プロデューサーズ 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
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トニー賞12部門を制したミュージカルが映画に!
主演2人によるブロードウェイ仕込みの歌と踊り、
舞台演出をほぼそのまま映画にした仕上がりは?



 2001年、アメリカ演劇界にて最高の権威であるトニー賞を史上最多の12部門受賞した大ヒットミュージカルの映画化。そのブロードウェイ版で演出・振付を担当し、トニー賞を獲得したスーザン・ストローマンが映画初監督を手がけ、舞台でも主演をつとめた2人のベテラン俳優ネイサン・レインとマシュー・ブロデリックが同じ役で出演、ユマ・サーマンがヒロインとして華を添えている本作。あくまでもオリジナルにこだわった、その仕上がりとは?


 1959年のNY。落ち目の舞台プロデューサー、マックス(レイン)のもと、生真面目な会計士のレオ(ブロデリック)が帳簿を調べに訪れる。そこでレオがふと、資金を募って作品を上演しても即失敗すれば、出資者に配当を支払わずにプロデューサーが儲かることに気付く。するとマックスは失敗確実の作品を上演して資金を持ち逃げする、という企てを思いつき、実はプロデューサー志望というレオを巻き込んで作戦を開始。セクシーなド素人の女優志望(サーマン)やナチス信奉の原作者、なんでもゲイのショウにしてしまう演出家などダメなメンバーをそろえていく。
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 登場人物が皆アクが強くてクドいため、ちょっと吉本新喜劇を彷彿とさせるような(笑)。ちゃっかり屋のウーラを演じたサーマンは、ただただスウィートなコメディエンヌというシンプルなキャラにハマりきれていない気も少ししたが、新たな一面という意味では面白かった。
 舞台をほぼそのまま映画化したかのような本作では、そのまますぎてカメラワークのリズムやさりげない視覚効果でみせるような映画としての面白味に欠けているようにも思えた。古典的な様式が上手く生かしきれていないのは残念だ。見どころは人気曲「I Wanna Be A Producer」などのミュージカルシーンの数々。主演2人による本場の歌と踊りを堪能できるのはひとつの魅力だろう。


 そもそものオリジナルは、1968年にメル・ブルックスが監督・脚本を手がけ、アカデミー脚本賞を受賞した映画。それを2001年にブルックス本人の脚本、作詞作曲でブロードウェイ・ミュージカル化し、2005年にまたまたブルックスの脚本・作詞作曲で再映画化したのが本作。正直なところ、本作は期待ほどの出来ではないかもしれないが、ここまでひとつの作品に心血を注ぎ、映画として舞台として長く高評を得てきたことに敬意を払いたい。


 この映画で最もおすすめのシーンは、最後の最後。ギリギリまで楽しませようとするサービス精神、ブラックジョークやラブ&ピースをちりばめた歌がかわいらしい。エンドロール最後のつぶやき、その後に流れる登場人物たちの挨拶がとてもいいので、どうか最後まで席は立たずに、見届けてあげてほしい。
『プロデューサーズ』 2005年アメリカ映画
データ
2006年3月更新

プロデューサーズ

2006年4月8日公開
日劇1ほか全国東宝洋画系にて
ロードショー

■2005年 アメリカ映画
■上映時間2:14
■ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給
■監督/スーザン・ストローマン
■脚本/メル・ブルックス
トーマス・ミーハン
■出演/ネイサン・レイン
マシュー・ブロデリック
ユマ・サーマン
ウィル・フェレル
ゲイリー・ビーチ
ロジャー・バート



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。