スターダスト

女性の姿をした流れ星と出会った青年の運命は?
英国の人気作家ニール・ゲイマンの物語を映画化
ダークでユーモラスな愛と冒険のファンタジー

  • 2007/10/19
  • イベント
  • シネマ
スターダスト

現代のファンタジー作家として世界的な人気を誇るニール・ゲイマンの冒険物語を充実のキャストで映画化。出演は主人公に抜擢された注目の若手チャーリー・コックス、着実に実力を伸ばしているクレア・デインズ、そしてオスカー俳優ロバート・デ・ニーロ、確かな存在感のあるミシェル・ファイファー。監督は『スナッチ』の製作、『レイヤー・ケーキ』の監督を手がけたマシュー・ヴォーン。さえない青年が冒険によって成長し、確かな愛と地位と名誉を獲得するシンデレラボーイ・ストーリーである。

イングランドの田舎にあるウォール村。ここには、人が決して越えてはならない伝説の壁がある。村で暮らす18歳の青年トリスタンは美女に恋をしていたがまったく相手にされず、壁の向こうに落ちた流れ星を愛の証として持ち帰ると彼女に約束。トリスタンが壁の向こうに行く話を父に告げると、壁の向こうで生きているはずの母からの手紙を渡される。トリスタンは願った場所に行ける魔法のロウソクに火をともし、母のもとへ行こうとするも流れ星のことが頭をよぎり、なぜか地面に横たわる女性イヴェインのもとへ到着。聞けば、彼女は自分が流れ星であるという。

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次々と思いがけない出来事に巻き込まれていくトリスタンとイヴェイン。永遠の命と美貌を与えるという流れ星の心臓を狙う魔女に追われ、空飛ぶ帆船で雷を狩る海賊に囚われ、血で血を洗う王位継承劇を繰り広げる王族7人兄弟の生き残りと亡霊たちに襲われ……と、本作ではダークでエネルギッシュな魔法の世界が展開。プロダクション・デザイナーは、『スター・ウォーズ』エピソードI・II・IIIのギャヴィン・ボケット。どこかクラシックで趣のある、自然と引き込まれていくような映像世界を作り上げている。

とりえのない青年から美丈夫な騎士へと変貌するトリスタンをコックスが、流れ星という幻想的な存在でありながら庶民的でかわいらしいイヴェインをデインズがそれぞれに好演。傑作は○○趣味の海賊のキャプテンをノリノリで演じたデ・ニーロ。ファイファーは『ヘアスプレー』に続いて、美に執着する敵役がよくハマっている。

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原作者のゲイマンは権威あるヒューゴー賞を3回、ネビュラ賞や世界幻想文学大賞など数々の文学賞を受賞しているイギリスの人気ファンタジー作家。この映画の原作は、’97年にゲイマンとイラストレーターのチャールズ・ヴェスとのコラボレーションで発表し、ベストセラーとなったグラフィックノベルとのこと。そもそも’89年にDCコミック・シリーズ『サンドマン』のブレイクからキャリアをスタートさせたゲイマンは、宮崎駿監督の『もののけ姫』が海外配給される際に英語版の脚本を手がけたことでも知られ、またオリジナル脚本『ベオウルフ』がロバート・ゼメキス監督によって映画化され公開待機中、自身の映画監督デビューが決まっているなど、そのマルチクリエイターぶりを映画界でも発揮し始めているそうだ。

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女性は愛されて輝く星のようなもの、男性は純情で未熟な冒険者のようなもの。殺伐としていながらもユーモラスでファンタジック、どこか寓話的でもある大人のためのファンタジー。ハッピー・エバー・アフターのそのまたアフターまでをも語り、「なるほど!」と妙に納得させられる美しすぎるエンディングも素敵。ゲイマン関連の映画作品が、今後も大いに楽しみである。

作品データ

スターダスト
公開 2007年10月27日公開
日劇3ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2007年 イギリス・アメリカ
上映時間 2:08
配給 ワーナー・ブラザース映画
監督・製作・脚色 マシュー・ヴォーン
原作・製作 ニール・ゲイマン
脚色 ジェーン・ゴールドマン
出演 クレア・デインズ
チャーリー・コックス
ロバート・デ・ニーロ
ルパート・エヴェレット
ミシェル・ファイファー
ピーター・オトゥール
シエナ・ミラー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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