eHills Club 試写会日記

毎週、映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ! 傑作でもB級でも映画ってやっぱり素敵!!

キングダム

大将軍を目指す少年と、のちに秦の始皇帝となる少年
彼らの生き様を描く人気作を佐藤信介監督が映画化
日本発信の本格アクション・エンターテインメント

キングダム© 原泰久/集英社 © 2019映画「キングダム」製作委員会

累計発行部数3800万部超(2019年1月現在)、「実写映画化は不可能」とも言われていた原泰久による人気コミックを映画化。春秋戦国時代の中国を舞台に、大将軍になるという夢を抱く奴隷の少年・信と、のちに秦の始皇帝となる少年・嬴政のドラマを描く。出演は、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『斉木楠雄のΨ難』の山﨑賢人、『銀魂』『BLEACH』の吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、大沢たかおら充実のキャストが顔をそろえる。監督は『GANTZ』『BLEACH』の佐藤信介が、脚本は原作者の原氏が、『悪と仮面のルール』の黒岩勉と佐藤監督とともに手がける。大将軍になることを夢見る、秦国の戦災孤児の信と漂。奴隷のように扱われながらも、日々鍛錬を積んできたなか、2人は王都の大臣との出会い……。動乱の時代の最中、理想に燃え夢の実現に邁進する少年たちの成長を描く。大がかりなアクション、大規模な中国ロケ、作りこまれた美術や衣装、日本映画で最大規模とスタッフが自負する一大スペクタクルにして、本格アクション・エンターテインメントである。

山﨑賢人

紀元前245年、春秋戦国時代の中華・西方の国“秦”。戦災孤児の少年・信と漂は、家主の男・里典から奴隷のように扱われながらも、いつか大将軍になることを夢見てともに剣術の鍛練を積んでいる。ある日、漂は通りかかった王都の大臣・昌文君に目をかけられ、1人だけ王宮へ召し上げられることに。信と漂は再会を誓い、別々の道をゆく。一方、王宮では王弟の成蟜によるクーデターが勃発。戦いの最中、致命傷を負った漂は信の住む納屋にたどり着くが、地図とメッセージを信に託して絶命する。信は怒りと復讐の思いにかられながら、漂の剣を握りしめて地図の場所へと向かう。ある小屋にたどり着いた信は、そこで漂の姿を見て……。

原作コミック5巻の“王都奪還編”までを映画化した本作。戦国時代という厳しい情勢のなか、少年たちの友情や、困難を乗り越えて夢に向かってゆく姿を描く成長物語であり、周囲の人々との信頼やつながりにより大事を成し遂げてゆくストーリーで、幅広い層が楽しめるエンターテインメントとしてわかりやすく作りこまれている。熱狂的なファンの多い人気コミックの実写映画化を実現したことについて、2019年3月27日に東京で行われたレッドカーペットイベントと完成披露試写会にて、原作者の原泰久氏と佐藤監督はこのように語った。
 佐藤監督「『キングダム』という作品は漫画のなかでも今までの技術の粋を集めたような傑作だと思います。僕らも『映像化不可能』と言われる作品をいつもやってきているんですが、さすがに今回ばかりは『本当に不可能では……?』とスタッフからも言われたくらい心配されていました。でも、素晴らしい作品ができると信じて作っていきました。中国映画でも歴史ものはたくさんありますが、非常に特殊な新しい歴史ものができたと思います。いろいろ前情報もあると思いますが、前情報を忘れて頭の中をゼロにして楽しんで観ていただければと思います」
 原泰久「本当に面白いんですよ。2時間通してずっと面白くて、僕が『成功したな』と思ったのは何回も泣けるシーンがあったことですね。泣かせるって簡単そうで難しいんでね。役者の力、監督の力が合わさって心から泣けるシーンがたくさんあります。まさに『キングダム』だなって自信をもって言えます。僕は5回くらい泣きました。ダラダラと泣きました」

長澤まさみ,ほか

戦争で身寄りをなくした孤児ながら大将軍を目指す信役は山﨑賢人が、一本気で熱い心をもつ少年として。食事制限をして体をしぼり筋肉質に鍛え上げ、アクションと乗馬の訓練を半年かけて行ったことで、剣術や格闘のシーンで冴えた動きを披露している。山﨑は2016年に原作の連載10周年記念で制作された実写特別動画でも信役を務めたことも。信役にいかに山﨑がハマッているかについて、2018年12月22日に千葉の幕張メッセで開催された「ジャンプフェスタ2019」でのトークセッションにて、原作者の原氏と、『銀魂』でも本作でもプロデューサーを務めた松橋真三はこのように語った。
 松橋P「映画の前にマーケティング調査をして『信役は誰がいいか』とアンケートをとったら、その印象が強くて山﨑さんが断トツ一位なんです。私は(山﨑さんと)何本も一緒にやっていますし、性格的にはいろんな役をやってもらっていますけれど、山﨑さんが信にぴったりなんです」
 原氏「山﨑さんのことをあまり知らなくて、今風のイケメンの人気の方と思っていて、会ってみたらぜんぜん違って、ストレートに感情を伝えられる人でした。本当に信みたいで、現場でもみんなからいじられるけれど愛があるんですよね。みんなが『信みたい』って言っていて、演技もこれまでのイメージがガラッと変わるくらい熱がすごいです。ドハマリだと思います」

秦国の若き国王・嬴政(えいせい)と、信の幼馴染である漂(ひょう)の二役は吉沢亮が、しっかり者の少年と、気品と責任感のある国王を演じ分けて表現。吉沢はもともと剣道の有段者であることもあり、剣術でも荒削りな漂と正統派の嬴政と変化をつけて演じている。山の民を束ねる大将軍・楊端和(ようたんわ)役は長澤まさみが、威厳があり高い戦闘力を誇るタフな女性として、山民族の末裔である河了貂(かりょうてん)役は橋本環奈が、フクロウを模した蓑をかぶりかわいらしく、嬴政の腹違いの弟である成蟜(せいきょう)役は本郷奏多が、丞相の竭氏と組みクーデターを起こして兄王の暗殺を謀る敵役として、嬴政の側近・昌文君(しょうぶんくん)役は髙嶋政宏が、40kgもの革製の鎧をまとい、真面目な家臣として、昌文君の右腕・壁(へき)役は満島真之介が実直な兵士として、秦国の大将軍である王騎の副官・騰(とう)役は要潤が飄々と。反乱軍のメンバーは、成蟜の腹心・竭氏役は石橋蓮司が、竭氏の参謀であり反乱の指揮を執る肆氏(しし)役は加藤雅也が、反乱軍を率いる武官・魏興(ぎこう)役は宇梶剛士が、嬴政を狙う暗殺者・朱凶(しゅきょう)役は深水元基が、信たちを襲う巨漢・ランカイ役は阿見201が、信と対決する元将軍である凄腕の剣豪・左慈(さじ)役は格闘家の坂口拓が、毒矢と特殊な戦闘スタイルで信たちをつけ狙うムタ役は橋本じゅんが、山の民のメンバーは、ナンバー2で双刀の使い手のバジオウ役は阿部進之介が、怪力のタジフ役は一ノ瀬ワタルが、子ども時代から信と漂がいる家の主・里典(りてん)役は六平直政が、それぞれに演じている。そしてインパクト大なのが、秦国の六大将軍のひとり王騎(おうき)役の大沢たかお。本作のために肉を食べ続けて体を鍛え抜き、体重を17kg増量してこれまでに見たことのない“プロレスラーのような”モリモリのいかついボディと、オネエ風のニュアンス、成り行きのすべてを見通す鋭さと先手を打つ行動力で、出演シーンは少ないながらも強い存在感を放っている。

要潤,大沢たかお,ほか

アクションは、いかにも最新アジア映画といった派手でキレのある映像で魅せるシーンが多数。格闘シーンの演出にはジャッキー・チェンのアクションチームといった一流のスタッフや、現場経験の豊富なスタントマンやエキストラなど中国映画界で活躍するメンバーが多数参加。信が毒矢のムタと竹林で戦うシーンなど、個人的に『グリーン・デスティニー』を思い出した。またラスト近くに信が王宮の間で左慈と戦うシーンでは、左慈役が本物の格闘家で戦闘術をマスターしている坂口拓であり、剣をよけることができるため、山﨑に「手を決めずに、本気で斬りかかっていい」と演出。こうした生々しい勢いのある格闘シーンも見どころのひとつだろう。
 クライマックスとなる王宮・咸陽(かんよう)宮での戦いは、中国の大規模な撮影施設のひとつで浙江省の象山影視城にある春秋戦国時代の城にて撮影。スタッフだけで700人、兵士役のエキストラがのべ1万人、という異例のスケール。騎馬のシーンでは馬100頭が用意され、中国ロケならではのメリットを生かし、壮大なシーンの数々を撮影したそうだ。また日本国内では、信と嬴政ら一行が山の民の戦士たちに囲まれる山道のシーンを、神秘的な陽射しが差し込む宮崎の神々溝にて、信と嬴政が河了貂の案内で通る洞窟のシーンを、静岡県の富士宮市にある洞窟にて撮影。また美術セットは細部までこだわり、王宮で成蟜が座する玉座の制作費は約600万円、王宮のセットに約1億円投入したとも。こうしたセットについて佐藤監督は、前述の完成披露試写会のイベントにて、「独自の解釈を取り入れつつ歴史を紐解き、龍の図ひとつにしても追求して作り上げました」とコメント。また2018年4月16日に東京で行われた製作発表記者会見にて、日本と中国で行った撮影のこと、中国の歴史上の人物である“秦の始皇帝の若き頃”について、中国の現場スタッフの協力を得て、日本人のスタッフとキャストで映画化したことについて、このように語った。「とても時間をかけて準備をして、中国のプロダクションの方々にも協力していただいて優秀なスタッフのみなさんと撮影ができました。中国と日本で撮影し、CGもあり、日本映画としては最大規模の予算をかけて映画を作り上げているところです。中国での撮影は、日本とスタイルも習慣も違うので、どうなるかと思いつつ非常に楽しみにしていました。学ぶべきところがとても多く、ものすごくいいコラボレーションができたと思っています。この映画は、“秦の始皇帝の若き頃を描く作品”で、中国でもそういう部分を作品化するのは珍しいようです。歴史作品は多いけれど、日本のファンタジー色が入って、中国の人にも楽しんでいただけると思います。実際中国スタッフに現状の映像を観ていただいたら、面白がって興奮してもらえたので、これからもっとブラッシュアップして、可能ならば中国の観客の方々にも観て感動していただけたらと思います」

そもそも原作『キングダム』の実写映画化は予算的に難しいとわかっていたなか、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、コロンビア・ピクチャーズの代表、サンフォード・パニッチ氏が「日本映画を作りたい」と言ってきたことが、企画を進めるきっかけになったという。そこで2015年くらいの時に原氏に企画書を渡しました、と松橋プロデューサーは映画化のはじまりについて、前述のトークセッションにて語った。「サンフォード・パニッチさんは『タイタニック』を作ったエグゼクティブプロデューサーで、『タイタニック』(の製作費)が予算オーバーしてもバンバン送金していた人なので、『キングダム』の話をする価値はあるなと思いました。まずサンフォードに原作の1巻から5巻まで英訳して送ったら、3日後に『ぜひやろう』と返事がきました。そんなスポンサーがあるので、先生のところに企画書をお持ちしました」
 さらにこの映画は、原作者の原氏とガッチリ組んで脚本を練り上げたことも大きな特徴。映画化の話を受けた時に「絶対に成功してほしい」と思ったという原氏は、前述のトークセッションにて、脚本を完成させてゆくまでの経緯について語った。「映画は5巻の“王都奪還編”までですが、僕が連載してた時は2時間ものを想定して描いていません。なのでそれをそのままやると脚本として失敗するので、ひとつのタイトルとして閉じたストーリーを作らないといけない。それはこっちから『お願いします』と言わないと気を遣われて失敗してしまうので、『この部分は捨てていいです』といったやりとりを繰り返して完成度はとても上がりました」
 また信と左慈の対決シーンにある映画オリジナルのセリフは、“約12時間ぶっ続けの脚本会議”で原氏が提案。原氏は語る。「原作を知っている人が見たら『あそこが原作と違う』とか出てくるとは思いますが、面白くなっていると思います。セリフも僕が書き下ろして原作のテイストが入っていると思います」

すでに北米公開も決定、世界市場を意識した日本発信の本格アクション・エンターテインメントである本作。2019年3月に山﨑賢人がロサンゼルスのソニー・ピクチャーズ本社を表敬訪問した際には、このようにコメントした。「信役に選ばれて光栄でした。全身全霊を傾けました。信が天下の大将軍になるまで、彼を演じたいですし、『キングダム』がアメリカでも大ヒットして欲しいです」
 続編ができるかどうかは、本作が興行としてどこまで成功するか次第とのこと。原作コミックの最新刊「54巻は映画の公開日に出版予定(原氏)」で、まだまだ続いてゆく彼らの物語はどこまで映画化なるか。最後に映画の観客に向けて、前述のトークセッションで原氏が、製作発表記者会見で佐藤監督が語ったメッセージをお伝えする。
 原氏「原作が好きな方は『好きすぎて観ない』って声もあるみたいですけれど絶対に観た方がいい作品になっています。面白かったら本も買ってください!」
 佐藤監督「この作品は、“紀元前200年の若き人々の渦巻く情念が、国をどう作っていったか”という情熱的な熱いストーリーです。同時に気持ちよくなるようなアクション映画でもあります。生粋の『これぞエンターテインメント!』という作品ですので楽しんでいただければと思います」

2019年4月4日更新

作品データ

公開 2019年4月19日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2019年 日本
上映時間 2:14
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原作・脚本 原 泰久
監督・脚本 佐藤信介
脚本 黒岩 勉
出演 山﨑賢人
吉沢亮
長澤まさみ
橋本環奈
本郷奏多
満島真之介
阿部進之介
深水元基
六平直政
髙嶋政宏
要潤
橋本じゅん
坂口拓
宇梶剛士
加藤雅也
石橋蓮司
大沢たかお
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。