翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜

“埼玉の伝説”が関西との東西対決へと展開
“日本埼玉化計画”はどこまで広がっていくのか?
ご当地ネタが親しみを誘う“一大茶番劇”第2章

  • 2023/11/20
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2019年に関係者の予想をはるかに上回る大ヒットを記録した映画『翔んで埼玉』の “まさかの”続編が完成。出演は、前作から引き続き、GACKT、二階堂ふみ、加藤諒、益若つばさ、そして新たに杏、片岡愛之助、藤原紀香、川﨑麻世、堀田真由、野性爆弾のくっきー!、高橋メアリージュン、天童よしみ、山村紅葉、ハイヒールのモモコ、和久井映見ほか。監督は『のだめカンタービレ』『テルマエ・ロマエ』『ルパンの娘』シリーズの武内英樹、脚本は『カイジ ファイナルゲーム』の徳永友一のコンビが前作から引き続き手がける。麗たち埼玉解放戦線はさらなる“日本埼玉化計画”を推し進めるべく、埼玉県人の悲願である「海」を越谷に作ることを計画。未開の地・和歌山の白浜を目指して大海原へと乗り出すが……。前作同様、“伝説パート”と“現代パート”2本の筋立てで、埼玉の伝説の物語を現代の埼玉で暮らす家族がラジオでツッコミながら聞き、おもしろおかしく展開していく。さまざまな県や府をイジりたおしながらも、さまざまな地域の人たちの特性、名産や名所や名物などを誇張しご当地ものをわかりやすく表現し、地域にゆかりのある役者が多数出演して観客の親しみや共感を誘う“大いなる茶番劇”第2章である。

東京都民からひどい迫害を受けていた埼玉県人は、麻実麗率いる埼玉解放戦線の活躍により、通行手形を撤廃し自由と平和を手に入れた。それから3カ月後、麗は“日本埼玉化計画”を推し進めるべく埼玉県人の心をひとつにするため、越谷に海を作ることを計画する。そして白浜の美しい砂を求め、未開の地・和歌山へと向かう。麗と仲間たちがようやくたどり着くと、関西にも“超・地域格差”と通行手形制度が存在しているとわかり、全国を巻き込んで東西対決へと展開していく。

前作では魔夜峰央による原作の漫画をベースに脚本がつくられたものの、今回は物語の世界観を踏襲しつつ、あれから3カ月後の彼らをオリジナルストーリーとして描く。前作『翔んで埼玉』は第43回日本アカデミー賞にて最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀編集賞を含む最多12部門を受賞。前回の撮影中からすでに、武内監督を中心に「許されるなら続編もやりたいね」という声が挙がっていたものの、実際に続編の企画を伝えると、魔夜峰央も出演者たちも「本当にやるんですか!?」と驚いたとも。監督と共に熱意をもって企画を進めた若松央樹プロデューサーは2023年6月28日の東映公式HP内の『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』NEWSにて、この続編についてコメントを寄せている。「この度、さらに地域を拡大し、古くから言われております“東西対決”に焦点をあてさせていただきました。関西の皆様には本当に飛び火してしまい、申し訳ありませんが、どうか寛大な心で見守っていたければ幸いです。また、埼玉の皆様におかれましても輪をかけて“相変わらず”でございますのでご容赦いただければと思っております。さらに今作では、地域の広がりだけでなく、登場人物の規模そしてキャラの濃さも、前作をはるかに超えるものとなっております。監督はじめ制作者一同愛を持って作ったこの茶番劇を再び楽しんでいただければと心より願っております」

埼玉解放戦線のリーダー麻実麗役はGACKTがウエーブヘアをなびかせてキリリと、麗を慕う美少年・壇ノ浦百美役は二階堂ふみがかわいらしく。滋賀解放戦線のリーダー桔梗魁役は杏がやや影のある美青年“滋賀のオスカル”として。関西を牛耳る冷酷無慈悲な大阪府知事・嘉祥寺晃役は大阪出身の片岡愛之助が、その妻である神戸市長役は兵庫県出身の藤原紀香であり、結婚後に初となる夫婦共演で夫婦役を演じるのも話題となっている。埼玉解放戦線のメンバーである下川信男役は加藤諒が、同メンバーのおかよ役は益若つばさが、滋賀解放戦線のメンバーであるゲジゲジ眉毛の近江美湖役は堀田真由が、美湖の兄・近江晴樹役はくっきー!が、滋賀のジャンヌダルク役は高橋メアリージュンと滋賀県出身の面々が顔をそろえている。さいたま市中央区(旧与野市)在住の主婦・内田直子役は和久井映見が、直子の夫の市役所職員・内田智治役は埼玉県出身のアキラ100%が、内田夫妻の娘で現在臨月である若月依希役は埼玉県出身の朝日奈央が、京都の女将役は京都府出身の山村紅葉が、京都市長役は京都府出身の川﨑麻世が、元大阪府知事役は大阪で人気を誇るモモコが、それぞれに演じている。
 杏が撮影中に感じたという率直なコメントは的を射ていてユーモラスだ。「大阪の街並みのセットやGACKTさんと愛之助さんが並んだところは画力が強すぎて、一気に作品の中に引き込まれていきました。こんなに豪華なのに、起きていることはかなりバカバカしい。現場では何度も『これは何なんだ!』『どうかしている(褒め言葉)』と繰り返しながら撮影していました」
 そして撮影終了時、武内監督はこのように話したという。「最高の文化祭をしましょうと言いましたが、毎日想像を超える文化祭でした。人生で一番楽しい撮影でした。傑作になるか世紀の珍品になるかわかりませんが、皆さん仕上がりを楽しみに待っていてください」

劇中の現代パート、埼玉のエリア対抗・綱引きシーンでは、約400人のエキストラ、400枚の旗、総勢40体のご当地キャラが参加し3日間かけて撮影。伝説パートでバリ島のケチャを彷彿とさせる、エキストラ200人が参加している大がかりなシーンも面白い。そしてどう観ても某映画の有名なシーンそっくりの一連のあのシーンは無許可だよね、同じような時期にシリーズ作品が公開だけれども、などなど。主題歌は前作に引き続きはなわが担当。埼玉をディスる前作の主題歌「埼玉県のうた」のカップリング曲で、埼玉を褒め称える「咲きほこれ埼玉」を新たにレコーディングしなおした、「ニュー咲きほこれ埼玉」となっている。

2023年11月14日には“埼玉県民の日”を祝って、キャストたちが県内各地のイベントを巡って登場。アキラ100%とはなわが参加した埼玉県行田市の田んぼアートの稲刈り、GACKTと二階堂による埼玉県&滋賀県両知事への「謝罪」表敬会見、加藤と益若が「EJアニメミュージアム」で参加した「翔んで埼玉展 -埼玉の皆様、展覧会を作ってゴメンなさい。」(*1)、コクーンシティで行われたイルミネーション点灯イベントなど。麗と百美を表した埼玉県行田市の見事な田んぼアートは実際に田植えをしてつくり上げられたもの。ギネス世界記録にも認定されている世界最大の「行田市田んぼアート」とのコラボレーションにより2023年6月に植えられ、7月下旬から見頃になったという。また埼玉県庁オープンデーでは大野元裕埼玉県知事から「広く県民に笑顔と感動をもたらせた感謝の意」としてGACKTと二階堂が彰状とクリスタルトロフィーを贈呈された。この時にGACKTはこの映画への思いをこのように語った。「この映画は、ディスることが目的ではなくて。良いところも悪いところも認めあって、笑い合って解決できることがあるんじゃないかと思っています。今回はかなり関西にも飛び火してしまいましたが、やっぱりメインは埼玉なので、埼玉の方々にはぜひ『自分たちもこういうことあるよね』と共感してもらいたいです」

『翔んで埼玉』が人気なのは、ディスりながらも地域の名産やアピールポイントを明解にインパクト強く紹介し、前述のように地域のイベントでも盛り上がることも理由のひとつだ。こうして映画の関連イベントを簡潔に紹介していても名所の紹介になっていて、一周回って地域応援映画になっているところが観客に愛されるゆえんだろう。続編である今回の2作目が成功すれば第3弾も、という思いもあるとか。GACKTは観客へのメッセージを埼玉県庁オープンデーにてこのように伝えた。「鑑賞中に、大声で笑ったり拍手したりすることって恐らくあまり無いと思います。この映画はボクらだけでは完成しない。観てくださる皆さんが、大いに笑って、誰かと共感したりして初めて完成する作品です。皆さんの力で、この映画を最高なものに完成していただきたい!」
 二階堂はイルミネーション点灯イベントにて、「大ヒットに続く大ヒットが巻き起こればパートⅢは必ず作れる!と思いますのでどうか皆さん末永く宜しくお願いします!」と伝えた。
 そして武内監督は観客へのメッセージを前述の2023年6月28日の東映公式HP内のNEWSにてこのように伝えた。「いよいよ皆さまに『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』を発表することができます。続編は、関東はもちろんのこと関西を巻き込んだ東西ディスり対決!! まだまだ言えない情報も沢山ありますが、紛れもなく“愛をこめて”お届けいたします。画面の端々からスケールアップした“埼玉”の世界を感じ取っていただければ嬉しいですし、ふたたび皆様にこの茶番劇を楽しんでいただき、愛される作品になればこの上ない喜びです」

*1:開催概要「翔んで埼玉展 -埼玉の皆様、展覧会を作ってゴメンなさい。

作品データ

公開 2023年11月23日より全国公開
制作年/制作国 2023年 日本
上映時間 2:05
配給 東宝
原作 『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』魔夜峰央(宝島社)
監督 武内英樹
脚本 徳永友一
出演 GACKT
二階堂ふみ

加藤諒
益若つばさ
堀田真由
くっきー!(野性爆弾)
高橋メアリージュン
和久井映見
アキラ100%
朝日奈央
天童よしみ
山村紅葉
モモコ(ハイヒール)
川﨑麻世
藤原紀香
片岡愛之助
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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