K-20 怪人二十面相・伝

怪人二十面相容疑の男V.S.本物の二十面相
名探偵・明智小五郎とその婚約者・羽柴葉子。
謎と陰謀を解き明かす和製エンタテインメント!

  • 2008/11/21
  • イベント
  • シネマ
ワールド・オブ・ライズ©2008「K-20」製作委員会

金城武が怪人二十面相に!? 第二次世界大戦が回避された架空都市「帝都」を舞台に、怪人二十面相に仕立て上げられたサーカスの男と本物の二十面相とのバトル、二十面相を追う名探偵・明智小五郎との対立とその顛末を描く。出演はアジア圏を中心に不動の人気を誇る金城武、舞台をはじめ安定した演技力で魅せる松たか子、TVや映画で活躍する仲村トオル。監督・脚本は’07年の『アンフェア the movie』の脚本で知られる佐藤嗣麻子。独自のレトロフューチャーな映像にロマンが薫り、派手なアクションとCGで惹きつける。スカッとさわやかな活劇である。

1949年の帝都。19世紀から続く華族制度によって貧富の差が広がり、恋愛も仕事も身分によって制限される不毛な格差社会。サーカスで人気の曲芸師・遠藤平吉は、貧民街の人々とともに身を寄せ合って暮らしている。体の悪い団長を医者に診せたくても金がない、という中、平吉は雑誌社の男から依頼された結納式の隠し撮りをすることに。それは羽柴財閥の跡取りの羽柴葉子と名探偵・明智小五郎、トップレベルの華族たちの結納式だった。そしてその日、怪人二十面相は羽柴家の絵を盗むと予告。式当日、厳戒態勢をかわして平吉が撮影を始めると爆破がおこり、怪人二十面相として逮捕されてしまう。

金城武

クラシカルでモダンな映像がスタイリッシュ。『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズを手がけた日本テレビと大手制作プロダクションのROBOTが再びタッグを組み、人気俳優たちとともに作り上げたエンタテインメント作。原作は’89年に発表された北村想の小説『怪人二十面相・伝』。ROBOT代表取締役の阿部秀司が原作者から映画化の快諾を得てから20余年、経験と技術を積み上げて、長年温めてきた企画を完成させたとのこと。ストーリーは、原作をもとにしたオリジナル。ロンドンで映画制作を学び、これまでに手がけた映画やCM、ゲームのムービーなどで国際的な賞を受賞している佐藤嗣麻子監督の感性が生かされている。

松たか子

金城武は二十面相の容疑をかけられる実直な平吉を好演。持ち味であるコミカルな面も楽しい。中村トオルは切れ者の明智をクールに演じ、人気の若手俳優・本郷奏多が演じる助手の小林少年とも好い塩梅。なんといってもハマり役は、羽柴財閥の跡取りのお嬢様・葉子役の松たか子。世間知らずでもあらゆるスキルの持ち主であり、ピュアな美しさを放ち、思想をもって理想を実現しようとする行動派。松たか子生来の育ちのよさも相まって、お嬢ならではの天然っぷりをかわいらしく生き生きと演じている。実生活で結婚後、初めてとなるウェディングドレス姿のシーンも。

金城武、松たか子

世界配給を見据えて制作され、カンヌ国際映画祭の上映でも高く評価されたという本作。怪人二十面相という昭和のダークヒーローで大人世代を取り込み、人気俳優や作りこんだヴィジュアルで若い世代を引き込む、わかりやすい活劇。興行成績次第では、続編の制作もありそうな予感。個人的には、その後のサーカスの団長さんや、小林少年と少年探偵団の活躍が知りたい…という期待も。ともあれまずは本作、日本の一流製作陣と人気キャストが贈るアクション・エンタテインメント。その観客たちの評価はいかに。

作品データ

K-20 怪人二十面相・伝
公開 2008年12月20日公開
全国東宝系にてロードショー
制作年/制作国 2008年 日本
上映時間 2:17
配給 東宝
監督・脚本 佐藤嗣麻子
脚本 橋本 忍
原作 北村想
出演 金城武
松たか子
國村隼
高島礼子
本郷奏多
今井悠貴
益岡徹
鹿賀丈史
中村トオル
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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