ババンババンバンバンパイア

バンパイアが15歳の美少年の純潔を死守!?
吉沢亮主演で奥嶋ひろまさの人気漫画を実写化
キュートでスタイリッシュなラブ・コメディ

  • 2025/07/07
  • イベント
  • シネマ
ババンババンバンバンパイア©2025「ババンババンバンバンパイア」製作委員会 ©奥嶋ひろまさ(秋田書店)2022

『国宝』で役者として力強い表現を披露した吉沢亮が、突き抜けたコメディや歌でエンターテイナーとして魅せる、カラフルでスタイリッシュなコメディ作品。共演は、『はたらく細胞』の板垣李光人、『【推しの子】The Final Act』の原菜乃華、『ミンナのウタ』の関口メンディー、『ディア・ファミリー』の満島真之介、『ゴールデンカムイ』の眞栄田郷敦、『室町無頼』の堤真一ほか。監督はKDDI auの「三太郎」シリーズなどCMディレクターとして活躍し、今回が長編映画2作目となる浜崎慎治が手がける。バンパイアの森蘭丸は至高の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯のひとり息子・15歳の李仁の成長を見守っている。ある日、李仁が恋をしたと知り……。バンパイアという西洋ホラーの伝統的かつシリアスな美貌のキャラクターが、昔ながらの日本の風習を感じる銭湯で真面目にせっせと働き、実はかの森蘭丸450歳であり、現代を生きる15歳の高校生・李仁を溺愛。さらに李仁のほのかな初恋、銭湯を営む李仁の明るい家族たち、個性強めの周囲の人たちとの交流、兄弟間の確執と愛憎と、盛り上がる要素満載で展開。ラブコメでダーク・ファンタジーで家族のドラマでバトル・アクション、というカオスっぷりが味なキュートなコメディである。

銭湯「こいの湯」に住み込みで働く森蘭丸は450歳のバンパイア。至高の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯のひとり息子・15歳の李仁の成長と純潔をそばで見守っている。しかしある日、李仁がクラスメイトの葵に一目惚れ。恋の成就=純潔の危機のため、「恋をさせてはなるものか!」と蘭丸はピュア喪失阻止作戦を開始する。ところが葵はバンパイアオタクで蘭丸に恋をし、葵の兄である脳筋番長・フランケンは蘭丸の強さに男惚れ、さらに蘭丸はバンパイアハンターの坂本から命を狙われ、全員の思いやすれ違いにより、恋の矢印が大混線することに。そんななか、蘭丸の因縁の相手である実の兄でバンバイアの長可も現れ……。

板垣李光人,吉沢亮

奥嶋ひろまさ原作の人気漫画を実写映画化した話題作。吉沢と板垣をはじめ、俳優たちがハイテンションなコメディぶりで楽しませてくれる、かわいいラブコメディだ。ある意味、個性的なヒロイン(蘭丸)が登場人物たちからひたすらモテまくる、という昔ながらの少女漫画のシンプルな構図が軸にありながらも、蘭丸本人をはじめキャラクターたちの人物像や行動の動機などが明確でそれぞれ強めで極端で迷いがないところが、観ていて清々しい。物語の要素としては、恋、笑い、家族、友情、アクション、時代劇、昭和レトロ、ダーク・ファンタジーなど、キャラの濃さも相まって、ともすると破綻しかねない満載ぶりながら、俳優たちの表現と浜崎監督の演出のセンスにより、メリハリと華と味わいがあり、物語や登場人物たちに温かみのある、原作の風合いが生かされている楽しい作品となっている。原作の漫画は現在も連載中であり、製作陣が映画としてのクライマックスや結末に迷っていたなか、原作者の奥嶋氏から当時はまだ漫画に描かれていなかった連載前の内容を描く提案があったとのこと。その時のことについて、プロデューサーの鴨井雄一と井上千尋は奥嶋氏への感謝と共にこのように語っている。
 鴨井「映画のプロットで悩んでいた時に、『実はこの先、蘭丸の兄=長可というキャラクターが登場します』と連載前のネームまで見せていただき、そこから一気に脚本作りが進みました」
 井上「約2時間の映画にした時、クライマックスをどう締めくくるかかというのは制作チームにとって最大の課題だったので、奥嶋先生のご協力は大変ありがたかったです」

銭湯「こいの湯」に住み込みでバイトする、肉体的には25歳、実年齢は450歳のバンパイア森蘭丸役は吉沢が、李仁を溺愛して激推し、時には深夜の銭湯で掃除用のデッキブラシをギターがわりに歌って踊り、時には街の路地裏で無法者の血を吸血して乾きをしのぐ吸血鬼として。吉沢は自身が演じる蘭丸のみならずキャラクター全員が魅力的であることについて、筆者が取材した「CREA WEB」の2025年7月4日付の記事「『撮影20日前から水抜き』『衣装の丈を細かく調整』吉沢亮×板垣李光人、人気マンガ実写化のこだわりを明かす」にて、このように語っている。「登場人物がみんな“愛されバカ”なんです。敵も味方も関係なくみんなに可愛らしい部分があって、魅力的なキャラクターが多い。だから今回もそれぞれが個性的だし、全員“愛されバカ”みたいな感じが、見ていてホッとするんです。何も気にせずゲラゲラ笑える感じが、僕はとても魅力だなと思います」
 「こいの湯」を経営する立野家のひとり息子で蘭丸が血を狙う、天真爛漫な15歳・李仁役は板垣李光人が、蘭丸を慕い、あわい初恋に浮かれる純真な少年として。原作者の奥嶋氏は李仁を描く際に板垣をイメージしたそうで、このことを後で知った板垣は「運命を感じた」と話し、2025年6月17日に東京で行われた完成披露試写会では、「漫画のキャラクターのイメージにしていただけるだけでも嬉しい事なのに、実写化になるときに自分が演じられるなんて。役者冥利に尽きます」とコメント。また板垣は前述の「CREA WEB」の記事にて、キャラクターの魅力についてこのように語ってくれた。「登場人物たちはみんなバカだけど自分をしっかり持っている。それぞれが自分の愛するものに、とてもまっすぐなんですよね。観てくださる方も、そういうところに温かさや優しさを感じていただけるんじゃないかなと思います」
 李仁が恋をする同級生で、蘭丸に恋をするバンパイアオタクの妄想女子・葵役は原菜乃華が、蘭丸を狙うバンパイアハンターであり李仁の担任教師でもある坂本役は満島真之介が、葵の兄で蘭丸を慕うフランケン役は関口メンディーが、蘭丸と困縁のある実の兄でバンパイアの長可役は眞栄田郷敦が、蘭丸と長可が愛し仕えた織田信長役は堤真一が、李仁の父で銭湯「こいの湯」3代目・立野春彦役は音尾琢真が、李仁の祖父・立野長次郎役は笹野高史が、李仁の母・立野珠緒役は映美くららが、それぞれに演じている。さらにバンパイアハンター役でアンミカ、坂本が蘭丸と勘違いして追う謎の男役で栗原類、夏祭りの腕相撲大会でフランケンと対決する男役で映画初出演のお笑いコンビ・かけおちの青木マッチョの出演も。
 浜崎監督はキャストへの感謝と映画への取り組みについて、このように楽しそうに語っている。「このぶっとんだコメディを撮るために日本最高峰のキャストが集結!主演の吉沢亮さんはじめ、出演していただいた全ての方に大感謝です!バンパイアでなくても死にそうな真夏の日差し、深夜の撮影も多い日々でしたが、スタッフやキャストと共に、バンパイアコメディとは何ぞやという問いに全力で取り組みました」
 個人的に素敵だなと思ったのが、原作者・奥嶋氏がXで2024年11月26日に投稿した今から15年前、2010年のエピソードだ。笹野高史さんのTwitter(現在のX)のアカウントに、「有名人と気軽に話せるツールだと勘違いしてたバカな私(奥嶋氏)」が、「自分の漫画が実写化されたら出てください」とコメントしたら、笹野さんから、そういうのが一番嬉しい、頑張って、忘れないでね!と返信が。それが今回の映画化で本当に実現したことについて、2024年の投稿でこのように感謝を伝えている。「俳優さんにこんな失礼なツイートしたのはこれが最初で最後なのだけど、貰った返信をずっと一つの目標にして、お守りのように大切にしていたので、14年越しに叶えられてとても嬉しくお礼も言えて夢のようです」

音尾琢真,笹野高史,映美くらら,吉沢亮,板垣李光人

この映画ではミュージカルナンバーのような自己紹介ソングがあるのもひとつの特徴。劇場アニメ『ベルサイユのばら』と近いスタイルでわかりやすくユーモラスだ。吉沢は歌について「バリバリのミュージカルソングのようなかっこいい曲だったので、本当に歌えるかな?という不安が最初はありました」と話し、「李仁について歌っているパートの時は蘭丸が李仁の血を渇望している気持ちが前面に出ている部分なので、そのあたりは是非聴いてほしいです。僕史上一番エロく言ってみました(笑)。そこは結構こだわりポイントではありますね」と朗らかにコメントしている。現在、吉沢が「NO RIHITO! NO LIFE!」と歌うオリジナル曲「森蘭丸450歳」をはじめ、満島が歌う坂本梅太郎、関口メンディーが歌うフランケン、それぞれのキャラクターソングがフルバージョンで「3 Character Songs From ババンババンバンバンパイア(オリジナル・サウンドトラック)」として各種配信サイトでストリーミングやダウンロード配信中となっている。
 また映画のエンディングにはimaseが歌う主題歌「いい湯だな 2025 imase × mabanua MIX」がゆったりのんびりと。昭和の名曲「いい湯だな」は、ザ・ドリフターズがカバーし、伝説的なバラエティ番組「8時だョ!全員集合」「ドリフ大爆笑」のエンディングテーマだったことでも有名。この映画の企画として、吉沢がドリフのメンバーである高木ブーと加藤茶とコラボ歌唱を実施。「いい湯だな 2025 imase × mabanua MIX」を吉沢亮と高木ブー&加藤茶が共に歌うスペシャルサポートソングとして、公式HPのNEWSの2025年6月12日の記事で紹介されているのも面白い。

劇中の銭湯「こいの湯」の撮影は、原作のモデルとなった東京・練馬区石神井の銭湯「たつの湯」にて。銭湯内の撮影はアクションなどもあることから、都内の廃銭湯を美術スタッフが作り込み、富士山の壁絵は銭湯絵師の中島盛夫氏が手がけて制作された。そしてクライマックスにはある場所で、蘭丸と長可のバンパイア兄弟対決が派手に展開。ワイヤーを駆使したアクロバティックなアクションは見どころのひとつだ。
 劇中では、推しや萌えやズッキュンといった現代のときめきワードや動きに加え、蘭丸が李仁を尾行して、葵と親しげな様子に悔しがって地団駄を踏むといった、昭和ふうのレトロなコメディも満載。浜崎監督は、自分が心から笑えないとOKは出さない、というほど “笑い”へのこだわりは強いとも。撮影現場で新たなアイデアを試したり、時には吉沢から台本にない動きを提案することもあったそうだ。李仁のあまりの可愛さを蘭丸が噛み締めるシーンでは、変顔を瞬発力で必死にやったとのこと。吉沢は変顔などコメディのシーンについて、2025年6月30日 に「たつの湯」で行われた銭湯トークイベントにて、「スピード感と切り替えが大事です。100か0かでやれるかどうか。実はああいうの大好きなんです」と楽しそうに話していた。

原菜乃華,関口メンディー,板垣李光人,吉沢亮,満島真之介

2025年7月4日の映画公開初日には、原作者・奥嶋氏がXに作品鑑賞後、ストレートに映画を応援する温かいメッセージをかわいい絵文字と共に投稿した。「やっぱり良い映画だった。見れば見るほどキャラクターが好きになるし、俳優さんももっと好きになっちゃうんだよな。これで私の役目も終わり、これからは皆さんで映画バババを育ててあげて欲しいと切に願います。愛してるぜ!!映画ババンババンバンバンパイア」
 浜崎監督は映画制作にあたり、奥嶋氏への感謝と実写化への思い入れをこのように語っている。「このサイコーにおバカな漫画原作の実写化に、正直何が正解なのかを模索する日々が続きました。そんな中、原作の奥嶋先生から『映画は監督のものなので自由に楽しく作ってください』というお言葉を頂き、これは日本最高峰のバンパイアコメディ映画を作るチャンスなんだと確信しました」
 板垣は前述の銭湯トークイベントにて、観客へのメッセージをこのように語った。「この作品はエンタメがギュッと詰まっていて、登場キャラも全員がおバカだと思うところもあるけれど、それぞれが一途に人やものを愛する姿勢が美しく尊く描かれています。笑える中にも感動が出来る内容なので、幅広い方々に観ていただきたいです」
 最後に、吉沢が2025年6月17日に東京で行われた完成披露試写会にて、韓国富川国際ファンタスティック映画祭やニューヨーク・アジアン映画祭での上映決定について、「こういったエンタメもりもりのコメディ映画で海外の映画祭に出品されるのはなかなかない事なので嬉しい」と話し、観客にこのようにメッセージを伝えた。「笑えるシーンが沢山あるけれど、カッコいいアクション、歌唱、感動するシーンもあって良い要素を詰め込んだ映画になっています。最後まで楽しんでいただければ嬉しいです。この夏は『ババンババンバンバンパイア』と一緒に盛り上がっていきましょう!」

参考:「CREA WEB

作品データ

公開 2025年7月4日より全国公開
制作年/制作国 2025年 日本
上映時間 1:45
配給 松竹
英題 Baban Baban Ban Vampire
原作 奥嶋ひろまさ『ババンババンバンバンパイア』(秋田書店「別冊少年チャンピオン」連載)
監督 浜崎慎治
脚本 松田裕子
出演 吉沢亮
板垣李光人
原菜乃華
関口メンディー
満島真之介
堤真一
音尾琢真
映美くらら
笹野高史
眞栄田郷敦
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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