好景気のバブル期、ある遺物が世界を混乱に陥れる
敵対する凶悪なディラン、マックスとチーターが登場
ワンダーウーマンの愛と活躍を描くエンタメ大作
前作に引き続きパティ・ジェンキンス監督×ガル・ガドット主演で、ワンダーウーマンの続編が全米に先駆けて日本公開。共演は前作から引き続き、『スター・トレック』のクリス・パイン、『ブレードランナー 2049』のロビン・ライト、『ジャスティス・リーグ』のコニー・ニールセン、そして本作より出演する『オデッセイ』のクリステン・ウィグ、『キングスマン:ゴールデン・サークル』のペドロ・パスカルほか。第一次大戦期から数十年後の1984年、好景気のアメリカでワンダーウーマンは市井の女性ダイアナ・プリンスとして静かに暮らしていた。しかしある遺物をきっかけに思いがけないことが起きて……。自身が特殊な立場であることから人となるべく関わらずに生きてきたダイアナは、ひょんなことから同僚の内気な女性と親しくなり、最愛の男性と再会する。愛あり、陰謀あり、執着による暴走や対決、そしてパワーアップしたワンダーウーマンの勇姿あり。アメリカ、イギリス、スペインなど各地で撮影し、人間ドラマと大がかりなアクションで引きつけるエンターテインメント作品である。
ワンダーウーマンの故郷セミッシラ島。まだ幼い子どもだったダイアナは、自身の母親であるアマゾン族の女王ヒッポリタと叔母でアマゾン戦士の将軍アンティオペ、そして島民たちに自分の実力を見せつけようと過酷な大会“アマゾン・オリンピック”に出場。その時に母や叔母から助言を得て、成長し大人になったダイアナは、真の勝利について答えを出すのは自分しかいないと気づく。
そして1984年、アメリカのワシントンD.C.。ワンダーウーマンことダイアナ・プリンスは、人類学と考古学を専門とする学芸員としてスミソニアン博物館に勤務し、人間社会に溶け込み、静かに暮らしていた。一方で、スーパーヒーローとしても超人的なパワーを自在に操り、凶悪な事件を未然に防ぐ活動などをしていたが、あくまでも自身が目立たないようにしていた。ある日、同僚となった宝石学・地質学・動物学の博士バーバラが盗品の鑑定を依頼され、ダイアナはその骨董品に興味を持ったことを機にバーバラと友人として親しくなっていく。そんななか、TVコマーシャルで有名な事業家マックスが、博物館に多額の寄付をするといって現れる。
人間社会になじんだものの、亡くした恋人を数十年思い続けて孤独に過ごすダイアナ、愛する息子と自身の野心のために富と力を得ようとするマックス、人付き合いが苦手で華やかなダイアナに憧れる内気なバーバラ。登場人物たちそれぞれの思いにある遺物が関わり、大事件へとつながってゆく。シリーズのファンにとっては、ワンダーウーマンの原作コミックで人気のディラン(悪役)である禁断の力を手にした男マックスと、正体不明の敵チーターが登場し、ワンダーウーマンが激しいバトルに身を投じて、翼をもつ究極の戦闘鎧ゴールドアーマーを装着するシーンがあるのも見ものだ。前作の1918年から1984年に時代をうつした本作について、製作のチャールズ・ローベンは語る。「前作から時計の針をかなり進めました。進化し、成熟したダイアナの姿を描きたかった。1980年代は、ダイアナのような不朽のキャラクターを登場させるのにうってつけの時代です。野望が渦巻く、無敵の時代ですからね。しかし、第1作の時代背景から何十年もの時を経た今、ダイアナは今まで味わったことのない思いをかみしめている。それは不死身のアマゾン族として幼いころには体験し得なかったこと――愛する人の死です」
またジェンキンス監督はキャラクターへの思いを語る。「この作品に登場するすべてのキャラクターに、いとおしさを感じます。ひとりひとりが自分に足りないものを必死で追い求めている。その姿に観客のみなさんも共感できるのではないでしょうか。スーパーヒーローはモラルの象徴としてスクリーンに登場することはあっても、モラルに苦しむことはほとんどありません。その難しいテーマをワンダーウーマンで試してみたかった。各キャラクターの身の上に自分を重ねてみれば、彼らのストーリーに納得できると思います」
ワンダーウーマンことダイアナ・プリンス役はガル・ガドットが、博物館の学芸員である物静かな女性と、社会で起きる凶悪な事件から人々を日々守っているワンダーウーマンという静と動の二面性をもつ女性として。ダイアナが60年以上思い続ける最愛の恋人スティーブ・トレバー役は前作に引き続きクリス・パインが、一途で誠実な青年として。ダイアナの友人となる、地質学・宝石学・動物学の博士バーバラ役はクリステン・ウィグが、内気でコンプレックスに悩みダイアナに憧れる同僚として。原作では人気の高い悪役でありながら映画のキャラクターになるのは今回が初であるマックス・ロード役は、移民として育ち、息子のためにもと野心を燃やす、詐欺まがいの投資会社の代表として。さらにダイアナの母親でアマゾン族の女王ヒッポリタ役はコニー・ニールセンが、叔母でアマゾン戦士の将軍アンティオペ役はロビン・ライトが、ダイアナの子ども時代はリリー・アスペルがそれぞれに演じている。また冒頭でダイアナの故郷セミッシラ島を舞台にしたアマゾン・オリンピックのシーンでは、世界各地から身体能力の高い女優、スタントウーマン、アスリート、騎手ら総勢242人を監督が選出。アマゾン族のメンバーとして厳しいトレーニングを経て撮影に参加した。このシーンは迫力があり観ていて楽しい。なかでも目を引くのは、ダイアナの子ども時代を前作に続いて演じる、現在13歳のリリー・アスペルだ。リリーは馬術競技の選手であり、馬で駆けるシーンが颯爽としている。また本作のために水泳とマラソンを特訓し、ほかの競技はワイヤーを着けてトレーニングを積んだとも。小さな体でさまざまなスタントをすべて自身でこなすリリーの姿はとても凛々しい。
劇中では、1980年代の景観やファッションをカラフルに再現。ワンダーウーマンの衣装も質感や色を本作に合わせて鮮やかに仕上げ、当時の膨大な数の画像を資料として、セットや衣装すべてを作りこんだ。前半にあるショッピングモールのシーンでは、65店舗の内装すべてをリニューアルし、各店舗に’80年代を反映した商品や什器をしつらえたとも。またダイアナがメンズの服を着るシーンで、ブルックス・ブラザーズのシャツにラルフローレンのベスト、リネンジャケット、ズボンをまとい、編み込みベルトでウエストをマークしているスタイルは、以前にリンダ・カーター(1970年代のテレビ版『ワンダーウーマン』主演女優)がとてもよく似た着こなしをしたことがあったとのこと。これはまったくの偶然ながら、1970年代のワンダーウーマンへのオマージュとなったという。マックス役のペドロは監督とガルを称えつつ、自身に良くも悪くも大きな影響を与えたという’80年代を舞台にした本作への出演について、楽しそうに話す。「’80年代を肌で理解している名監督と一緒に、あの懐かしい時代にタイムトリップできるんだから、この機会を逃すわけにはいかないと思ったよ。それに、スーパーヒーローのワンダーウーマンを掘り下げているところも興味深いと思ったんだ。世の中には彼女のような存在が絶対に必要だということをこの作品は知らしめている。圧巻のビジュアルとともに、人間としてのあり方を思い出させてくれるんだ。監督とガルの快挙だね」
ジェンキンス監督は’80年代への思い入れについて語る。「ストーリーの舞台を1984年にしようと思い立ったのは個人的な理由からです。ワンダーウーマンを自分が育った時代に登場させてみたかったんですよ。私にとって、’80年代はワンダーウーマンの時代。彼女の人気は一世を風靡しましたからね。時代設定を決めてからは、楽しくも難しい課題が出てきました。それは、作品そのものよりも観客の心を’80年代に染めること。まるで“当時に戻って”映画を観ているような気分にさせたいと思ったんです」
撮影は世界各地で行われ、アメリカ、イギリス、スペイン、カナリア諸島などにて。カメラは35ミリとIMAXの65ミリを併用し、迫力のある映像となっている。アメリカでは国立航空宇宙博物館、国立公園のナショナル・モール、リンカーン記念堂、スミソニアン博物館、フェデラル・トライアングル、ジョージタウンのハーシュホーン博物館、大使館、地下鉄の駅などで実施。イギリスではイングランド各地を回り、サリー州のリーガル・アンド・ジェネラル・ハウス、ブレントフォードのボストン・マナー・パーク、ダックスフォードの帝国戦争博物館、ハートフォードシャー地方のボービントン飛行場、ヘイドン・グレンジ・ゴルフ&カントリークラブ、ベリー・ファーム、マーズワース空軍基地、ロンドンのヘルトン空軍基地、バッキンガムシャー、王立内科医協会、シティ・プレイス・ハウス、アルダーマンベリー広場、ハイドパーク、 アデルフィ・テラス、トリントン広場、シュワルツ・ワーフなどにて。スペイン南部ではアルメニア城塞にて、またモロッコ沖にあるスペイン領のカナリア諸島では諸島最大のテネリフェ島とフェルテベントゥラ島にて撮影した。製作のチャールズ・ローベンは、「僕の映画人生のなかで、これほどあちこちに遠征した覚えはありません」と語るほどで、各地のさまざまな風景が楽しめるのも本作の特徴だ。
本作では冒頭のアマゾン・オリンピックからショッピングモールでの救出劇、マックスを追うカーチェイス、そのほかさまざまなバトルやアクションが展開。カーチェイスのシーンは、フェルテベントゥラ島で広い道路を数週間にわたって閉鎖して撮影。大型トラックの宙返りは、特殊効果監修のマーク・ホルトと50人前後のチームメンバーたちが準備だけで半年をかけて、“前例のないスタント”を成功させた。スタント監修のロブ・インチは語る。「カーチェイスは何度も担当しましたが、人と車が並んで走るスタントというのは覚えがありません」
そして圧倒的なパワーをもち、アマゾン族の間で代々受け継がれてきた由緒ある戦闘着であり、ワンダーウーマンの究極の戦闘鎧ゴールドアーマーは映画初登場。翼の生えた金ピカの鎧はそのまま映すとかなり珍奇な感じになってしまうのは否めないものの、夜のシーンで薄暗い光のなか、淡い映り込みなども計算しつくしたことで、スタイリッシュな映像となっている。約40人のスタッフが試行錯誤を繰り返し1年以上かけて成形したというゴールドアーマーは110個の鋳造部品や、F1の技術を応用した264点の炭素繊維のパーツによる大きな両翼などで制作。ゴールドアーマーをまとったワンダーウーマンと、凶悪に覚醒したチーターとのクライマックスの対決シーンは、「シルク・ド・ソレイユ風の空中戦にしたい」という監督の意向をもとに演出。本作の見どころのひとつだ。こうして本作では男女の敵対だけでなく、女同士のバトルも描かれている。ちなみにマックスは基本的に肉体を使って暴力で敵を倒すディランではなく心理戦といった感覚が強く、わかりやすい派手さがないので映画では初登場になるのだろうが、世界中を混乱に陥れるさまがよく描かれている。
ワンダーウーマン役のガルは、主演と製作を兼任。撮了後も監督・脚本・製作のジェンキンスとアイデアを出し合い、製作仲間として最後までコラボレーションしたとのこと。本作のテーマと見どころについて、ガルは語る。「全世界が危機を迎えるなかで、ワンダーウーマン、スティーブ、チーター、マックスの4人の物語が同時進行するの。どのストーリーも私的で、感動的で、身につまされるけれど、その反面、スケール感とアクションに満ちていて、心と目と頭を同時に刺激するわ。観客がスーパーヒーロー映画に期待する熱狂やアクションがたくさん詰まっているし、いろいろなことを考えさせられる――私は、そういう映画が大好き」
ジェンキンス監督は、ヒーロー映画とワンダーウーマンへの思い入れをこのように語っている。「私はヒーロー映画のファンですし、どのヒーローも敬愛しています。スーパーヒーローの本来の姿は私たちの夢であり、理想です。もしこんなパワーがあったら、自分は何をするだろう? 身をもってその答えを示している。私たち映画の作り手は、国境を越えて愛されるキャラクターの活躍をスクリーンに描きます。彼らは観客を楽しませ、共感を呼び、尋常ではない困難に立ち向かい、尋常ではないことを成し遂げ、その問いに答えてくれる。それこそがスーパーヒーローのあるべき姿だと思います。私にとって、ワンダーウーマンはスーパーヒーローの集大成のような存在なのです」
公開 | 2020年12月18日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2020年 アメリカ |
上映時間 | 2:31 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
原題 | WONDER WOMAN 1984 |
監督・共同脚本・製作 | パティ・ジェンキンス |
出演 | ガル・ガドット クリステン・ウィグ クリス・パイン ペドロ・パスカル ロビン・ライト コニー・ニールセン |
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