ブラック・ショーマン

原作・東野圭吾×主演・福山雅治、新シリーズ第1作
元マジシャンの叔父と建築士の姪がバディとなり
家族を殺された故郷での事件に挑むミステリー

  • 2025/09/24
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ブラック・ショーマン©2025映画『ブラック・ショーマン』製作委員会

シリーズ累計で国内発行部数100万部以上、東野圭吾の小説『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』を映画化。出演は、東野作品「ガリレオ」シリーズの福山雅治、『月の満ち欠け』の有村架純、『窮鼠はチーズの夢を見る』の成田凌、『(LOVE SONG)』の森崎ウィン、『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』の伊藤淳史、『BAD LANDS』の生瀬勝久、『帰ってきたあぶない刑事』の仲村トオルほか充実の顔合わせで。監督は『コンフィデンスマンJP』『イチケイのカラス』などのシリーズの田中亮が手がける。元中学校教師・神尾英一が何者かに殺害される。娘の神尾真世と英一の弟で元マジシャンの神尾武史は共に事件を調べ始めるが……。実直な元中学校教師がなぜ殺されたのか、犯人の目的とは、全員があやしい真世の同級生たち、また地域創生を目指す地元の思いなどをめぐり、ストーリーが展開してゆく。元マジシャンの叔父と建築士の姪がバディとなり、家族を殺された故郷での事件に挑むミステリーである。

元中学校教師である神尾英一が何者かに殺された。娘の神尾真世は2か月後に結婚を控えていたが父・英一の突然の訃報を受け、実家のある町に戻る。その町はコロナウイルスの蔓延以降、観光客も遠のき、活気を失っていた。教師として多くの教え子から慕われていた英一はなぜ殺されなければならなかったのか。真実を知りたいと願う真世のもとに、英一の弟であり、かつてラスベガスで名を馳せた元マジシャンの叔父・神尾武史が現れる。卓越したマジックの技とメンタリスト級の巧みな人間観察と誘導尋問を武器にして、武史は真世と共に、大切な家族が殺された殺人事件の謎に挑むが……。

有村架純,福山雅治

原作・東野圭吾×主演・福山雅治のタッグによる新シリーズの第1作。福山が天才物理学者・湯川学を演じるガリレオシリーズは、2007年にドラマが始まり〜2シーズン、3作の映画『容疑者Xの献身』(2008年)、『真夏の方程式』(2013年)、『沈黙のパレード』(2022年)など息の長い人気作品であることは周知の通り。東野氏は新たに“ブラック・ショーマン”シリーズを執筆したきっかけと、映画化への祝福の言葉をこのように語っている。「新作を書くにあたり、どんな主人公にしようかと考えていた頃、福山雅治さんから、『ダークヒーローを演じてみたいんです』と聞きました。なるほど福山さんの悪党なら是非見てみたいと思ったのが、『ブラック・ショーマン』執筆のきっかけです。主人公は人格者でも正義漢でもなく、人を騙す快感だけを求めて行動します。兄殺しの謎を追うにしても、まともな手段は取りません。福山さんの悪党ぶりが今から楽しみです。そんな主人公に振り回される有村架純さんの演技にも期待大です。名コンビ誕生を心よりお祝いいたします」

以前はラスベガスを拠点に活躍していた元マジシャンで、現在は東京でバーを経営する神尾武史役は福山雅治が、巧みな人間観察能力をもち金にシビアで、息を吐くように嘘をつく、食えないタイプながら引きつける切れ者として。福山は撮影前にマジックのトレーニングを4ヶ月以上続け、劇中のマジックのシーンはすべて吹き替えなしで福山本人が披露。“コインロール”(手の甲側の指間にコインを挟み転がす動き)や、“パーム”(手の平にコインやカードを隠す動き)を熱心にマスターするなか、日々の練習により指の筋肉を痛めながらも、ミュージシャンとしてツアーも行いギターも弾いていたというから驚く。福山はマジックのシーンについて、公式HPの「東野圭吾先生×福山雅治 スペシャル対談【前編】」にて、「やっぱり練習してできるようになったところは、余すところなく見せたいですから(笑)。“本当に本人がやってるんですよ”というのは見せたかったです」と笑顔でコメント。東野氏は福山がマジックをマスターしたことについて同対談にて、「福山さんならきっとCGや特撮は使わず、練習に練習を重ねて臨んでくれるだろうと思った。それは僕は予想していました」と話している。さらに福山は映画のテーマ曲『幻界(げんかい)』を書き下ろして提供もしている。田中監督は「想定していた以上にマジックのシーンが多くなったのは、福山さんがみるみるスキルアップされて、使えるマジックが増えていったからなんです」と話し、福山の姿勢から学んだことについて感謝と共にこのように語っている。「僕は福山さんから東野先生の原作を映画化する覚悟や責任を教わったと思っています。原作をそのまま映画にするのではなく、原作の面白さを残したままいかに映像作品として面白く仕上げるかということを常におっしゃっていたのが印象的で非常に勉強になりました」

仲村トオル

武史の姪・神尾真世役は有村架純が、不動産会社に勤務するしっかり者の建築士として。2ヶ月後に結婚を控えながら父を殺害され、叔父・武史と共に事件の真相に迫っていくバディぶりをいい塩梅で表現している。真世の父で武史の兄で元中学校教師である神尾英一役は仲村トオルが、事件の捜査をする県警の刑事・木暮大介役は生瀬勝久が、真世の同級生で英一の教え子だった、現在は天才漫画家として活躍している釘宮克樹役は成田凌が、同じく同級生で実家が営むホテルで働く池永桃子役は生田絵梨花が、同級生で地元の有力企業・柏木建設社長の息子である柏木広大役は木村昴が、同級生の酒屋店主で第一発見者である原口浩平役は森永悠希が、同級生で地方銀行勤務の牧原悟役はお笑いトリオ・ハナコの秋山寛貴が、同級生でIT企業を立ち上げ成功している青年実業家の杉下快斗役は犬飼貴丈が、同級生で広告代理店勤務、釘宮のマネージャーをしている九重梨々香役は岡崎紗絵が、桃子の夫で真世たちの5年上の先輩で英一の教え子である池永良輔役は森崎ウィンが、真世の会社の先輩で婚約者の中條健太役は伊藤淳史が、それぞれに演じている。東野氏はキャストや映画について、「東野圭吾先生×福山雅治 スペシャル対談【後編】」にて、「とにかく福山さんはかっこいいし、有村さんは綺麗だし、ストーリーは面白いし。いいことしかないです(笑)」と楽しそうにコメント。田中監督は映画化への意気込みをこのように語っている。「東野圭吾さんによって生み出された、『謎を解くためなら手段を選ばないニューヒーロー』に福山雅治さんが命を吹き込む。そしてバディとなる姪には有村架純さん。これほど胸躍る組み合わせがあるでしょうか。原作を初めて読んだ時にページをめくる手が止まらなかったあの疾走感と高揚感を、映像でも体験していただけるようにキャスト・スタッフ一同全力を尽くします」

脚本の開発にあたり、東野氏のスタンスは「福山さんが楽しんで演じてくださるのが一番です」と話し、脚本家・橋本夏をはじめ製作陣も自由にイメージを広げていったとのこと。撮影は岐阜県、愛知県周辺で行われ、劇中で何度か登場する、美しい景色が眼下に広がる高台の“青空の丘公園”は、岐阜県中津川の苗木城跡にて。そしてレトロな街並みと豊かな自然のある岐阜県の郡上八幡を中心に、紅葉の季節は観光客で賑わう愛知県の香嵐渓などで行われた。映画の最初に華やかに展開する福山による“サムライ・ゼン”のイリュージョンのステージは、“本編とは別にもう1本別の映画を撮ったかのような”エネルギーを注いで制作されたとも。スタッフには、福山のマジックを指導、2024年度のマジシャン・オブ・ザ・イヤーに選出されたKiLa、東京パラリンピックの閉会式に携わった映像作家の西郡勲、アクション監督の川澄朋章という面々が参加して作られた。

成田凌

英一はなぜ殺されたのか、犯人の目的とは? 武史と真世は事件の真相にどのようにたどり着けるのか。東野氏は福山と話すなか、神尾武史というキャラクターにつながっていった経緯について、前述の対談【前編】にてこのように語っている。「ちょうど僕自身が悪党みたいなキャラを書きたいなとぼんやり思っていたんです。じゃあ何を書こうかと考えた時、本当に悪い犯罪者を主人公にするのは違うなと。じゃあやっぱり自分の場合はミステリーだな、とはいえ優等生的な人が謎を解く話ではないよなと。そこで結構悩んだんですが、ひとつのキーワードとして“謎を解くためなら手段を選ばない”というものが出てきた。そのためには何でもする、時には悪いこともするというところから“ダークヒーロー”“ダーティーヒーロー”みたいなものが出てきたんです」
 また東野氏は、武史は今までのキャラクターのなかで一番かっこいいと思っているし、そこが個人的に一番満足できている、と対談【後編】にてコメント。そしていかに映画を気に入っているか、このように朗らかに話している。「映画全体としては原作よりもはるかに豪華に華やかなものになっていたので、これも原作者としては嬉しかった。僕は映画館で映画を見ていても、結構途中で時計を見ちゃうんですよ(笑)。この映画は全くそういうことがなく、あっという間に終わってしまった感じでした。しかもぼんやり見ていたら終わっちゃったとかではなく、原作者が言うのも変ですがワクワクして楽しんでいたら終わっていたという感じ。これは本当に面白い映画ですと自信をもって言えますね」
 さらに東野氏は、「映像も華やかで豪華なので、絶対に最後まで飽きずに楽しめます。約2時間がまるでマジックを見ているように、あっという間に過ぎていきますよ」というお墨付きも。福山はマジックや謎解きのミステリーに加え、東野作品の物語性の魅力について、対談【後編】にてこのように語っている。「それ(エンタメ性)とは別に社会的なメッセージも込められている作品でもあります。地域創生をめぐる人々の想い、SNSが人の人生を大きく変えてしまうという現実などもしっかり描かれています。これは東野作品の根底に流れている部分でもあると思いますが、神尾武史には“義侠心”を強く感じました。義の心――誰かのために、他者のためにという気持ちです。表現の仕方に濃淡はあれど、東野先生の作品にはどこかに必ず義の心があって。それは先生のお人柄からにじみ出ているものだと僕は思っています」
 最後に、クランクアップ時に福山と有村が観客に向けて伝えたメッセージをご紹介する。
 福山「“ダークヒーロー”という新しいキャラクターに挑戦できる機会をいただけたことによって、表現の幅を拡大することが出来たのではと感じております。初共演となった有村さんは、クランクインから説得力のあるお芝居をされていました。<中略>『ブラック・ショーマン』は、現代の日本に横たわる社会課題を、マジックのように鮮やかにエンターテインメントに昇華していく、そんな作品になっていると思います。ぜひ劇場でご覧ください」
 有村「『ブラック・ショーマン』は、静かな町で起こるとても切ない物語です。年齢問わず楽しめる作品になっていると思うので、ぜひ映画館でこの世界観を楽しんでいただきたいですし、福山さん演じる神尾武史さんのマジックも素晴らしいのでぜひ注目してください」

作品データ

公開 2025年9月12日公開より全国東宝系にてロードショー
制作年/制作国 2025年 日本
上映時間 2:00
配給 東宝
原作 東野圭吾『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』(光文社文庫刊)
監督 田中亮
脚本 橋本夏
出演 福山雅治
有村架純
成田凌
生田絵梨花
木村昴
森永悠希
秋山寛貴(ハナコ)
犬飼貴丈
岡崎紗絵
森崎ウィン
丸山智己
濱田マリ
伊藤淳史
生瀬勝久
仲村トオル
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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