恋は足手まとい

フランスの人気女優がコメディ初主演
恋する歌姫と個性的な面々が織り成す
ベルエポックの奔放な恋模様を描いた艶笑喜劇

  • 2006/05/12
  • イベント
  • シネマ
恋は足手まとい© 2005 Elefilm-France 2 Cinema-Rhone-Alpes Cinema-Les films du Losang

フランスのスター女優エマニュエル・ベアールがコメディに初挑戦。ベルエポックの薫りが立ちのぼる19世紀末のパリを舞台に、歌姫リュセットと彼女を取り巻く人々との間に起こる恋の空騒ぎを描く。1894年のパリで初演された戯曲に現代的なニュアンスを加え、映画化された作品である。

金持ちのハンサムに新聞記者にもと夫、とりまきの男たちを従える美しい歌姫リュセットは、生真面目な妹と気の利く執事とともに、豊かに楽しく暮らしている。リュセットは一文無しでベッドが上手い恋人エドワールに夢中だが、彼はリュセットと別れ、持参金目当てに伯爵令嬢と結婚しようと企んでいた。

恋は足手まとい

ビジュアルや宣伝文句から、エレガントで気取ったおフランス的な恋の駆け引きかと思いきや、意外とコメディ色の強い仕上がり。フランス映画だけあって際どいシーンも多々あるものの、ほとんどコント、というノリで明るくカラッと楽しめる。

恋は足手まとい

コメディ初主演のベアールは、キュートな魅力をぞんぶんに披露。大きな潤んだライトブルーの瞳とグラマーな肢体で恋人を誘う、奔放な小悪魔キャラを好演。現在公開中の『美しき運命の傷痕』で演じている、夫に相手にされずに苦悩する人妻役とは正反対。陽気なコメディもよく似合うことが証明された。とてもそうは見えないが、撮影時のベアールは40歳。初コメディにギャグ同然の激しいセックスシーンと、区切りの年齢で新たな挑戦をし、新鮮な表情を見せてくれたのかもしれない。

見どころは女性たちのスウィートなファッション。オートクチュールのドレスに白いレースをたっぷりあしらったブラウス、髪やウエストに大小のコサージュをあしらい、花模様のドレスも多数。そのカラフルなスタイルが、今の流行にも通じるロマンティックな世界を美しく彩っている。原作者は1862年生まれ、生粋のパリジャンであるジョルジュ・フェドー。モリエールと並び称される喜劇作家である彼の実生活のエピソードは、実に魅力的だ。10歳で不倫をテーマにコメディを執筆し、本作の執筆を始めたのは18歳で結婚した2ヵ月後。21歳にアテネ座で『恋とピアノ』にてデビューしてからは、戯曲が次々とヒットしたのだそう。父は売れっ子作家、母は完璧な美人にして男たらし。フェドー自身もハンサムで、流行作家にして金持ち、夜遊びも盛んだったとのこと。まるで自らの艶笑喜劇をそのまま実践していたかのような暮らしぶりだ。そうしてパリ社交界の恋愛を味わい尽くしたからこそ、リアルな妙味を作品に生かすことができたのだろう。

恋は足手まとい

原作よりも女性がたくましくアレンジされているという本作。痛快な展開の後、“ひょうたんから駒”のハッピーエンドをお楽しみに!

作品データ

恋は足手まとい
公開 2006年初夏公開
シアターN渋谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2005年 フランス
上映時間 1:40
配給 バップ+ロングライド
監督 ミシェル・ドヴィル
原作 ジョルジュ・フェドー
出演 エマニュエル・ベアール
シャルル・ベルリング
ドミニク・ブラン
ジャック・ボナフェ
マチュー・ドゥミ
ジュリー・ドパルデュー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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