ジュラシック・ワールド/復活の大地

シリーズ初の女性主人公と共に新章スタート
任務に挑むメンバー、巻き込まれる民間の家族
恐竜たちの世界に飛び込む冒険を描く最新作

  • 2025/07/29
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ジュラシック・ワールド/復活の大地©2025 Universal Studios. All Rights Reserved.

人気シリーズの7作目であり、新章のスタートとなる最新作。「ジュラシック」シリーズ初の女性主人公ゾーラ役は『アベンジャーズ』『ジョジョ・ラビット』などのスカーレット・ヨハンソン、共演は『ムーンライト』『グリーンブック』のオスカー受賞俳優マハーシャラ・アリ、『ウィキッド ふたりの魔女』のジョナサン・ベイリー、『アステロイド・シティ』のルパート・フレンド、『オリエント急行殺人事件』のマヌエル・ガルシア=ルルフォほか実力派が顔を揃える。監督は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『ザ・クリエイター/創造者』のギャレス・エドワーズ、脚本はスティーヴン・スピルバーグが監督を手がけた1993年の第1作『ジュラシック・パーク』と1997年の第2作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』の脚本を担当したデヴィッド・コープが28年ぶりに復帰、そして製作総指揮をスピルバーグが務める。あれから5年。世界中に放たれた恐竜たちは、現代の気候や環境に耐えられず数を減らし、今は赤道直下の限られた地域にだけ生息している。秘密工作の専門家ゾーラは製薬会社の代表から打診され、最強の恐竜たちに関わる危険な任務を引き受けるが……。人類を救う新薬開発という大義のもと、秘密工作員と大企業の思惑が交錯するなか、ひたむきな研究意欲をもつ古生物学者や、思いがけず巻き込まれる家族たちが、それぞれの思いや信念と向き合いながら過酷な状況を突き進む。かつてジュラシック・パークの極秘研究が行われていた“禁断の島”を舞台に、生命の可能性と倫理を問いかけ、野生の恐竜たちを巡る人間たちの冒険の行方を描くエンターテインメント大作である。

恐竜たちが世界に解き放たれてから5年。現代の気候や環境に耐えられず数を減らし、恐竜たちは赤道直下の限られた地域で生息している。秘密工作の専門家ゾーラ・ベネットは、製薬会社の代表マーティン・クレブスから、ある危険な任務を引き受ける。それは、人類を救う新薬を開発するため、陸・海・空の3大恐竜のDNAを採取するというものだった。チームとして集められたのは、ゾーラが最も信頼する傭兵ダンカン・キンケイドと仲間たち、古生物学者ヘンリー・ルーミス博士も加わる。そして、かつてジュラシック・パークの極秘研究が行われていた“禁断の島”へ。そこは陸・海・空のどこから野生の恐竜が襲ってくるかわからない、地球上で最も危険な場所だった。目的の恐竜を探すなか、彼らは長年隠されてきた衝撃的な事実と直面し……。

スカーレット・ヨハンソン

『ジュラシック・ワールド』3部作が完結した2022年の前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』から5年後の世界を描く最新作。以前にジュラシック・パークの開園に備え、秘密裏に研究が進められていた孤島での事実が明かされてゆく。1993年の第1作『ジュラシック・パーク』からシリーズ6作品のキャラクターたちが物語の背景にありながらも、新たな登場人物たちが活躍する新章のスタートとなっている。今回は秘密工作員と企業の合意から始まるストーリーのなか、恐竜研究ひと筋の学者、ワイルドな傭兵の仲間たち、巻き込まれる家族たち、そして多様な恐竜たちが登場しドラマティックに展開していく。物語には工作員と企業の任務という面と、サバイバルを強いられる家族という面があり、子どもから大人まで幅広い層が楽しめる内容だ。家族のパートではかわいい子どもと小型の恐竜、娘のチャラい彼氏と真面目な父親とのやりとりがコミカルかつハートウォーミングに描かれ、緊迫感ある展開のなか心地よく緩めてくれるシーンとなっている。新薬の開発のために3大恐竜から危険をおかしてDNAを採取するくだりは、個人的に『鬼滅の刃』を思い出す感覚も。
 2025年7月23日に東京で行われた日本最速上映ファンイベントにて、エドワーズ監督は今回の映画製作に参加を決めた時のことについてこのように回答。『ザ・クリエイター/創造者』の撮影を終えたばかりで休暇が欲しいと思っていたなか、送られてきた脚本を読み、「素晴らしすぎて、絶対にこの映画を作りたい」と思い、翌日に自身が大ファンであるスピルバーグにプレゼンすると、その時に「褒め言葉をもらって、そこで死んでもいい!と思うくらい嬉しかったです」と熱く語っている。そして今回の脚本の魅力について、エドワーズ監督はスピルバーグの有名な映画を例にあげてこのように語っている。「特殊任務もの、転じてサバイバルものでしょ。その過程でどんどん変化球が投げられる。探求と冒険の旅路が、家族にまつわる感動の物語と絶妙なバランスで交錯して、陸・海・空それぞれを舞台に明確に異なる章で成り立っている。その一つ一つがハラハラドキドキするアトラクションのような短編物語で、それらがやがてジェットコースター並みに壮大な一つのストーリーに流れ着く。『ジョーズ』みたいかと思いきや『インディ・ジョーンズ』的。はたまたその中間も。それでいて、まるでデヴィッド・アッテンボローの映画のように、自然の雄大さを享受する。<中略>片っ端から描きたくてたまらなくなったわけです」

秘密工作の専門家ゾーラ役はスカーレットが、元特殊部隊の工作員で喪失を経験してきたタフなリアリストとして。冒険の旅を通じて新たな視点と希望を見出す姿を魅力的に表現している。ヨハンソンは子どもの頃から「ジュラシック」シリーズのファンで、「このシリーズに出演することは、ずっと昔からの夢でした」と話し、シリーズをずっと観続けて、映画製作のたびに出演可能とアピールしてきたものの上手くいかなかったとのこと。今回こそとスピルバーグに電話して、会ってこのように熱意を伝えたそうだ。「スティーヴン、どうしてもこの映画に出たいんです。最初の5分で死ぬ役でも構いません!子供の頃からの夢なんです!私にやらせてください!あっと言わせてみせますから」
 そしてエドワーズ監督が製作陣のミーティングでスカーレットの意思を知り、「ピッタリじゃないですか!」と即断し、シリーズ初の女性主人公が決定したそうだ。スカーレットは劇中のアクションも、これまでのアクション・ヒーローとしてのトレーニングを活かし、彼女のスタント・ダブルであるミッキー・ファッシネロやスタント・チームと連携して挑んだとのこと。今回は新たにロープを使って垂直の壁や崖を降下するアブセイリング(ラペリング)の訓練を受け、劇中で高さ約21メートルの崖(美術セット)を実際に降下する、スリルあるシーンに臨んだ。
 ゾーラが最も信頼するチームリーダーで傭兵のダンカン役はマハーシャラ・アリが、アラン・グラント博士の門下生である古生物学者、ヘンリー・ルーミス博士役をジョナサン・ベイリーが、ゾーラに危険な任務を依頼する巨大製薬会社の代表マーティン・クレブス役はルパート・フレンドが、娘2人と長女の彼氏と共に海で船旅をしていた父親ルーベン・デルガド役はマヌエル・ガルシア=ルルフォが、18歳の長女イザベラ役はオードリナ・ミランダが、素直でかわいらしい11歳のテレサ役はルナ・ブレイズが、イザベラのチャラいけどそれだけじゃない彼氏ゼイビア役はデヴィッド・ヤーコノが、ダンカン率いる迷彩柄の軍用巡視船エセックス号のメンバーたち3人は、警備担当のボビー役はエド・スクラインが、操縦士兼甲板員のルクレール役はベシル・シルヴァンが、同じく操縦士兼甲板員のニーナ役はフィリッピーヌ・ヴェルジュが、それぞれに演じている。

スカーレット・ヨハンソン,ジョナサン・ベイリー

大きな見どころのひとつはやはり恐竜たちだ。恐竜の考証はエジンバラ大学で古生物学の教授を務める進化生物学者のスティーブ・ブルサッテ氏が担当。ゾーラたちの任務の目的となる3大恐竜のケツァルコアトルス(空で最大)、モササウルス(海で最大)、ティタノサウルス(陸で最大)は映画の公式HPでも紹介されている。ほかにも多様なタイプが登場するので、お気に入りを見つけるのも楽しいだろう。筆者はのんびりゆったりと草を食むティタノサウルスのシーンがとても愛らしくて好みだ。劇中で11歳のイザベラが“ドロレズ”と命名する草食恐竜アクイロプスもかわいらしい。アクイロプスは「ジュラシック」シリーズ初登場で、比較的近年に発見された角竜であり子犬サイズで親しみがある。またシリーズを通じて象徴的なT-REXことティラノサウルス・レックスは、川を下るデルガド家のシーンで登場。このシーンはマイケル・クライトンの原作小説『ジュラシック・パーク』にあり、映画1作目でスピルバーグ監督と脚本のコープが断念したそうで、満を持して映像化したという。コープは、「マイケルの原作小説に登場するあの描写が、僕らは昔から大好きでした」と話し、当時に技術的な理由で諦めたことと、念願のシーンを映像化した背景についてこのように語っている。「あの頃はCGで再現できるショットの数が限られていたうえに、予算や時間の兼ね合いで結局は諦める羽目になりました。それもあって今回こそはあのシーンを物語に含めようと、スティーヴンと早々に決意しました」

撮影地は、タイ、マルタ、イギリス、ニューヨークにて。南米北岸にある設定のダンカンの海辺の拠点「ヴァン・ダイク・バー」の撮影は、タイの小さな漁村バンバカンにある廃墟となった屋外カフェの跡地にて。セットには約2メートル半のモササウルスの顎が飾られ、スピルバーグ監督作『ジョーズ』へのオマージュとして架空の漁村アミティのナンバープレートや、サメとの対決シーンに登場する船オルカ号の一部などのディスプレイも。劇中でゾ−ラたちがサン・ユベール島に到着するシーンは、タイ南部のトラン県にあるクラダン島のサンセット・ビーチにて。ティタノサウルスが過ごす平原やケツァルコアトルスの崖のシーンもタイにて。メンバーが崖を降下するシーンは、イギリスのスカイ・スタジオ・エルストリーの屋外に、高さ約21メートルの崖をセットで構築した。プロダクション・デザイナーのジェームズ・クラインは、監督の意図について、「監督は俳優にも観客にも、映画が伝える現実感に没入して欲しいと思っています」と説明。そしてロケ地や美術セットのデザインなどスピルバーグ監督によるオリジナルから受けた影響について、クラインはこのように語っている。「オリジナルの『ジュラシック・パーク』は僕にとっても映画史においても重要な映画だったので、できる限りそれに敬意を表したかった。今回の映像は、特に島におけるコンクリートの建物やフェンス、赤や黄色の色使いなど、90年代の『ジュラシック・パーク』に非常に似ています。一方で、テクノロジーの描写などいくつかの領域では『ジュラシック・ワールド』のシリーズから借用し、可能な限り現実感を出しながらも未来的にしました」
 またこの映画の撮影はデジタルではなく、35mmフィルムで撮影。エドワーズ監督はフィルムを薦めてくれた撮影監督ジョン・マシソンに感謝し、1993年の『ジュラシック・パーク』と同様にパナビジョン・カメラとアナモルフィック・レンズを使用したこと、自身で初のフィルム撮影による長編映画であることについて、このように語っている。「あのヴィンテージ感、つまり『ジョーズ』や『ジュラシック・パーク』を特別なものにした質感がほしかったんです。ジャングルの環境で撮影すると、フィルムはデジタルでは表現できない色彩を引き出してくれます。しかも、パナビジョンを手に持つと、まるでカメラが生きているように感じました。動物のように手の中で震えていたんです」
 そして監督は完成した映像にとても満足し、これからの映画製作についてこんな心配も。「苦労と不安は報われました。理想的な“ジュラシック”らしさを映像で得られたからです。正直言って、これを撮ったあと、どうやってデジタルに戻ったらいいのかわかりません」

ジュラシック・ワールド/復活の大地

音楽はジョン・ウイリアムズによる有名なテーマ曲を、2度のオスカー受賞経験をもつアレクサンドル・デスプラが引き継いで制作(『ハリー・ポッターと死の秘宝』前後編に次いで2回目)。オリジナルを尊重しつつ、あからさまな引用ではなく微かなオマージュとして取り入れ、遊び心を持ちつつ意義深い形で活用していきたい、とコメントしている。またユニークなのは、ヘンリー・ルーミス博士役のジョナサンが実生活でクラリネットを演奏していることから、クラリネット奏者として厳選された105名のミュージシャンと共に劇中歌のスタジオ録音に参加。その曲が、ヘンリー博士が初めて恐竜に触れるシーンで流れている曲であり、ジョナサンが軽いソロ演奏もしているというのも楽しい情報だ。

新たなメンバーによる「ジュラシック」シリーズ新章の第1作。孤島の極秘研究施設で行われていたこととは、ゾーラはどんな選択をするのか、メンバーたちは生き抜くことができるのか。冒険と挑戦、対立や連帯、家族の結びつきのこと、そしてたくさんの恐竜たち、キャラクターたちのさまざまなドラマで惹きつけるエンタメ作品だ。2025年7月23日には、ギャレス・エドワーズ監督と脚本家のデヴィッド・コープが、東京で行われた日本最速上映ファンイベントに来日。日本びいきのエドワーズ監督は、挨拶のなかで自身が監督した2014年の映画『GODZILLA ゴジラ』をあげ、「東京、日本といえば大きな恐竜が登場する映画の発祥の地なので、こうして日本で公開されることがとっても嬉しいです」とコメント。また監督は自身が影響を受けている日本の映画について、2025年6月23日(現地時間)に行われたNYプレミアにてこのように語った。「私の頭の片隅には、常に日本の作品があります。先日、私が描いた本作のポスタービジュアルをネットで解禁したのですが、それも黒澤明の『七人の侍』からインスピレーションを受けています。あとは『AKIRA』や漫画全般からも影響を受けていますよ。もちろん『ゴジラ』にもね!」
 最後に、エドワーズ監督がシリーズ第1作を基準にこの映画の質感を作り上げていったこと、シリーズへの敬意と今回の映画製作への思い入れについて、情熱的に語るコメントをご紹介する。「『ジュラシック・パーク』はこれぞ純然たる映画です。あそこでスティーヴンがやったことを超えるなんて無理だし、超えられると考えたことすらありません。ただ、あの名作にふさわしい後日譚を、みんなで撮れたとは思いたいです。『ジュラシック・ワールド/復活の大地』を観た皆さんが、実はユニバーサルが、作ったのすら忘れていた完成品を蔵から掘り出したのがこれだと感じていただけたら嬉しいです。『ジュラシック・パーク』の続編として90年代にすでに完成していた、1作目と同じ空気感やスタイルのある映画なのだと」

作品データ

公開 2025年8月8日より全国ロードショー
制作年/制作国 2025年 アメリカ
上映時間 2:14
配給 東宝東和
原題 Jurassic World: Rebirth
監督 ギャレス・エドワーズ
脚本 デヴィッド・コープ
キャラクター原案・脚本 マイケル・クライトン
製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグほか
出演 スカーレット・ヨハンソン
マハーシャラ・アリ
ジョナサン・ベイリー
ルパート・フレンド
マヌエル・ガルシア=ルルフォ
ルナ・ブレイズ
デヴィッド・ヤーコノ
オードリナ・ミランダ
フィリッピーヌ・ヴェルジュ
ベシル・シルヴァン
エド・スクライン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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