アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ

ジェームズ・キャメロン監督の人気シリーズ第3作
あらゆる種族のナヴィと人間を巻き込む戦いのなか
追い詰められ崩壊しかけた家族は再生できるのか

  • 2025/12/19
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アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ジェームズ・キャメロン監督・製作・脚本による世界的なヒットシリーズ第3作が公開。出演は前作から引き続きサム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、ケイト・ウィンスレット、シガーニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング、そして新たに喜劇王チャールズ・チャップリンの孫であり劇作家ユージン・オニールの曾孫ウーナ・チャップリンほか。サリーたち家族は長男ネテヤムを失った哀しみから、まだ立ち直ることができずにいた。そんななか同じナヴィでありながらパンドラの支配を目論むアッシュ族は人類と手を組んで襲来し、あらゆる種族のナヴィと人間を巻き込む激しい戦いが始まる。シリーズ初の“ナヴィのヴィラン”が登場し、希少な資源をめぐる人間たちの侵略と、家族と仲間を守るナヴィたちの苛烈な決戦を描く。サリー家の悲しみと再生、異なる背景をもつ子どもたちの絆と希望、ジェイクとクオリッチ大佐の因縁の対決、キリと女神エイワとの不思議なつながりのこと、さまざまなことが交錯し物語が展開してゆく。みずみずしく幻想的な美しい森と海と空、たくさんの動植物たちとの触れ合い、そして激しく燃え上がる炎の戦いを、その場にいるかのように体感できる、最新の力強い映像体験を届ける作品である。

地球から遠く離れた神秘の星パンドラ。あれから数週間後、サリーたち家族はまだ長男ネテヤムを失った哀しみから立ち直ることができずにいた。ジェイクたちがここにいる限り、そしてクオリッチの息子であるスパイダーがここで暮らす限り、人間たちは再び海の種族メトカイナの集落を襲うだろう。ジェイクたちはメトカイナの地から旅立つことを決意。空を行き交う平和な遊牧民の部族トラリム族に出会い、スパイダーをオマティカヤ族の拠点であるハイキャンプへ送り届ける旅に出る。しかしその道中、アッシュ族の襲撃を受ける。ヴァラン率いるアッシュ族は、火山の噴火により故郷がすべて灰と化した一族で、喪失と怒りに包まれていた。同じ頃、失敗を繰り返すRDA社は苦境に立たされながらも、惑星パンドラの侵略に向けて新たな計画を立て、クオリッチはジェイクに復讐をするべく準備を整えていた……。

アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ

2022年の前作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』から数週間後、長男ネテヤムを失って悲しみに沈むサリー家の姿を描く。自分のせいで兄が死んだと苦しむ次男ロアク、前向きに過ごそうとつとめる子どもたち、悲しみに暮れる母、家族と仲間たちを守ろうと警戒し続ける父、そして周囲の人たちとのつながり。それぞれが異なるかたちで喪失と向き合いながらも、再び前を向こうと懸命につとめる姿に多くの人が心を重ねることだろう。キャメロン監督はこのシリーズのテーマについて語る。「これは家族が戦争の意味と向き合う物語だ。子どもたちが戦争に巻き込まれること、親が子どもを戦場に送り出し、彼らが正しい判断を下すと信じることを描いている。これが本作の重要なテーマだ」
 また監督はこのシリーズで心がけていることについて、2025年12月2日(日本時間)にアメリカ・ロサンゼルスで行われたワールドプレミアにて、「観客は『アバター』シリーズにいつも何か新しいものを求めます。新しい生物や文化だったり、だから私たちはその期待に応えて、それらを送り出し続けています。でもそれと同時に既存キャラクターの深みもより広げています」とコメント。そしてシリーズ3作目のこの映画がいかに情感豊かなものであるか、どのような思いを込めたかについて、監督は観客に2025年12月10日に東京で行われた来日ジャパンプレミアにてこのように伝えた。「このシリーズを手がけるにあたって、エモーショナルな作品にしたかったんです。1作目では、新しい世界、そして新しい映画の形に皆さんを誘いました。2作目ではサリー家をより深く知る作品になりました。3作目は、家族が様々な危機にさらされています。シリーズにつきもののアドベンチャーや美しい景色ももちろんありますが、1、2作目よりもさらにエモーショナルな物語になっています。子どもたちの視点から物語も描かれていますが、彼らがどのように強くなり、自分自身を見つけていくのかというのを追いつつ、父と息子の葛藤も描かれます。こういった家族の物語は、世界中で言語を超えて共通するものだと思うんです」

前作で長男ネテヤムを失い、深く悲しみながらも、家族と土地を守るために戦うことを決意するジェイク・サリー役はサム・ワーシントンが、父として夫として愛情深く。サムはこのシリーズへの熱い思いを、2025年12月2日(日本時間)にアメリカ・ロサンゼルスで行われたワールドプレミアにてこのように語った。「この物語が描くのは“家族”についてなんです。舞台が地球ではない星だろうと、その中心にあるのは家族と、彼らがお互いに抱く愛なんです」
 ネテヤムを失った深い悲しみに囚われて戦う気力も失っているジェイクの妻ネイティリ役はゾーイ・サルダナが、サリー家の養子で女神エイワとつながりをもつ15歳のキリ役は撮影当時72歳のシガーニー・ウィーバーが、次男ロアク役はブリテン・ダルトンが、人間でありながらサリー家の一員であるスパイダー役はジャック・チャンピオンが、かわいらしいサリー家の末の娘トゥク役はトリニティ・ジョー・リー・ブリスが、海のメトカイナ族のシャーマンの家長であるロナル役はケイト・ウィンスレットが、メトカイナ族のリーダーでロナルの夫トノワリ役はクリフ・カーティスが、心優しいトノワリとロナルの娘ツィレヤ役はベイリー・バスが、元海兵隊の大佐でリコンビナント(遺伝子組み換えで生まれた人間とナヴィのハイブリッド戦士)として復活したジェイクの宿敵クオリッチ役はスティーヴン・ラングが、火山の炎に故郷を奪われ「エイワに見放された」とパンドラを憎む、火山帯に暮らすアッシュ族のリーダー、ヴァラン役はウーナ・チャップリンが、空を移動するパンドラの遊牧民ウィンド・トレーダーズのリーダー、ペイラック役はデヴィッド・シューリスが、それぞれに演じている。また主題歌「Dream As One」はグラミー賞受賞アーティストのマイリー・サイラスが歌っている。

ゾーイ・サルダナ,サム・ワーシントン,ほか

劇中ではナヴィのさまざまな種族が登場し、クリーチャーたちもいろいろなタイプが登場するところが興味深い。堂々と空を飛ぶ翼竜のイクラン、ジェイクと心を通わせる、賢くて強く空を飛ぶ大型生物のトルーク、気球のように空を飛ぶクラゲのような風貌の生物メデューソイド、空に浮かぶエイのような生き物、そして巨大なクジラのようにゆったりと海を泳ぐ海洋生物のトゥルクンなど。またトゥルクンの脳内に含まれる天然物質「アムリタ」に人間の老化を止める医療的効能があることからRDA社がトゥルクンの乱獲を目論むさまは、現代における密漁や生態系破壊の問題を彷彿とさせるものがある。

『アバター』シリーズの大きな特徴はCGキャラクターでありながら、役者たちの演技や表現を細部まで丁寧に生かしていることだ。できるだけコンピュータに頼らずに“実際に撮影”することにこだわり、第1作でキャメロン監督たちがより繊細な表情をとらえるために開発したパフォーマンスキャプチャーなどの技術と手法を徹底して活かしている。撮影では俳優たちが動きや表情などを細部まで捉えることのできる最先端技術によるスーツを着用してカメラの前で演技し、そのすべてがデジタルキャラクターに反映されている。ロスのワールドプレミアにて、監督はこの映画を3Dで観ることをはっきりとすすめて、このように語った。「本作を3Dで観る価値は大きいと思います。今やストリーミングでいつでも好きな作品が観られる時代ですが、映画館での鑑賞に観客が求めることは、旅であり、経験だと思います。それを与えてくれるのが、劇場での体験であり、巨大なスクリーンであり、3Dなんです。もちろん物語もうまく語られないといけない。それらがすべてそろって、力を発揮するなら、それを体験と言い、3時間を超えても何ら関係ないんです。あっという間に過ぎていきますよ」
 またキャメロン監督の来日ジャパンプレミアにゲストとして参加した『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督は、キャメロン監督と俳優たちを讃えてこのように語った。「作品を観ていると、ストーリーに感動している自分と、技術の凄まじさに勘弁してくれと思っている自分が同時に存在するんです。技術が技術として使われているのではなく、エモーショナルな部分に直接訴えかける映像を作るために、その技術が使われているというのが本当に素晴らしい。技術が物語に寄り添っているところが素晴らしいんです」

ジャック・チャンピオン,ブリテン・ダルトン,トリニティ・ジョー・リー・ブリス,シガーニー・ウィーバー

人間と手を組んだ、同胞であるはずのアッシュ族に襲撃されるという厳しく哀しい戦いのなか、家族は戦場で崩壊の危機にさらされる。家族や仲間や自然を守るため、困難な状況をどのように乗り越えていくのか。再生と希望はどのように見出されていくのか。監督はタイトル『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』に込めた思いについて、「“火”を憎しみ・怒り・暴力と捉え、“灰”をその結果だと考えれば、灰の後に残るものは何か?悲しみや喪失です。そしてそれが将来何を生むかといえば、さらなる暴力・怒り・憎しみ。終わりのない悪循環です。タイトルには、そんな思いが込められています」とコメント。かつて自然と調和していたアッシュ族は、火山の噴火によりすべてが灰と化し、信じていたエイワに見放されたという絶望から、暴力と支配の道へと進んでいく。そこには自然災害と信仰の喪失、そしてそこからいかに再生していくかというテーマが内包されている。リーダーのヴァラン率いるアッシュ族の怒りと復讐心は、ジェイクたちサリー家にとって新たな脅威となるだけでなく、観客に自然との関係性や信仰とは、という問いを投げかける。そして怒りの行き着く先、喪失と再生といった現代に通じるテーマにより人間の本質に迫るドラマとなっている。最後に、キャメロン監督が来日ジャパンプレミアで観客に伝えたメッセージをご紹介する。「“ただ感じてもらいたい”と思っています。自分の人生との繋がりや共感がきっとあると思います。それがあったなら、それこそがこの映画を作った理由です。人間は皆同じ、誰もが希望や愛、夢などを持っているのだと改めて感じることができると思います。今、世の中は冷たいし怒りにも溢れていますが、だからこそ今この映画を作りたいと思いました。我々人間が、本来どういうものであったのかを思い出すためにです」

作品データ

公開 2025年12月19日より日米同時公開
制作年/制作国 2025年 アメリカ
上映時間 3:15
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 Avatar: Fire and Ash
監督・製作・脚本 ジェームズ・キャメロン
出演 サム・ワーシントン
ゾーイ・サルダナ
シガーニー・ウィーバー
ウーナ・チャップリン
日本版声優 東地宏樹
小松由佳
早見沙織
菅生隆之
田村睦美
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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