アキラとあきら

池井戸潤の小説を竹内涼真と横浜流星のW主演で映画化
倒産した町工場の息子と大手海運会社の御曹司
メガバンクに同期入社した青年2人の成長を描く

  • 2022/08/05
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直木賞をはじめ数々の受賞で知られる「半沢直樹」シリーズの作家・池井戸潤による2人の青年の物語を映画化。出演は、『太陽は動かない』の竹内涼真、『流浪の月』の横浜流星、『夢の雫と星の花』の上白石萌歌、King & Princeの髙橋海人、『孤狼の血 LEVEL.2』の江口洋介ほか。監督は、『タング TANG』の三木孝浩、企画・プロデュースは、2009年のドラマ『空飛ぶタイヤ』や2017年のドラマ版『アキラとあきら』など池井戸作品の映像化を担当してきた青木泰憲が手がける。倒産した町工場の息子・山崎瑛と、大手海運会社の御曹司・階堂彬、同様に経営者の息子でありながらまったく異なる2人は産業中央銀行に同期入行し……。2人はなぜ銀行員となったのか、彼らはそれぞれ何を目指していくのか、銀行内での軋轢、親族経営の問題、こじれる兄弟関係、めぐりつながる縁のこと。大手の銀行を舞台に2人の青年の成長と金融機関のビジネスについて描くドラマである。

子どもの頃に父親の経営する町工場が倒産し、厳しい経験をしてきた山崎瑛。大企業の御曹司ながら次期社長となることを拒否し、血縁のしがらみに抗い続ける階堂彬。日本有数のメガバンクである産業中央銀行に同期入社した2人は、信念の違いから反目し合いながらも、互いを認め合い、ライバルとしてしのぎを削っていく。山崎瑛は自分の信念を貫いたことにより左遷され、階堂彬は階堂家の親族同士の争いに巻き込まれるが……。

『オレたちバブル入行組』などの「半沢直樹」シリーズと同じ産業中央銀行を舞台に、金融機関のビジネスや青年2人の成長を描く。父の会社の倒産時に銀行員の冷たさを知るもあることを機にバンカーを目指した山崎瑛、後継ぎとして育ちながらも銀行員となることを選んだ階堂彬、“アキラとあきら”の人生が交錯してゆく。銀行員が会社の倒産や再建や買収などにどのように関わっているかといった内容のみならず、社会人になって間もない2人の青年が困難に向き合い、いかに乗り越え成長していくかが描かれ、若い世代にも親しみやすい内容となっている。三木監督は原作について、「ほかの池井戸さんの作品と比べて、青春物語であるという側面が強い」と感じ、その魅力を映画に生かしたいと考えたと語る。「青春物語でありつつ、やっぱり池井戸さんのエンターテインメントの部分がすごく面白いんです。キャラクターやドラマ部分でこそ楽しませてくれる作品なので、経済の知識がなくても楽しめる、グッとくる熱い人間ドラマを作りたいと思いました」

子どもの頃に父親の経営する町工場の倒産を経験した山崎瑛役は竹内涼真が、資金が必要な会社を積極的に支援するバンカーとして情熱的に表現。海運会社・東海郵船の御曹司である階堂彬役は横浜流星が、社会や人にやや冷めた目線をもちながらも本質は仕事に誠実で家族思いである青年として。彼の凛とした所作の美しさには確かな存在感と説得力がある。原作では主人公2人が池井戸氏と同じ1963年頃の生まれであるものの、映画では若い世代に変更したことについて、三木監督は語る。「青春ものの主演のお2人が若いということもあって、さらに下の世代まで観てもらえる作品にしたいという思いがあったんです。昔の話ではなく、〈自分たちの物語〉として若い人たちが社会に出ていくときのメッセージになればいいなと考えて、時代設定もバブル(1986〜91年)前後から、リーマンショック(08年)前後に変えさせてもらいました」
 瑛が少年時代に出会った熱意ある銀行員・工藤役は満島真之介が、一流のバンカーである瑛に憧れる産業中央銀行の若手の銀行員・水島カンナ役は上白石萌歌が、伝説的なトップバンカーである融資部長の羽根田役は奥田瑛二が、瑛の上司で融資の確実性を最重要視する上野支店副支店長の不動公二役は江口洋介が、瑛の父親の工場の従業員・保原茂久役は塚地武雅が、瑛が銀行員として融資の担当をしている取引先の社長・井口雅信役は宇野祥平が、優秀な兄にコンプレックスをもつ彬の弟・階堂龍馬役は髙橋海人が、彬の父で東海郵船の社長・階堂一磨役はドラマ版と同様に石丸幹二が、一磨の弟で彬の叔父であり、東海郵船のグループ会社である東海商会の社長・階堂晋役はユースケ・サンタマリアが、同じく一磨の弟で彬の叔父であり、東海郵船のグループ会社東海観光の社長・階堂崇役は児嶋一哉が、それぞれに演じている。さらに戸田菜穂、野間口徹、杉本哲太、酒井美紀、山寺宏一、津田寛治、徳重聡、矢島健一、馬淵英里何、山内圭哉、山村紅葉、竹原慎二、アキラ100%など実力派が出演している。
 キャストとスタッフは撮影に入るひと月前から、経済・銀行・金融ビジネスなどについてレクチャーを受け、俳優たちは銀行員らしい所作を習って準備をしたとのこと。撮影中も、資料の扱い方や見方、電卓の使い方などについて、銀行監修のスタッフの指導のもとでシーンをつくり上げていったそうだ。

原作を最初に執筆していた時、池井戸氏は「“銀行ミステリ”の書き手という看板を下ろしたい」と考え、これが最後として「ある人物が子ども時代を経て銀行員になるまでを含めた、銀行小説の集大成を書こうとした」と2017年7月3日付の「ダ・ヴィンチweb」の「『アキラとあきら』発売&ドラマ化記念 池井戸潤インタビュー」にてコメントしている。映像化の始まりは、原作が2006年から2009年に文芸誌に連載されたのちに書籍化されずにいたなか、原作を読んでいた青木泰憲プロデューサーがWOWOWでドラマ化を申し入れ、池井戸氏が快諾したことから。そしてドラマの制作と同時進行で、池井戸氏は原作の内容を大幅に改稿し、2017年に徳間書店から文庫本として刊行。2017年の連続ドラマ『アキラとあきら』は第34回ATP賞テレビグランプリを受賞。原作は2020年8月に集英社から文庫(上下2巻)で再版され、累計発行部数は87万部を突破。新しいスタッフとキャストによる映画版が完成した。
 池井戸氏の小説は登場人物も逸話も多めの場合、映画の約2時間には収まりきれず、観ていて駆け足でせわしなく感じたり、より長い時間をかけてストーリーを語る連続ドラマ化のほうが向いているように思えたりする場合も個人的にしばしばある。けれども映画『アキラとあきら』は、70人以上のキャラクターが登場していてもすっきりとしたメリハリがあり観やすい。原作やドラマにあった恋の逸話は映画にはないが、2人の同僚の銀行員・水島カンナや彬の母親など女性の目線や主張もポイントごとにしっかりとあるため、男性中心だけの作品という印象になっていないところが特徴だ。この映画には、2009年の第26回ATP賞テレビグランプリを受賞したドラマ『空飛ぶタイヤ』や、2011年のドラマ『下町ロケット』など、これまでに池井戸作品のドラマ化を手がけ、池井戸氏の信頼も篤い青木泰憲が企画・プロデュースで参加。青木プロデューサーは『アキラとあきら』の魅力について語る。「対照的な宿命を背負った2人の青年の試練と成長を描いた本作は、銀行を舞台にしながらも“青春小説”としても楽しめる作品だけに映像化にあたってはキャスティングがとても重要でした。人はなぜ生きるのか。何に情熱を傾け、何を成し遂げるのか――。2人の主人公が苦悩しながらも成長していく過程を見守ってほしいと思います」

また主演2人の撮り下ろしグラビアやオフショット、池井戸氏のインタビューなどを掲載する映画の公式ガイドブック、原作の映画化小説をコミカライズした漫画版などメディアミックスも充実。さらに2022年8月10日には、映画の公開を記念して池井戸潤の映画撮影現場潜入インタビューや小説の試し読みを収録した『アキラとあきら』お試し小冊子を無料配信予定というのも楽しみだ。
 三木監督は観客へのメッセージをこのように語る。「この作品は、出自の異なる2人の青年がそれぞれの宿命を背負いながらもお互いをライバルとして認め合い、意識し合い、トップバンカーを目指して成長していく物語です。矜持の違いを火花を散らしながらぶつけ合う姿は、竹内涼真と横浜流星という今まさに勢いのある2人の俳優の熱量とシンクロして現場で何度も心滾る瞬間がありました。この熱きカタルシスをぜひ映画をご覧になる皆さんにも味わっていただけたら嬉しいです」
 そして池井戸氏は映画を称賛し、このようなコメントを寄せている。「ビジネスストーリーとしても青春ストーリーとしても高次元で融合した、すばらしい作品になりました。抑制のきいた繊細な演出で、正面からヒューマンな映画に仕立てたところに、三木監督の力量を感じます。竹内涼真さんと横浜流星さんをはじめ、俳優さんたちのすばらしい演技も見どころ。きっと多くの人たちの心に響くでしょう」

参考:「ダ・ヴィンチweb

作品データ

公開 2022年8月26日より全国東宝系にてロードショー
制作年/制作国 2022年 日本
上映時間 2:08
配給 東宝
原作・共同製作 池井戸潤
監督 三木孝浩
脚本 池田奈津子
出演 竹内涼真
横浜流星
髙橋海人(King & Prince)
上白石萌歌
児嶋一哉
満島真之介
塚地武雅
宇野祥平
戸田菜穂
野間口徹
杉本哲太
酒井美紀
山寺宏一
津田寛治
徳重 聡
矢島健一
馬渕英里何
山内圭哉
山村紅葉
竹原慎二
アキラ100%
奥田瑛二
石丸幹二
ユースケ・サンタマリア
江口洋介
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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