手がかりに、次第にエスカレートする追っ手から逃れつつ真相に迫っていく。頭の体操とストレス解消ができるさっぱりとした娯楽作である。

ペイチェック 消された記憶
 技術力と情報力が過剰に進化し続けている近未来。フリーのエンジニアであるマイケルは、各企業の極秘プロジェクトを完遂するたびにその間の記憶を消去して高額のペイチェック(給料小切手)を受け取る、というきわどい仕事をしている。肉体的・精神的負担を考えて拘束と記憶消去の期間は2ヶ月までとしていたが、3年間の拘束・記憶消去で100億円、という古い知人からの破格の申し出を受けることに。が、3年後に仕事を終え、記憶を消されて日常に戻ると、弁護士から報酬は放棄したと告げられ、命を狙われる羽目になっていた。
 ジョン・ウー監督作といえば、やはり見どころはアクションシーン。本作でも生身の肉体同士のバトルや車とバイクのカーチェイスなど、リアルなバイオレンスが展開。もちろんただ派手なだけではなく、ジョン・ウー監督お得意の効果的なスローモーションづかいでドラマティックに演出。『マトリックス』の監督ウォシャウスキー兄弟にも大きな影響を与えた香港アクションの持ち味が、大がかりなエンタメにスケールアップして楽しませてくれる。


 原作は『トータル・リコール』『ブレードランナー』『マイノリティ・リポート』の原作者として知られる鬼才のSF作家フィリップ・K・ディック(1928‐1982)の短編小説。背景やディティールなどは変えられているそうだが、根本的な仕掛けや発想の妙は20年以上も前に書かれたものとは思えないほどキレがいい。時代を超えて読み継がれるP・K・ディック作品の普遍性に改めて感心した。


 学者やエンジニアが筋肉ムキムキ、アクションバリバリってどういうことー? といういじわるな目線はさておき、アクション映画の出演経験で鍛えた動きを本作でも披露した主演の2人。いま実はプライベートではそれぞれ、アフレックはミュージシャンであり俳優業もする女王様ジェニファー・ロペスと遂に破局!? と騒がれていて、サーマンは夫イーサン・ホークの浮気が原因で別居中、とのウワサあり。とくにサーマンは個人的にファンなので、一生懸命戦う姿に思わず「がんばって!!」と、いろんな意味で応援してしまった。
『ペイチェック 消された記憶』 2003年アメリカ映画
データ
2004年2月更新

ペイチェック 消された記憶

2004年3月13日公開
日比谷スカラ座1ほか
全国一斉ロードショー

■2003年 アメリカ映画
■上映時間1:58
■UIP配給
■監督/ジョン・ウー
■原作/フィリップ・K・ディック
■出演/ベン・アフレック
ユマ・サーマ
アーロン・エッカート



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。