NOEL (ノエル) 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
NOEL (ノエル)

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クリスマスのNYに起きるささやかな奇跡と
メジャー俳優の共演をハートウォームに楽しむ
愛と赦しをテーマにしみじみと展開する群像劇



 クリスマスはすべてのひとに訪れ、奇跡は求めるひとのもとへ舞い降りる。大きなツリーに聖歌のハーモニー、クリスマスカラーが街を鮮やかに彩る12月24日の朝。人々が笑顔でパーティやディナーの準備に浮き足立つ街角から、物語は始まる。プレゼントを抱えて早足で歩く女性、婚約中のカップル……幸せそうに見える人々にも実はいろいろな事情がある。オスカー女優のスーザン・サランドン、キュートなラテン系女優ペネロペ・クルス、精悍な若手俳優ポール・ウォーカー、ベテラン俳優アラン・アーキンらが出演する、クリスマスのNYを舞台にした群像劇。シーズン向けのハートウォーミングなドラマである。


 イブ当日。バツイチの独身女性でありながら児童書の編集者であるローズは、寝たきりの母親の看病をするためいつもどおり病院へ。結婚を控えて幸せいっぱいのはずのニーナは、婚約者マイクの病的な嫉妬深さに限界を感じている。当のマイクはなぜかカフェの店員である初老男性マーティにつきまとわれ、冴えない男ジュールズはクリスマスを病院で過ごしたがっていた。
NOEL (ノエル)

 誰もが祝福を受けるはずの聖なる日。それぞれの事情で右往左往する人々が、街のどこかで触れ合い、不思議な連鎖でささやかな奇跡へと導かれていく。良いエピソード集であり、健全なメッセージが伝わってくる作品である。部分部分は共感できるものの、展開が読めてしまうところや、全体の流れの弱さなどには少し物足りなさを覚えた。また、いい俳優たちを起用していながら、その持ち味があまり生かされていない様子も。監督は俳優であり、本作で映画監督デビューを果たしたチャズ・パルミンテリ。「私が望むことは、映画を観た人に幸せな気持ちを抱いてもらうこと」と語る彼。この経験が“監督” パルミンテリの今後の製作に役立ち、良質な映画作りを目指す監督がひとり増えたことを歓迎したい。
 妙に目を見開いた表情ばかりでローズを演じるサランドン、血気盛んなマイク役にイメージぴったりのウォーカー、謎の初老男性アーティを実直に演じるアーキン。それぞれに安定した演技で無難に役をこなしている。後半では、ある有名俳優がさりげなく登場。資料でもふせられているので、こちらはサプライズとしてお楽しみに。


 さて、ひとり抜群に輝いていたのはペネロペ・クルス。目の周りをアイラインで真っ黒に縁どったきついメイクも、彼女ならありし日のブリジット・バルドーばりにかわいい。ブラックのランジェリーにハイヒールでサルサを踊る姿は、普遍的な小悪魔的魅力を放ってキラキラと輝いている。彼女の演じたニーナ同様、実生活でも恋人マシュー・マコノヒーと結婚間近、と噂されている彼女。2人の出会いは2005年製作の『サハラ死の砂漠を脱出せよ』のため、2004年の作品である本作の彼女と重ねるのはナンセンスかもしれないが、この日本公開のタイミングはなかなか。個人的にこの映画の一番のおすすめポイントは、キュートなペネロペだったりして。


 ちょっと疲れた都市生活者たちに捧げる現代のクリスマス・ストーリー。愛や赦しをテーマにした本作を観て、街のイルミネーションや喧騒から抜け出してしみじみと浸ってみるのも悪くないかもしれない。
『NOEL (ノエル)』 2004年アメリカ映画
データ
2005年11月更新

NOEL (ノエル)

2005年12月10日公開
東劇ほか全国ロードショー

■2004年 アメリカ映画
■上映時間1:36
■ギャガ・コミュニケーションズ
Gシネマ配給
■監督/チャズ・パルミンテリ
■脚本/デヴィッド・ハバード
■出演/スーザン・サランドン
ペネロペ・クルス
ポール・ウォーカー
アラン・アーキン
マーカス・トーマス



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。