ドーン・オブ・ザ・デッド 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ドーン・オブ・ザ・デッド

かの傑作ホラー『ゾンビ』が現代に甦る!
エッジを効かせたスタイリッシュな映像で
人間の本性をユーモラスに鷹揚に表現



 ジョージ・A・ロメロ監督が製作したホラー映画の金字塔、'79年の『ゾンビ』をハリウッドがリメイク。監督はカンヌ国際広告映画祭の金獅子賞ほか、多数の受賞を誇る現役のCMディレクターにして、本作で映画監督デビューとなるザック・スナイダー、主演にインディペンデント映画での演技に定評のあるサラ・ポーリーをはじめ、味のあるスタッフとキャストが集結。まさにゾンビのごとく脅威の生命力で、不朽のカルト傑作が現代に甦った。  


看護婦のアナが愛する夫とともに、いつもの穏やかな朝を迎えたとき、街は死者がゾンビとなって人々を襲う、生き地獄と化していた。ゾンビになってしまった夫から逃れ、ほかの生存者たちと出会ったアナは、仲間たちとともにショッピングモールへと立てこもる。しかし建物はいつしか、ゾンビの大群に取り囲まれ……。

ドーン・オブ・ザ・デッド
 BGMのコーディネイトや、リズムと疾走感ある映像の打ち出し方が絶妙。これはCM界で磨かれてエッジが効いている、スナイダー監督独自の感性の賜物だろう。音楽には、厳かで深みあるレクイエムや恐ろしげな効果音のみならず、明朗で軽快なカントリーや幸福の匂いのするジャズなどを印象的に使用。恐怖に満ちた極限の異様な世界でも、食べて寝て、誰かに惹かれたりゲームをしたりもする人間のしぶとさや、ときには弱く醜く、ときには強く純粋にもなる人々の本性が鷹揚に描かれている点が面白かった。玉石混合のリメイク作のなかでも、魅力ある仕上がりだろう。
ドーン・オブ・ザ・デッド
 主演のサラ・ポーリーは、好きな女優のひとり。『死ぬまでにしたい10のこと』で認められ、若手注目株としてハリウッドでも評価が高い。彼女の演技にはとても人間味があり、カッコつけや気取りは一切なく、役柄に自然にスッと馴染むところには、若手とは思えないほどの職人的な女優魂を感じさせる。どこかゆるい感じの丸っこい顔や体つきも、とても愛らしい。ホラー大作の主演は意外に思えたが、25歳の彼女は今後もさまざまな作品に出演し、自身の幅を広げていくことだろう。


 ホラーは個人的にあまり得意ではなく、実は試写も観るだけでもたいへん疲れる。怖がりのため、どうしても本気でビビッてしまい、首も肩もガチガチに凝ってしまったりする。今回も関係者向けの試写でみなさんが冷静に観ているなか、女の子が犬を追っていくシーンで思わず「ダメッ!」と小さく叫んでしまい、ちょっと恥ずかしかった。しかし今は、恐れてばかりもいられない。なぜなら今年はこれからも、注目のホラー映画が目白押しなのだ。なにぶん不得手なジャンルのため、ホラーがお好きな方には物足りないかもしれないが、何かしら感覚に引っかかった作品については、努めて紹介していきたいと思っている。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』 2004年アメリカ映画
データ
2004年4月更新

ドーン・オブ・ザ・デッド

2004年5月15日公開
日比谷スカラ座1ほか
全国東宝洋画系にてロードショー

■2004年 アメリカ映画
■上映時間1:40
■東宝東和配給
■監督/ザック・スナイダー
■脚本/ジェイムズ・ガン
■製作/トーマス・ブリス
■出演/サラ・ポーリー
ヴィング・レイムズ



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。