ジェームズ・ガン監督があのヒーローを解き放つ
完全無欠ではなく恋人や仲間と共に成長してゆく
“新生DCユニバース”第1作となる劇的な快作
アメコミ史上最も歴史あるスーパーヒーローといわれるスーパーマンを完全新作として、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『アベンジャーズ』シリーズのジェームズ・ガン監督が手がける話題作。出演は、『ツイスターズ』のデイビッド・コレンスウェット、『アマチュア』のレイチェル・ブロズナハン、『X-MEN:ダーク・フェニックス』のニコラス・ホルトほか。普段は新聞記者のクラーク・ケントとして正体を隠し、人々の危機には圧倒的なパワーで大勢の人たちを救い続けるスーパーマン。しかしやがてその≪無尽蔵なヒーロー活動≫を地球の脅威とみなし、問題視する声が……。強敵にボロボロに傷つけられ、誹謗中傷に晒され、地球で暮らすひとりの人物として苦悩する、“完全無敵”ではないスーパーマンことカル=エルの姿を描く。献身的なスーパーマンの“希望の象徴”としての精神性を軸に、SNSによる炎上やフェイクニュース、最新テクノロジーに着想を得たSFなど現代的な要素をさまざまに取り入れ、監督の持ち味であるユーモアやキレのあるテンポ感、仲間たちや家族のつながりなど人情のあたたかみもしっかりと。2022年にジェームズ・ガン監督がDCスタジオの共同CEOに就任した“新生DCユニバース”の第1作である、ドラマティックなアクションエンターテインメントである。
普段は新聞記者クラーク・ケントとして大手メディア「デイリー・プラネット」で働き、その正体を隠しているスーパーマン。自由自在に空を飛び、圧倒的なパワーで人々を救い続けるなか、彼を人類の脅威とみなし、排除しようとする天才科学者で大富豪のレックス・ルーサーと激しく対立。スーパーマンの最大の宿敵であるレックス・ルーサーは自身の智力と財力を注ぎ込み、世界を巻き込むある計画を始動する。
1938年にアメリカの出版社DCコミックスから発行されたコミック「Action Comics #1」で初登場して以来、テレビドラマや映画などで親しまれてきたスーパーマンが、現代のスーパーヒーローとして颯爽と登場。「空を見ろ!鳥だ!飛行機だ!いや、スーパーマンだ!」という昔から日本で知られているフレーズはなく、現在は街に電話ボックスがないためかちょっとお間抜けな着替えシーンもないものの、全身を見ると目を引くコスチュームのダサポイント、赤パンツもしっかり履いて、原点のスタイルやメッセージ性にオマージュをはっきりと捧げつつ、なぜかちゃんとカッコよく見えるようにスタイリングされているところが見事だ(赤パンツ姿を見て、1980年代のバラエティ番組『オレたちひょうきん族』でビートたけし扮するコントのキャラクター“タケちゃんマン”を思い出したのは筆者だけではないはず)。SNSで貶められ炎上、異星人ながら地球と人々を深く愛しているのに誤解され中傷されることへの苦悩、知識とテクノロジーの暴走など、現代の情勢がストーリーに反映されている。スーパーマンについて、故郷の星を失って地球に定住している異星人であり宇宙規模の移民として捉えているところ、自分の居場所や周囲の人たちとのつながりについて問いかける物語は普遍的だ。映画の冒頭、ボロボロの状態のスーパーマンが雪原に倒れているシーンについて、ガン監督は2024年末にアメリカで実施された超特報解禁イベントでのインタビューにて、このように語っている。「冒頭からスーパーマンの、普段スクリーンで見ているのとはちょっと違う一面を見ることができます。この映画は、“パワー”についてではなく、“人間”についての映画です。スーパーマンが一人の“人間”としてどういう人なのかを描き、冒頭で彼の違った側面を見ることになります」
「デイリー・プラネット」の新聞記者クラーク・ケントとして働く、スーパーマンことカル=エル役はデイビッド・コレンスウェットが、地球と人々を守り戦うなか、アンチからの批判や誹謗中傷に苦悩する人物として。デイビッドはスーパーマンを演じることを心から喜び、このように語っている。「スーパーマンは揺るぎなく、希望に満ちたキャラクターで常に未来を見つめ続けているんです。そして、楽しさと遊び心をもったキャラクターでもあります。そんなスーパーマンを演じられて、僕はずっと興奮していました!」
ガン監督はスーパーマンが愛される理由について、2025年7月8日(日本時間)にアメリカ・ロサンゼルスにて行われたプレミアイベントにて、このように語った。「スーパーマンは強いし、飛べるし、目からビームも出せる。でも誰よりも優しい心を持ち、歴史上でも一番有名なヒーローの1人だ。正義や真実だけではなく、弱き者や助けを必要とする人のために立ち上がる姿が人々の共感を得ているのだと思う」
「デイリー・プラネット」の記者であり同僚で、スーパーマンの恋人ロイス・レイン役はレイチェル・ブロズナハンが、スーパーマンの宿敵レックス・ルーサー役はもともとスーパーマン役の候補のひとりだったニコラス・ホルトが、ヒーロー集団“ジャスティス・ギャング”のメンバーであるミスター・テリフィック役はエディ・ガテギが、同メンバーのグリーン・ランタン役はネイサン・フィリオンが、同メンバーのホークガール役はイザベラ・メルセドが、またあらゆる物質に姿を変えることができる特殊能力を持つメタモルフォ役はアンソニー・キャリガンが、クラークやロイスのデイリー・プラネットの同僚でフォトジャーナリストのジミー役はスカイラー・ギソンドが、ペリー・ホワイト編集長役はウェンデル・ピアースが、同僚のコラムニストであるキャット役はミカエラ・フーバーが、同僚のスポーツライターであるスティーブ役はベック・ベネットが、そしてレックスに忠誠を尽くす、全身を変幻自在に武器に変換できる改造された人間兵器エンジニア役はマリア・ガブリエラ・デ・ファリアが、スーパーマンのヒーロー活動を危険視するエリート軍人のリック・フラッグ将軍役はフランク・グリロが、レックス・ルーサーの恋人である人気インフルエンサーのイブ・テシュマッカー役はサラ・サンパイオが、それぞれに演じている。まだまだこれから公式に解禁される出演情報もあるのでお楽しみに。
キャラクターで特にかわいらしいのは、実写作品に初めて登場するスーパーマンの相棒、スーパードッグのクリプトだ。ふわふわの白いボディに赤マント、スーパーマンと同じ強力なパワーと飛行能力をもち、ピンチに駆けつけて活躍する。思いのほか、ちょいおバカで暴れん坊で、想定外の力技(脳筋ふう)の動きをするところが楽しいスパイスになっている。筆者の推しキャラはエディ・ガテギ演じる“ジャスティス・ギャング”のリーダー、ミスター・テリフィックで、オリジナルのハイテク武器である複数の球体を華麗に操る戦闘スタイルがエレガント。敵陣に乗り込み、ロイスをドームで保護して音楽を大音量で流し、1人で一気にカタをつけるシーンはとてもカッコいい。ただ彼は時間も労力も予算もガジェットに全振りしているため、空飛ぶUFO的な乗り物はハイテクでクールなのに、それを収納しているガレージは旧式のままで。その扉がすべて開くまでに時間がかかり、気まずい間があるのがなんとも可笑しい。またあるシーンでは、レックスの手下が中型犬サイズの謎の生物を街に放ち、てててと走り去る後ろ姿を見送りながら、「かわいすぎないか…?」とつぶやくところも面白い。そして翌日にはまったくかわいくない風体になっているところも。そして後半には、ある人物が思いがけない形で貢献する、その意外な切れ者ぶりが明らかになるところはいかにも現代的で引きつける。映画の予告映像にあるスーパーマンとロイスが抱き合ってゆっくり上昇していくシーンはクラシックな恋愛ドラマばりにロマンティックで、その時に編集長と記者が外で交わしている軽口も「あるある」という感じで楽しげだ。そのほかスーパーマンの要塞を守る4体の献身的で有能な執事さながらのロボットたちもほほえましい。
劇中には、スーパーマンと敵対するレックス・ルーサーの切り札として、超巨大生物KAIJU(カイジュウ)や、フルフェイスの謎のキャラクター“ウルトラマン”が登場。KAIJUが登場する時は、音楽が「ゴジラ」のテーマ曲ふうのサウンドになっている遊び心も(映画の公式HPのNEWSでは、ガン監督と『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督とのオンライン対談のレポートが紹介されている)。ガン監督は「ウルトラマン」や「仮面ライダー」などのシリーズが大好きで、今回のKAIJUなどのキャラクターについて、「日本の特撮に影響を受けた」と話している。
冒頭の雪原はCGではなく、実際に一面雪に覆われたノルウェーの北極圏近くにあるスヴァールバル諸島にて撮影。スーパーマンの“孤独の要塞”周辺は、迫力のある美しい映像となっている。
特報映像にてジョン・ウイリアムズによる「スーパーマン」の有名なテーマ曲のアレンジバージョンが使われ、1978年の第1作への熱いオマージュが伝わってくる本作。ガン監督がピーター・サフランと共に2022年10月にDCスタジオのトップに就任後、新生DCスタジオによる第1作の長編映画という節目にふさわしい作品となっている。ガン監督はスーパーマンのキャラクターと物語が問いかけるテーマ、今回の映画に込めた思い、映画ファンに伝えたいメッセージについて、このように語っている。「僕は自分自身を興奮させ、感動させ、そして本物だと感じられる物語を作りたかったんです。そしてこの考えからこの作品を作ることが始まりました。そして、究極の善人である、スーパーマンというキャラクターの原点に忠実なスーパーマンにしたかった。この映画を通じて、“優しさ”とは何か、“善人であるということ”とは、ということを、皆さんに伝えたいと考えています。特報を観た人たちは、それぞれ違う感想をもつでしょう。本編を見たらストーリーだけではなく、僕たちのスーパーマンの見方やDCキャラクターの見方も楽しむことができると思います」
公開 | 2025年7月11日より日米同時公開 |
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制作年/制作国 | 2025年 アメリカ |
上映時間 | 2:09 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
原題 | Superman |
監督 | ジェームズ・ガン |
出演 | デイビッド・コレンスウェット レイチェル・ブロズナハン ニコラス・ホルト |
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