監督・塚原あゆ子×脚本・野木亜紀子
連続爆破事件を阻止すべく奔走する人々を描く
ドラマ2作とつながる、疾走感のあるサスペンス
ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子と脚本・野木亜紀子による長編映画が完成。出演は、Netflixの「First Love 初恋」の満島ひかり、『ゆとりですがなにか インターナショナル』の岡田将生、『リボルバー・リリー』の阿部サダヲ、『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』のディーン・フジオカ、『鬼平犯科帳 血闘』の火野正平ほか。11月、流通業界の一大イベントである「ブラックフライデー」の前夜、 世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生するーー。商品の故障による事故か、故意の爆破事件か。爆破事件であれば犯人の狙いはなんなのか。ショッピングサイトのスタッフ、刑事、運送会社、それぞれの立場や思惑が絡み合うなか、これ以上の爆破を阻止すべく人々が奔走する。人気ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」と繋がる“シェアード・ユニバース・ムービー” であり、事件の真相に迫るなか、流通の課題についても投げかける、ノンストップ・サスペンスエンタテインメントである。
11月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイト「DAILY FAST(通称:デリファス)」から配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく。これ以上の爆破を阻止し、人々の安全を守るため緊急に警察の捜査が始まり、サイトからの購入者と配達を請け負う運送会社に不安が広がる。デリファスの巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナは、チームマネージャーの梨本孔と共に、未曾有の事態の収拾にあたるが……。
「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子と脚本・野木亜紀子による疾走感のあるサスペンス。脚本家の野木亜紀子は、「お待たせしました、三作目です。法医学者、機捜刑事ときて、今回は会社員」と話し、今回のストーリーが塚原監督との会話から生まれたことについて、このように語っている。「21年のはじめ、どんな映画がいいか塚原監督に訊ねたら『宅配荷物が爆発する話は?物流が止まると大変』とのこと。そのワンアイデアで一本書きました」。また監督は流通業界に着想を得たことについて、このように語っている。「夜中にポチると翌朝には商品が届いているじゃないですか。すごく便利でありがたいですが、宛名を確認もせずに開けてしまうこともないとは言えない。もしその荷物が爆発したら……という企画はやってみたい企画だったんです。もちろん野木さんが各所に取材をかけて、物流について猛勉強してくれたので成立した企画ですね」
そしてこの映画では連続爆破事件をきっかけに、ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」と地続きでつながっていくのが大きな魅力だ。それぞれ世界観が確立されている作品であり、ドラマのサウンドトラックと共に作品の風合いがくっきりと展開するシーンは懐かしくも楽しい。劇中で事件の捜査が始まると、ドラマ「MIU404」で伊吹と志摩が乗っていた車「まるごとメロンパン号」(メロンパン販売用のかわいいデザインで、本来は覆面捜査や張り込み用の車両)がちらっと映るシーンがあり、「4機捜だ!」とドラマから観ている筆者のような視聴者をわくわくさせるカットも。キャストは人気ドラマ2作品の主要登場人物+映画の出演者というとても豪華なメンバーで、そんな彼らがさりげなく次々と惜しみなく登場してくる感覚、映画のストーリーとごく自然に関わり、事件の真相究明という大きな潮流となっていく展開が痛快だ。野木はドラマ2作とつながる“シェアード・ユニバース・ムービー”の脚本を執筆するにあたり考えたことについて語る。「たまたま1作目が法医学者たちの話で、2作目が機捜刑事たちの話だった。事件が起きたらそりゃあ、出てくるよねっていう偶然のラッキーさがあったので、そこに関しては悩みませんでした。もしドラマ2作を見ていない人が見ても、問題なく楽しめる映画にしたいというのはずっと意識していましたね」
塚原監督は、「爆破事件が起きたら遺体を解剖する人は出てくるし、 警察も出てきますから。ただちょっと豪華過ぎる人たちというだけで(笑)」と笑顔で語り、ドラマ2作から引き続き製作を担当している新井順子プロデューサーは、充実の顔合わせであるキャストについて感謝と共にこのように語っている。「皆さん当たり前にお忙しい方ばかりだったのでスケジュール確保は大変でしたが、誰ひとり出演を渋る方はいらっしゃいませんでした。私としてはあの人気2作の続編を待ち望むファンの方々たちの想いを、なんとかこの映画で叶えたい一心でスケジュールを調整させていただきました」
世界規模のショッピングサイト“デリファス”の関東センターに配属されたばかりのセンター長、舟渡エレナ役は満島ひかりが、切れ者で情の深さもある人物として。塚原監督は満島について、「私の中で仕事をしてみたい人だった」と話し、エレナ役は満島にアテガキで執筆されたとのこと。野木は監督と共に、満島を想定し女性を主演にと考えたことについて、このように語っている。「日本では30代後半くらいの女性を主人公にしたサスペンス映画となると、シリーズ系の刑事物以外はほぼない。女性を主人公にしたいという話は最初から出ていました。同時にこのくらいのバジェットの主役を背負える方というのは、おのずと限られてくる。いちばんは満島さんが主役の映画なら、素直に“見たい!”と思えるよねというのは、私たちの中で一致した意見でした」
転職してきたデリファス入社2年目のチームマネージャー、梨本孔役は岡田将生が、事件に困惑しながらも奔走するさまを自然なスタンスで。エレナの上司で日本支社の統括本部長・五十嵐道元役はディーン・フジオカが、デリファスのサイト商品の運搬を担う運送会社・羊急便の関東局局長、八木竜平役は阿部サダヲが、羊急便の委託ドライバーである佐野昭役は火野正平が、勤めていた会社が倒産し父のもとで配達員見習いをしている佐野の息子・亘役は宇野祥平が、2人の子どもと暮らすシングルマザーの松本里帆役は安藤玉恵が、警視庁警備部爆発物処理班の班長・小田島役は丸山智己が、それぞれに演じている。
そして、6年ぶりに集結した「アンナチュラル」からは、死因究明を専門とする施設「不自然死究明研究所(UDIラボ)」に所属する法医解剖医・三澄ミコト役の石原さとみ、ベテランの法医解剖医である中堂系役の井浦新、UDIラボ所属で“三澄班”の臨床検査技師である東海林夕子役の市川実日子、“中堂班”の臨床検査技師でありムーミンをこよなく愛する坂本誠役の飯尾和樹、UDIラボ所長・神倉保夫役の松重豊、以前にUDIラボでバイトをしていて現在は東央医大の研修医となった久部六郎役の窪田正孝、UDIラボに遺体を運ぶフォレスト葬儀社に勤務する木林南雲役の竜星涼、西武蔵野署所属の刑事で毛利刑事の相棒・向島進役の吉田ウーロン太、ミコトの義理の母親で弁護士である三澄夏代役の薬師丸ひろ子、この9人が登場。また4年ぶりに集結した「MIU404」からは、警視庁刑事部・第4機動捜査隊の隊員であり機動力と運動神経に長ける“野生のバカ”こと伊吹藍役の綾野剛、同隊員で伊吹の相棒である理性的な刑事・志摩一未役の星野源、第4機捜の隊長である陣馬耕平役の橋本じゅん、以前は女性初の警視庁刑事部機動捜査隊・隊長であり映画では西武蔵野署の署長として連続爆破事件捜査の指揮を執る桔梗ゆづる役の麻生久美子、第1機動捜査隊スパイダー班の班長である糸巻貴志役の金井勇太、警視庁捜査一課所属の刑事で刈谷刑事の相棒・田島雄介役の永岡卓也、高校生の頃に西武蔵野署管内で虚偽通報事件を起こした勝俣奏太役の前田旺志郎、この7人が出演。そしてさらに、「アンナチュラル」よりUDIラボに解剖依頼をしていた西武蔵野署の刑事・毛利忠治役の大倉孝二と(大倉は3作品すべてに出演)、「MIU404」より“機捜”にキツく接する、昔気質の捜査一課所属の刑事・刈谷貴教役の酒向芳が、連続爆破事件という重大事案の発生によりバディとなり捜査を担当。実直&パワハラ系のひょろ長いスラッとおじさん刑事コンビが、いわゆる“良い刑事・悪い刑事”ふうの組み合わせでいい味わいとなっている。
主題歌は、米津玄師が書き下ろした楽曲「がらくた」。「アンナチュラル」の「Lemon」、「MIU404」の「感電」に続き、3作目でも楽曲を提供し、米津は「この三作に関わることが出来て、本当に光栄に思っております」とコメントしている。
そもそもは、監督と野木による「次は映画を作ってみないか」という2020年の年末の何気ない会話から始まったとのこと。新井プロデューサーにとっては初の映画作品であり、塚原監督、脚本家の野木、新井プロデューサーという女性チームが着実に良質な作品を作り上げ、活躍の場を生き生きと広げていっているさまが、とても素敵だなと個人的に思う。タイトルの“ラストマイル”は、物流業界において顧客のもとへ荷物を届ける過程の最後の区画を指すという。今まさに注目されている“2024年問題”(働き方改革により、ドライバーの労働時間に上限が設けられたことで生じる問題全般)について感じさせる面もあるものの、脚本の執筆は2021年だったことから、野木は「三年以上前に考えた話で、そのあたりはまったく拾えていない」とコメント。それでも直近の社会問題に通じる内容となっていることについては、野木が「塚原さんの慧眼」と語っている。そして物語の特徴として、野木は語る。「この映画のポイントは“余地”。個人的に映画は余地があった方がいいと思っていて、この物語も解決しているようで本当の意味ではしていない」
そして塚原監督は映画のストーリーの意図について語る。「そもそもは“ビールとポップコーンが合う映画”として始まった企画。実際にそうなったかはさておき、台本を読んだ時の読後感と同じで、自分に戻ってくるといいかなと思います。観客が最終的に“自分ごと”に捉えてくれたら、どういう感想であれそれには価値があるのかなと。最後は渋谷の交差点に観客を戻したい気持ちがありましたね」
“ポップコーン・ムービー”というと、何も考えず、頭を使わずにボ〜ッと見ることができるイージーで明快な大衆映画で、観た後は特に何も残らないというイメージもある。『ラストマイル』の場合、頭をフル稼働させて集中して観ないと置いていかれるほどの情報量とスピード感、観た後でふと考えさせられるような内容であり、いわゆるそうした映画とは異なるかもしれない。とはいえ、ただ事件の真相究明をするミステリーというだけではない、緊急の深刻な問題に直面した時に人がどう動くか、どうにもならないような課題に対してどうアプローチしていくのか、思いがけないことが意外なことでつながってゆく妙味、そして期待通りヒューマンドラマとしての味わいがあり、“ノンストップ・サスペンスエンタテインメント”という呼び名の通り、濃く楽しめる内容であることは間違いない。最後に、満島、岡田、野木、塚原監督のメッセージをご紹介する。
満島「主人公・舟渡エレナの選択したことの続きはまだ、私の毎日の中にもあります。私たちの日常で、身の回りで起こっている止められない現実。一人の力では動かせない苦しさの連鎖。観る方がどんな気持ちになって、どんな余韻で日々をすごしてゆくのか、そんなことを想う映画でした」
岡田「念願のチームに参加させていただきました。どんな役でも参加したいと熱望していたのがようやく叶い、そしてとても難しい役をいただき、現場では常に頭を抱えながら監督と満島さんと、この難しい脚本に臨ませてもらいました。<中略>この映画から皆さんが受け取る、感じ取るものは様々だと思いますが、こんなにもワクワクする映画もないかと思われます。期待して待っていただけたら嬉しいです」
野木「憧れの満島ひかりさんを召喚することに成功、久方ぶりの岡田将生さんも来てくれて、幸せな座組が実現しました。無謀な台本を見事に顕現させる剛腕、それでいて情感豊かに紡ぎだす塚原監督の新たな世界を、スクリーンで堪能してください!」
塚原監督「この度、素晴らしいキャスト・スタッフに集まっていただき、野木さんとの映画が実現しました。連ドラと同じ世界線での3作目ですが、今回は『夜にポチッと注文した荷物が、貴方に届くまで』のお話です。ビールとポップコーンにあう映画にしようと始まった作品です。ワクワクドキドキしながら楽しんで貰えたら嬉しいです」
公開 | 2024年8月23日より全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2024年 日本 |
上映時間 | 2:09 |
配給 | 東宝 |
監督 | 塚原あゆ子 |
脚本 | 野木亜紀子 |
プロデューサー | 新井順子 |
主題歌 | 米津玄師「がらくた」 |
音楽 | 得田真裕 |
出演 | 満島ひかり 岡田将生 ディーン・フジオカ 大倉孝二 酒向芳 宇野祥平 安藤玉恵 丸山智己 火野正平 阿部サダヲ 「アンナチュラル」より 石原さとみ 井浦新 窪田正孝 市川実日子 竜星涼 飯尾和樹(ずん) 薬師丸ひろ子 松重豊 「MIU404」より 綾野剛 星野源 橋本じゅん 前田旺志郎 麻生久美子 |
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