ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

© 2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
結婚式前日、悪友3人が目覚めたら新郎が行方不明に!
記憶のない前夜、彼らは何をしでかしたのか?
世界的に大ヒットしたコメディ・ムービーが上陸



 スター俳優なし、制作費はメジャースタジオがかける平均的な費用の半分以下。それが2009年6月5日に北米公開されるやいなやクチコミ効果でスマッシュヒットとなり、全米の歴代コメディ映画(R指定)史上No.1の興行収入2億7700万ドルを記録。2010年の第67回ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門にて作品賞を受賞し、ようやく日本に上陸した注目作。監督はドキュメンタリーからコメディに路線変更した経歴をもつ39歳のドット・フィリップス、出演は本作で人気スターの仲間入りを果たしたブラッドリー・クーパー、コメディ映画で活躍しているエド・ヘルムズ、スタンダップ・コメディアンで俳優、製作や脚本も手がけるザック・ガリフィアナキス、インディペンデント映画のミューズ、ヘザー・グラハムほか。この映画の成功でスタッフもキャストも一気に出世した、縁起のいい(?)アゲアゲの爆笑ムービーである。


 結婚式を2日後に控えたダグと、新婦の弟で変わり者のアラン、ダグの悪友でイケメンの不良教師フィルと生真面目な歯科医ステュ。4人はダグのバチェラーパーティ(独身最後の日に新郎の男友達だけで集まってハジけるパーティ。欧米では一般的)をしようとラスベガスへ繰り出し、かの有名なカジノホテル、シーザーズ・パレスのスウィートにチェックイン。飲んで盛り上がった翌朝に目覚めると、部屋は荒れ果て、バスルームには生きた虎、クローゼットには見知らぬ赤ん坊が! フィルとステュとアランにはまったく記憶がなく、翌日に結婚するダグは行方不明になっていた――。
エド・ヘルムズ、ヘザー・グラハム
 「それだけは勘弁してくれ!」と当事者なら思うだろうことが、これでもかと立て続けに発覚してゆく人災コメディ。日本にいつくるかいつくるかと待ちわびて、北米公開から1年たってようやく日本で劇場公開となった。いわゆるアメリカン・コメディのようにベタベタの笑えないギャグを延々と続けるタイプではなく、シチュエイションや会話のやり取り、間合いの妙で観る側の共感を引き出し、万国共通の笑いのツボを突いてくる。期待どおり、ガッツリ笑わせてくれる作品だ。フィリップス監督は世界的な大ヒットの理由について、「二日酔い(ハングオーバー)の体験は万国共通だからだろうね」とサラリ。「この手の映画を作る時は、極力リアリティを追求することを僕は重視する。僕らがみんな経験したことのあるごく普通の状況で、尋常ではないことが起きるところに笑いがあるからね」と語っている。


 奔放で決断力のあるフィル役はクーパーが演じ、この映画をきっかけに彼はブレイク。クーパーは2010年公開の映画『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』にて主要キャラクターのフェイス役を演じ、私生活ではレニー・ゼルウィガーと婚約間近と噂されている。クーパーはジュード・ロウ風のとてもわかりやすくチャーミングなイケメンなので、これからますます人気を集めそうだ。酔うと何でもアリの適当男に変貌するステュ役はヘルムズが、ズレたカン違い野郎で良くも悪くもゆきすぎのアラン役はガリフィアナキスが、美人ストリッパーのジェイド役はグラハムが、行方不明となるダグ役は『理想の彼氏』のジャスティン・バーサがそれぞれに好演。またホテルのエレベーターで女性とイチャつく濃ゆい男役でフィリップス監督が、もとプロボクサーのマイク・タイソンが本人役で出演するなど、遊び心もたっぷりと。劇中でインパクトがあったのは、カン高い声の“謎の中国人”。パンフレットに名前がなかったので調べてみたら、彼はアメリカ生まれのアジア系コメディアン、ケン・チョンとのこと。生まれつきIQが非常に高く、医師を経てスタンダップコメディアンに転身した、という変り種。チョンは2011年公開予定の『トランスフォーマー3』に出演するそうで、個人的には今後の彼にも注目したい。  
エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキス、ブラッドリー・クーパー
 ハリウッドのコメディ作品は英語圏以外ではあまりヒットしないことが定説。それゆえ日本でも劇場公開をするか否かで保留状態だった本作。ツイッター効果もあって映画ファンから劇場公開を嘆願する署名が3ヶ月で2500以上集まり、その声に応える形で日本でも劇場公開が決定した、という経緯はユニークだ。そしてこの映画は世界27カ国で第1位を獲得し、現在までの世界興行収入は4億6200万ドルに。この勢いにのって続編製作が決定し、2010年内に撮影、2011年5月に北米で公開予定とのこと。1作目がこれだけのヒットをしてしまうと続編が前作と同等かそれ以上に面白いかどうかは微妙なところだが、ちょっとだけ期待したいところだ。女性蔑視に敏感な人にはひっかかるところもあるかもしれないが、それはそれでおおらかに。実際、酔って酩酊でもしようものなら明日は我が身? やらかした男どもが自分たちのまいたタネを必死で回収してゆく姿がなんとも可笑しい、よく練られたコメディ・ムービーである。
『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』
2009年 アメリカ映画
データ
2010年6月更新

2010年7月3日公開
シネセゾン渋谷ほか
全国ロードショー

■2009年 アメリカ映画
■上映時間1:40
■ワーナー・ブラザース映画配給
■監督・製作/トッド・フィリップス
■脚本/ジョン・ルーカス&スコット・ムーア
■出演/ブラッドリー・クーパー 
エド・ヘルムズ 
ザック・ガリフィアナキス
ヘザー・グラハム
ジャスティン・バーサ
ジェフリー・タンバー
ケン・チョン
マイク・タイソン



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。