プロジェクト・ヘイル・メアリー

宇宙船で目覚めた中学教師が異星人と遭遇!?
母星の危機を救うべく困難な任務に挑む彼らを
時にはシリアスに時にはコミカルに描くSF映画

  • 2026/03/24
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プロジェクト・ヘイル・メアリー

ライアン・ゴズリングが刊行前に原作を読み、自らの主演・プロデュースで実写映画化を実現した話題作。共演は、『落下の解剖学』のザンドラ・ヒュラー、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』のケン・レオン、劇作家や演出家、パフォーマーであるジェームズ・オルティスほか。監督は『スパイダーマン:スパイダーバース』のフィル・ロード&クリストファー・ミラーが手がけ、原作者のアンディ・ウィアーがプロデューサーとして参加、脚本はウィアーの処女作『火星の人』を映画化した『オデッセイ』のドリュー・ゴダードが手がける。未知の原因により太陽エネルギーが奪われる異常事態が発生し、地球は急速に寒冷化。人類滅亡が迫るなか、地球の命運を懸けた“イチかバチか(ヘイル・メアリー)”の調査プロジェクトに望まずして選ばれたのは、豊富な科学知識をもつだけの中学教師グレースだった。そして宇宙の果てで、思いがけず同志の異星人と出会う。壮大な問題解決を担った者たちが出会い志を共にして、不可能に近い任務に挑むべく熱心に協働して尽力していく。その過程を、時にはシリアスに時にはコミカルに歯切れよく描く。異種族間の友情を熱く描く物語であり、ライアンの芝居を存分に味わえる魅力的なSF映画である。

未知の原因によって太陽エネルギーが奪われる異常事態が発生。このままでは地球は数十年後に氷河期に突入、全生命は滅亡する。この危機を救う鍵が、11.9光年先の宇宙にあると突き止めた人類は、宇宙船を建造し豊富な科学知識をもつ中学校の科学教師グレースを送り込む。宇宙の果て、極限の孤独のなかで、グレースが出会ったのは、同じ理由で母星を救うためにひとり奮闘する異星人ロッキーだった。姿も言語も生存条件も、すべてが異なる手探りの共同作業は種族を超えた友情となり、彼らは力を合わせて宇宙の難題に挑むが……。

ライアン・ゴズリング

映画『オデッセイ』の原作者アンディ・ウィアーの小説をライアン・ゴズリングの主演・プロデュースで映画化。映画の大部分が宇宙空間で過ごすグレースとロッキーのシーンでありながら、飽きさせることなく惹きつける物語だ。もちろんライアン主演作なのでコミカルで楽しいシーンも多々あるなか、涙がこぼれるシーンもたびたびある。いざという時の頼もしさ、寄り添う姿、母星とそこに暮らす全生命を救うためという重すぎる任務と不可能に近い難題に挑むのも、ひとりじゃなくふたりなら、という表現がドラマティックで染み入るものがある。出会ってからのグレースとロッキーの様子は、恐る恐るの交流から親密なバディとなり、そのうちにカップルの同棲や結婚にあるようなストレスがありつつも、互いのスキルでできることをしてアイデアを出し合い協働し、かけがえのない絆を築いていく……といった姿が共感を誘う。ライアンは「ミッションの目的はただ1つ、地球を救うこと。(この映画には)色々な魅力が詰まっている。地球の話にとどまらず異星人との友情をはぐくむんだ」とコメント。ミラー監督はこの映画について、「(この映画は)スペクタクル満載なのに温もりと人間味にあふれてる」と話し、ロード監督はグレースとロッキーの関係をあげて「キャラクター間の物語を何より大切にした」と語っている。またライアンはこの映画への思い入れについて、026年3月17日の「The News International」の記事「Ryan Gosling discusses new film 'Project Hail Mary' in latest interview(ライアン・ゴズリングが最新インタビューで新作映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』について語る)」にて、「これほどまでに自分のエネルギーを消耗した映画は今までなかったけれど、それだけの価値はあった。ここまで来るのに6年かかり、まさに一生に一度の経験だった」とコメント。またグレースのキャラクターとストーリーについて、ライアンは2026年3月16日の「Moviefone」の記事「Ryan Gosling Talks New Sci-Fi Action Adventure 'Project Hail Mary'(ライアン・ゴズリングが新作SFアクションアドベンチャー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』について語る)」にてこのように話している。「とても共感できる話でした。この物語の素晴らしいところは、生まれながらのヒーローではなく、自分をそう思っていない男が主人公であるところだと思います。彼は目を覚ますと、人類の運命が自分の手に委ねられていることに気づき、本能的には逃げ出したいのですが、逃げることができません。だから何とかしてその状況に立ち向かい、恐怖を克服し、パニックのなかで感じていた不安を好奇心に置き換えなければならない。私にとっても、そして観客にとっても、『パニックの後はどうなるのか? 恐ろしいけれど今こそ解決しなければならない』という経験をすることは、素晴らしいことだと思います」

もと科学者で以前に学会で物議を醸す見解を発表した後、現在は中学校教師をしているライランド・グレース博士役はライアン・ゴズリングが、宇宙船のなかで困惑しながらも宇宙の難題の解明につとめる人物として。異星人と出会いロッキーと名付けて交流を始めることで、生き生きとしていく姿を魅力的に表現している。ライアンはグレースについて、「絶望のどん底から、怖れと向き合いながら一歩ずつ前へ進み、再び自分を信じ直していく、ごく普通の男」と話し、グレースとロッキーの友情について、2026年3月10日(日本時間)にロンドンで行われたワールドプレミアにてこのように熱く語った。「ロッキーは皆さんが見る中で一番かっこいい異星人の友達です。この2人は言語も感覚もすべてが違って本来は一緒にいることすら難しいはずなんです。それでも苦労して築き上げた友情に力強い感動が湧き上がると思います」
 グレースが出会う異星人で天才的なエンジニアのロッキーの声は、撮影現場でロッキーのパペット(操り人形)を担当していたジェームズ・オルティスが軽快に。ポジティブで率直、異星人のグレースと積極的に交流する前向きなキャラクターとして表現。グレースを宇宙へと送ったプロジェクトの責任者ストラット役はザンドラ・ヒュラーが、プロジェクトに志願した宇宙飛行士のヤオ・リー=ジエ役はケン・レオンが、同様に志願した女性宇宙飛行士のオリーシャ・イリュヒナ役はミラーナ・ヴァイントゥルーブが、地球でグレースの付き添い役をしていた政府のエージェント、カール役はライオネル・ボイスが、それぞれに表現している。
 監督たちはライアンや出演者たちを称えて、ロンドンのワールドプレミアにてこのように語った。
 ロード監督「主演のライアンをはじめ、ロッキー役の人形操演者や撮影監督など、撮影を進めた人たちと共に刺激的な毎日を過ごしました。立てていた計画を超えていって、大きくレベルアップを続けた映画になっています」
 ミラー監督「これほどまでにリアルで美しい演技を見せる俳優は他にはいません。ライアンをパートナーに迎えられて本当に幸運でした。この作品を撮ることはとても大きな挑戦でしたが、素晴らしい撮影チーム、俳優陣、アニメーションチームのおかげで、コメディとドラマ、そして感情をすべて融合させた作品になっています」

ザンドラ・ヒュラー

30m超の大規模な美術セットであるグレースの宇宙船などは、科学の深い知見をもつ原作者のウィアーと、NASA(アメリカ航空宇宙局)の監修による科学考証にもとづき制作。その操縦席であるコックピットには宇宙船やステルス戦闘機など本物の航空機の部品が使用されている。また異星人ロッキーの風貌は、「スター・ウォーズ」シリーズでBB-8 などのドロイドを制作したニール・スキャランのチームが制作。動きは、ブロードウェイの舞台でも活躍するパペティア(人形操演者)のジェームズ・オルティス率いるチームが手がけ、ロッキーの声もジェームズが担当している。

原作の小説はSF作家アンディ・ウィアーが2021年に発表し、同年にニューヨーク・タイムズ ベストセラー・リストの第1位に。そして日本でも優秀なSF作品およびSF活動に贈られる第53回星雲賞の海外長編部門を受賞。もともと『オデッセイ』が大好きだったというライアンは原作の小説を賞賛し、この企画の始まりと映画化への思いについて、2026年3月13日の「DailyBloid」の記事「Project Hail Mary, Interview Ryan Gosling(プロジェクト・ヘイル・メアリー、ライアン・ゴズリングへのインタビュー)」にてこのように語っている。「この作品の脚本はアンディ・ウィアーから、出演と製作の両方を兼ねて渡されたのですが、本当に一生に一度のチャンスでした。<中略>ストーリーとキャラクターが素晴らしく、観客もきっと気に入ってくれると確信できる作品に携わったのは初めてです。なぜなら、すでに読者という観客による“試練”を受けており、非常に愛されているからです。だから原作に忠実に作れば、素晴らしい映画になるだろうと確信していました」

ライアン・ゴズリング

人類生存の命運を懸けた“イチかバチか(ヘイル・メアリー)”のプロジェクトに望まずして選ばれたもと科学者の中学教師が、異星人エンジニアと出会って友情を育み協働し、困難な任務に命懸けで臨む物語。個人的には、グレースとロッキーの宇宙船同士が遭遇するところも好きなシーンのひとつだ。敵か味方か? 本当に異星人が!? というシリアスな緊迫したニュアンスから、幅寄せしてきた謎の宇宙船をグレースが避けようとすると、ささっと近寄り、よけてもよけてもささっと近寄ってくる、コント調の軽妙さが愉快なのだ(ファーストコンタクトから交流を試みて互いに歩み寄ってゆくシーンもよき)。かと思えば後半では、グレースがロッキーに寄り添い日々のことを話しかけるシーンや、ロッキーが寝ているグレースを起こすシーンなど涙が滲むことも多々。そして後半、深刻な覚悟や侘しさと共にある印象的なシーンでは、有名な曲に乗せてあるものに著名な人物たちの名前をつけていて、このくだりもポップで楽しい。監督たちはこの映画のテーマについて、このように語っている。
 ロード監督「本作は“つながり”の物語であり、“希望”の物語であり、そして“人間とは何か”を問う物語なのです」
 ミラー監督「これは“対話”と“協力”の物語であり、力を合わせることで何が可能になるかを描いた映画です。物語の核にあるのは、ふたりの絆。これ以上ないほどに異なるふたつの存在が出会い、想像を超える偉業を成し遂げていくのです」
 ライアンはこの映画について、「スケールが桁外れなんだ。“ヘイル・メアリー(イチかバチか)”でも、あきらめなければ、奇跡は起こせる」とコメント。そしてフィル・ロード監督とクリストファー・ミラー監督、グレースとロッキーの友情を讃えて、ライアンはこの映画のテーマについて、前述の「DailyBloid」の記事にてこのように語っている。「グレースとロッキーの関係は、この映画の核心です。異なる世界から来た2人が、愛するすべてを救うためにコミュニケーションを取り、協力する方法を見つけなければならない、美しく、予想外の友情です。フィルとクリスとの仕事は素晴らしい経験でした。彼らは非常にユニークなビジョンをもち、ユーモアと感動をSFに融合させる才能をもっています。彼らはアンディの原作の精神を真に理解し、その驚きと楽観主義をそのままスクリーンに映し出したいと考えていました。観客は彼らが作り上げたものにきっと圧倒されるでしょう。これは壮大で叙事詩的な旅であると同時に、人との繋がりや生きることの意味を描いた、非常に親密な物語でもあるのです」

参考:「The News International」、「Moviefone」、「DailyBloid

作品データ

公開 2026年3月20日より全国の映画館にて公開
制作年/制作国 2025年 アメリカ
上映時間 2:36
配給 ソニー・ピクチャーズ
原題 PROJECT HAIL MARY
監督 フィル・ロード & クリストファー・ミラー
脚色 ドリュー・ゴダード
原作 アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(早川書房刊)
出演 ライアン・ゴズリング
ザンドラ・ヒュラー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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