英国貴族クローリー家をめぐるシリーズ完結編
上流階級の終焉、女性の自立、世代交代……
変容を生きる人たちの悲喜交々を描く群像劇
©2025 FOCUS FEATURES LLC.ALL RIGHTS RESERVED2010年にドラマからスタートした、イギリスで16年にわたる人気シリーズが映画第3弾で完結。出演は、『パディントン』シリーズのヒュー・ボネヴィル、『裏切りのサーカス』のローラ・カーマイケル、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のジム・カーター、『HERE 時を越えて』のミシェル・ドッカリーほか。監督は前作『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』を手がけた『黄金のアデーレ 名画の帰還』のサイモン・カーティス、脚本はシリーズの生みの親である『ゴスフォード・パーク』のジュリアン・フェローズが手がける。1930年の夏、イギリスの社交界が“ロンドン・シーズン”を迎え、クローリー家の人々と使用人たちも胸を躍らせている。しかし長女メアリーの離婚が新聞に報じられ……。離婚による社交界からの追放、新しい相続税や親戚の投資の失敗による財政難、父ロバートからメアリーへの相続問題、使用人たちの世代交代にまつわる揉め事など、さまざまな問題に各人が向き合っていくさまを描く。20世紀初頭のイギリス・ヨークシャーを舞台に、移り変わる時代を生きる、貴族のクローリー家とその屋敷で働く使用人たちの悲喜交々を描く群像劇である。
1930年夏。イギリス社交界の頂点“ロンドン・シーズン”が幕を開け、クローリー家の人々と使用人たちも胸を躍らせている。だが、長女メアリーの離婚が新聞に報じられ、世間は大騒ぎに。時代は離婚した女性に冷たく、特に上流階級では不名誉なスキャンダルとみなされて、メアリーは舞踏会や晩餐会から追放される。そんな中、メアリーの母コーラの弟ハロルドがアメリカからやって来て、亡き母から継いだ遺産の大半を投資に失敗して失ったという。屋敷の改修費も消えたことになり、ダウントン・アビーも財政破綻の危機に陥り、父ロバートからメアリーへの当主継承も意見の違いから暗雲が広がり……。

20世紀初頭のイギリス・ヨークシャーを舞台に、16年にわたり200カ国以上で放送されてきたイギリスの人気ドラマシリーズが、3作目の映画で完結。1912年から始まったストーリーは第一次世界大戦を経て、今回で1930年代へと進み、時代の変化と階級制度の衰退のなか、クローリー家の人々と使用人たちの歩みを描いてゆく。この物語の象徴的な存在であり、前作で他界した先代グランサム伯爵未亡人である祖母バイオレットを演じたマギー・スミス本人は、第2作と第3作の間の2024年に死去。製作・脚本のジュリアン・フェローズは今回の物語のテーマと自身の思い入れについてこのように語っている。「2作目の終わりで、愛すべきバイオレットに別れを告げました。そこで私たちは、家族の一員の終わりであっても、家族自体の終わりではないということを伝えたかったのです。また、クローリー家のように現代まで生き残った家族が、自らを再定義して新しい時代に適応することに耐えられるかどうかというテーマも描きたかった。全く適応できずに消えていく一族もありますが、私はクローリー家が現代社会と折り合いをつけることができる家族だと信じたいのです」
グランサム伯爵こと父ロバート・クローリー役はヒュー・ボネヴィルが、伯爵の妻であるグランサム伯爵夫人こと母コーラ役はエリザベス・マクガヴァンが、クローリー家の長女メアリー役はミシェル・ドッカリーが、ヘクサム侯爵夫人である次女イーディス役はローラ・カーマイケルが、母コーラの弟でメアリーたちの叔父ハロルド・レヴィンソン役はポール・ジアマッティが、ハロルドの友人でアメリカの投資アドバイザー、ガス・サムブルック役はアレッサンドロ・ニヴォラが、クローリー家の使用人である執事のチャールズ・カーソン役はジム・カーターが、後任の執事となるアンディ役はマイケル・フォックスが、引退する料理長ベリル・パットモア役はレスリー・ニコルが、料理長を引き継ぐ予定のデイジー役はソフィー・マクシェラが、伯爵夫人付きの侍女フィリス・バクスター役はラケル・キャシディが、次女イーディスの夫であるヘクサム侯爵ことバーティ・ペラム役はハリー・ハデン=ペイトンが、故三女シビルの夫トム・ブランソン役はアレン・リーチが、メアリーの亡夫マシューの母でマートン男爵夫人イザベル・グレイ役はペネロープ・ウィルトンが、イザベルの夫マートン卿役はダグラス・リースが、次女イーディスの友人で著名な俳優兼脚本家ノエル・カワード役はアーティ・フラウスハンが、伯爵付きの従者ジョン・ベイツ役はブレンダン・コイルが、前従者ジョセフ・モールズリー役はケヴィン・ドイルが、デイジーの夫で執事をカーソンから引き継ぐアンディ・パーカー役はマイケル・フォックスが、メアリーの侍女でジョン・ベイツの妻アンナ・ベイツ役はジョアンヌ・フロガットが、執事トーマス・バロー役はロバート・ジェームズ=コリアー、執事カーソンの妻で家政婦長エルシー・カーソン役はフィリス・ローガンが、それぞれに演じている。
グランサム伯爵役のヒュー・ボネヴィルはシリーズの魅力について、脚本を讃えて語る。「『ダウントン・アビー』の根底には、思いやりと正しいことをしようとする心があります。それがたとえ裏目に出ても、それが大きな遺産となっています。何年にもわたって、多くの視聴者や観客にとってこの作品が大切な意味を持ち、共感を呼んだという反響をいただいています。物語の力や登場人物の関係性から感じられる温かさに、私たちも誇りをもっています。すべてはジュリアンの素晴らしい脚本から生まれているのです」
劇中でキーマンとして登場する俳優で脚本家のノエル・カワードは、戯曲『ビター・スウィート』などで知られる実在の著名な人物。カーティス監督の父親が著書「ノエル・カワードの日記」を出版しており、ノエル本人の銀のピルケース(“NC”のイニシャル入り)を譲り受けたというつながりがあり、劇中にそのピルケースが登場しているのも面白い。

見どころは華やかに再現された、今はなき上流階級による社交の時節“ロンドン・シーズン”や、今も親しまれているロンドンの有名スポットの数々だ。映画の冒頭には、1899年に開場された建築家フランク・マッチャムによる現存最古の劇場のひとつリッチモンド劇場が登場する。そして王族も集う舞踏会や晩餐会、アスコット競馬などが開催される“ロンドン・シーズン”のシーンは美術チームがセットとVFXで再現。アスコット競馬場のヴィジュアルイメージは、写真家セシル・ビートンの作品から着想を得て、ノース・ヨークシャーにあるリポン競馬場にて撮影。そのロイヤルエンクロージャー(王室専用席)は、美術チームが1920年代の映像や写真、1950〜60年代のカラーフォトを参考に王室用バルコニーを実物大で建設、2階部分をVFXで補完。本物の競走馬が疾走し、300人以上の正装のエキストラが参加する大規模なシーンとなっている。またロンドンでは、フォートナム&メイソン、ピカデリー・アーケード、セントラルロンドンの公園、バッキンガム宮殿付近など多くの象徴的な場所で撮影された。
ファッションは1930年代当時のデザインでエレガントに。なかでも淡いピーチ色のレースとシルクチュールを用いたメアリーのイブニングドレスには、シャネルへのオマージュが込められている。衣装のアンナ・ロビンスは、「何週間もかけて製作方法を考え、可能な限り忠実に再現しました」とコメントしている。

2010年〜2015年にドラマが放送、映画版の3作目でシリーズのフィナーレを飾る完結編。20世紀初頭のイギリスを生きたクローリー家と使用人たちの物語は、1912年のタイタニック号沈没から始まり1930年代の“ロンドン・シーズン”へ。バイオレット亡き後、遺された者たちはどのように生きていくのか。上流階級の終焉、女性の自立、世代交代――英国社会の変容と共にある彼らの姿には、失われゆく時代への惜別と、変化を恐れず進む勇気が表現されている。製作・脚本のフェローズはこの映画でシリーズ完結を迎えたことへの感慨を喜びと共に、「今では、一つの旅路が完結したように感じます。オリジナルの構想とキャストでここまで来られたことを、とても誇りに思っています」と話し、当初ここまでの作品になるとは考えていなかったと語る。「シリーズがここまで続き、世界中で愛される作品になるとは全く思っていませんでした。当時は、多くの人が時代劇はもう終わったと考えていて、視聴者もいないと思われていたのです。希望した俳優がすべて出演してくれたことが、今思えば成功の兆しだったのかもしれません。特にマギー・スミスはドラマシリーズに出演したことがなく、彼女が参加してくれたことで、ヒュー・ボネヴィルやジム・カーターなど素晴らしい俳優陣が集まりました。<中略>驚いたのは、その4か月後にアメリカで放送され、大ヒットしたことです。アメリカの視聴者がすべてを変えたのです。それ以降、世界中で放送されるようになりました」
最後に、長女メアリー役のミシェルが語る、この物語のテーマと観客へのメッセージをお伝えする。「これは大きな変化の時代の物語で、過去と未来の橋渡し、家族の絆、社会の移り変わり、女性の自立などを扱っています。メアリーの物語はその象徴であり、彼女がどのように古い世界と新しい世界の間でバランスを取るかを描いています。観客には変化の波に立ち向かう勇気と、新しい自分を受け入れる力を感じてほしいと思います」
| 公開 | 2026年1月16日よりTOHOシネマズ 日比谷他にて全国ロードショー |
|---|---|
| 制作年/制作国 | 2025年 イギリス |
| 上映時間 | 2:04 |
| 配給 | ギャガ |
| 原題 | Downton Abbey: The Grand Finale |
| 監督 | サイモン・カーティス |
| 脚本 | ジュリアン・フェローズ |
| 出演 | ヒュー・ボネヴィル ローラ・カーマイケル ジム・カーター ラケル・キャシディ ポール・コプリー ブレンダン・コイル ミシェル・ドッカリー ケヴィン・ドイル マイケル・フォックス ジョアンヌ・フロガット |

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